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追放された公爵令嬢セシリアの50年後

 セシリア・エルヴェール公爵令嬢は、舞踏会の会場から続く、長い長い螺旋階段を下りていた。


「なぜよりにもよって、あんな大勢の前で婚約破棄を宣言するのよ、あの王太子は」


 ――そう。セシリアは先ほど、婚約者だった王太子アランに婚約破棄を言い渡されたばかりなのであった。


 セシリアは今、17歳。


 王太子との婚約が決まったのは彼女が7歳の時。それからというもの、セシリアは来る日も来る日も厳しい王妃教育に耐え忍んできた。すべては、いつか立派な国母となり国王になるアランを支えるために。


 けれど、アランは風のように現れた美少女、エリス・ヴァロワ男爵令嬢にあっと言う間に心を奪われてしまう。エリスは明るく奔放な性格で、物静かなセシリアにないものを持つ少女だった。


 だが、王太子が婚約破棄を言い渡すことになった決定的な理由は、それだけではない。王太子がセシリアを遠ざける理由――それは、彼女に授けられた『天恵ギフト』にあった。


 天恵とは、15歳の時に神殿で祝福の儀式を受け、天から授けられるスキルのことである。


 エリスとセシリアは同時に祝福を受けた。


 エリスが天の女神から与えられた天恵は『癒しの力』。百年に一度しか現れないという超貴重なスキルである。


 対してセシリアに与えられた天恵は、『死の目覚め』というものだった。


 その力がどのようなものなのか、神官にもセシリアにもわからなかった。さらに、『死の目覚め』という言葉の響きに、周囲は彼女を不吉だと蔑むようになる。


 もちろん、婚約者であるアランもまた、殊更にセシリアを疎んだ。


 そしてエリスはこの機会を逃すような令嬢ではなく、見事に王太子の心を射止める。こうして――。


『セシリア・エルヴェール公爵令嬢! お前が常日頃からエリス・ヴァロワ男爵令嬢を虐めていたことはすべてお見通しだ! この忌々しい『悪女』めが! お前もお前の天恵も、王太子であるこの俺にふさわしくない! よってお前との婚約は破棄し、追放処分とするッ!』


 舞踏会の場での婚約破棄、および追放処分に至ったのだった。


「常日頃って、身に覚えがなさすぎるのよ……。エリス嬢とは一度も口を利いたことないのに」


 ――セシリアは周囲から『悪女』だと誹られている。その理由は『死の目覚め』という天恵への嫌悪と、彼女の見た目にあった。


 ピンクブロンドの艶やかなストレートの髪。気の強そうな猫目には、宝石のようなスカイブルーの瞳がはめ込まれている。なるほど確かに、『悪女』という称号が似合いそうな艶やかな美女である。


 しかし派手な美貌とは裏腹に、セシリアは木陰で読書を好むような大人しい少女であった。


「……っく」


 ところでセシリアは、7歳の頃から一度も泣いたことがない。


 けれど今は、今だけは。彼女の頬に涙が伝う。喉が火傷するくらい熱くなり、上手く息ができない。螺旋階段に敷かれている赤いカーペットに、セシリアの流す涙がぽたぽたと落ち、染みとなった。


「うっ……ひっく、ぐすっ……」


(愛のある結婚を望んでたわけじゃない。けれど、ほんの少しでもいい……誰かに愛されたかった)


 視界がぼやけて前が見えない。けれどなぜか歩みを止めることができなくて一歩を踏み出すと、突然セシリアの履いているヒールがグキッと折れた。その拍子に姿勢が崩れ、階段を踏み外してしまう。


「きゃあっ!?」


 セシリアが叫んだ。彼女の周囲の景色が、まるで時間を引き延ばしたようにスローモーションで流れていく。

 

 あわや大惨事――と彼女が自らの悲惨な未来を思い浮かべたその時。踏み外した階段の先に、一人の青年の姿が彼女の視界に飛び込んできた。


 驚き目を見開く青年。場違いながら、セシリアは思わず彼の美しさに目を奪われた。

 

 小麦色に焼けた健康的な肌。艶やかな黒髪に、ブルーの深い瞳。どこか粗野な美貌で、右頬には傷があった。身に纏っているのは、真っ白な染み一つない立派な軍服。腰には剣も下げている。


 彼がセシリアを受け止めるために腕を広げた。そして彼女がその腕の中に飛び込まんとしたその瞬間――。


 突然目も開けられないほどの眩い光が現れ、セシリアはぎゅっと目を閉じた。



 ピチピチピチ、と小鳥がさえずっている。


 頬に風を感じセシリアが恐る恐る目を開くと、そこは螺旋階段ではなく野外だった。目の覚めるような青空。その下にはきらめく芝生が広がっている。見渡す限り、のどかな草原だ。


「へ……!? ここ、どこ……!?」


 思わぬ事態にセシリアが目を瞬かせると、彼女の目の前に一人の老人がいた。セシリアと同じく、老人は驚いた様子で大きく目を見開き彼女を見つめている。


 真っ白な髪に、ブルーの瞳。しわの刻まれた肌、年老いてはいるが整った顔立ち。右頬の深いしわがやけに目を引く。身に纏う軍服からするに、かつての彼は戦士だったのだろう。


 ――彼は、車いすに腰かけていた。


 しばらく二人が呆然と見つめ合っていると、老人がふいに沈黙を破る。


「君は……」


 かぼそい声。


 セシリアはその声にハッと我に返ると、彼に向かい丁寧なお辞儀を披露した。


「お初にお目にかかります。私はエルヴェール公爵家が長女、セシリアと申します。どうやら間違ってこちらに迷い込んでしまったようで……。つかぬことをお伺いしますが、ここはどちらなのでしょうか?」


「セシリア・エルヴェール公爵令嬢、だと……?」


 セシリアが名乗ると、老人は彼女の質問にも答えずムッと眉間にしわを寄せた。


「年寄りをからかうとは、ふざけるのも大概にしろ! なんてたちの悪い……っ」


 そう吐き捨てると、老人は怒り心頭といった様子で車いすを操作し、セシリアへ背を向ける。そのまま離れていってしまうので、彼女は慌てて彼を呼び止めた。


「お待ちください! 失礼があったのでしたら心からお詫び申し上げます、ですから……! 痛っ」


 追いかけようとしたところ、セシリアは足首の鋭い痛みにうずくまる。


(あっ、そういえば階段でヒールが折れて足を挫いたんだった)


 このままでは見知らぬ地で置いてきぼりにされてしまう、と彼女が焦ったその時。ふとセシリアの体を影が覆った。

 見上げれば、そこには先ほどの老人の姿。


「…………足を挫いたのか」


「は、はい」


「はぁ……。嫌だとは思うが膝に乗りなさい。とりあえず私の家まで運ぼう」


「えっ!? で、でも重いです、私」


「大丈夫だ。いいから早く」


「駄目ですわ、その、お怪我をさせてしまっては大変ですから」


 老人の体が心配で、彼の膝に乗るのをためらうセシリア。すると老人は彼女をわっしと持ち上げ、あっという間に膝の上に乗せてしまった。


「わあっ!?」


(思ったよりも力持ちさんだわ……!?)


 とても老人とは思えない腕力にセシリアは目を白黒させる。


「落ちないようしっかりと掴まっていなさい」


「は、はいっ」


 そのまま老人はセシリアを膝に乗せたまま、軽々と車輪を回し進んでいく。すいすいとした進み具合からするに、老人はセシリア一人抱えて移動するくらいどうということはないらしい。


 二人は無言のまま、彼の言う『家』へと向かったのだった。



「この部屋で少し待っていてくれ」


「かしこまりました。運んでくださったうえ、お屋敷にまでお招きくださり、本当にありがとうございます!」


 ソファに腰かけているセシリアが微笑むと、老人は無言でこくりと頷き客間を去っていく。

 

 ――老人の言う『家』は、それはもう立派なお屋敷だった。


 壮麗にして広大。


 大きな門をくぐると、広い庭に四季折々の花が風に揺らいでいた。中央には噴水も。庭の奥に鎮座しているのは、大庭園にふさわしい大きな邸宅。


 白亜の壁面に赤煉瓦の屋根。思わずため息が出るほど美しい外観であった。


(エルヴェール公爵家邸宅よりも立派なんじゃないかしら。『家』と仰っていたし、彼が邸宅の主?)


 だとしたら老人はただものではないはず。それにしても。


(外観も素敵だったけど、内装も本当に素敵……! カーテンも、出窓に飾られているお花も、ぜんぶが淡い紫色だわ。私の大好きな色)


 けれどセシリアの自室や今も身に纏っているドレスは、いつも濃い赤ばかりだ。


 『王太子妃になるのだから、国の色を常に纏いなさい』と、両親に命じられているからである。大好きなラベンダー色のレースカーテンや天蓋は、7歳の日に全部捨てられた。


 セシリアが物思いに耽っていると、扉からコンコン、とノックの音が鳴った。


「どうぞ」


「失礼しますよ」


 彼女が入室を促すと、入ってきたのは初老の女性。


 ふくよかな体つきで、下がった目じりがおっとりとした温厚さを醸しだしている。服装は可愛らしいレースのついたメイド服。彼女はセシリアを目にすると、ひゅっと息を呑んだ。


 そして口を両手で覆い、じわじわと涙目になっていく。


 初対面でいきなり泣きべそをかかれ、セシリアは慌てて(私の悪女顔がそんなに怖かったのかしら!?)とソファから腰を浮かした。


「あ、あの、大丈夫ですか?」


 すると女性はハッと我に返るそぶりをみせ、慌てるセシリアに優しく微笑みかけた。


「突然ごめんなさいね! ちょっと目にゴミが入ってしまって、もう取れましたから大丈夫ですよ。旦那様からお聞きしましたが、お嬢様は足を挫かれたんですって?」


「はい、そうなのです。階段で足を踏み外してしまって」


「そりゃあ災難でしたね。手当させていただきますわ。私は侍女長のハンナと申します」


 ハンナはそう言いながら、手に持っていた救急箱を開けテキパキとセシリアの手当てをし始める。 


「ハンナさん。何から何までご親切に、ありがとうございます。後でこのお屋敷のご主人にもご挨拶させていただけませんか? お礼を申し上げたいのですが……もしかして先ほどの方がご主人ですか?」


「ただハンナとお呼びください。えぇそうです。さっきお嬢様を部屋まで運んだ方がここの主人、レオン・グランハルツ様。さて、手当が終わりましたよ。お嬢様がお部屋でくつろげるよう、紅茶とお菓子を用意しますね」


「そんな、どうかお気遣いなく」


「ふふ、遠慮なさならないで。それでは一旦失礼しますね、セシリアお嬢様」


 とハンナは上機嫌で微笑むと、一礼して部屋を去っていってしまった。

 また部屋がしんと静まり返る。はた、とセシリアは何かに気づく表情を浮かべた。


「私、ハンナに自己紹介してたかしら……?」



 しばらく時間がたつと、ハンナが部屋に戻って来た。彼女の手には三段のティースタンド。


 いちごジャムの添えられたスコーンやクッキー、ショートケーキにサンドイッチを目一杯に詰め込んで。

 紅茶は絶妙な温度と淹れ加減で、どれもこれもが全部セシリアの大好物だった。


 セシリアはハンナとの会話の中で、ここが自分の住む王国カリスではなく、隣国エルファシアであることを知る。


 なぜカリムの王都にいた自分がエルファシアに? とセシリアは飛び上がって驚いた。しかしいくら考えても答えは出ず、彼女はハンナに頼み、とりあえず手紙をしたためることにした。王国カリスのエルヴェール公爵家に迎えを頼むために。


 迎えの馬車を待つ間、セシリアは屋敷の主人レオンの許可を得て、このグランハルツ邸にしばらく滞在することとなった――。



 翌朝。セシリアはハンナに案内された寝室で目を覚ました。


 朝の陽ざしを浴びるため窓を開けると、なにやら庭が騒がしい。顔をのぞかせ外を見れば、そこには老人――レオンと若い男性たちが向かい合っていた。


 それぞれの手には、白銀に煌めく剣が握られている。セシリアはぎょっとして飛び上がった。


(レ、レオン様が襲われている!?)


 こうしてはいられない、レオンを助けなければ。幸い足首の捻挫は軽傷だったようで、もうあまり痛くはない。セシリアは急ぎ部屋を飛び出すと、正面玄関から庭へと駆けていった。



「遠慮はいらん、かかってこい」


 車いすに座るレオンが、剣を握っていない左手でくいっと青年を挑発する動作をしてみせた。

 彼の挑発に、騎士服を身に纏う青年が口の端を吊り上げる。


「レオン閣下、胸をお借りしますよ!」


 青年が剣を手に駆け出す。その動きは一陣の風が吹くように素早い。


 大きく振りかぶった剣が太陽の光を遮り、レオンの顔に影を差した。そして青年の剣がレオンに振り下ろされんとした、次の瞬間。


 レオンは車いすを機敏に操り、華麗に剣を避けた。避けられた拍子によろけた青年の胴を、レオンが思いっきり剣の平らな部分で打ち付ける。


「がはっ」


 すると青年は膝をつきその場にうな垂れた。レオンがニヤリと不敵に笑う。


「ふ、車いすの老人に負けるとは。王国騎士団団長もまだまだ修行が足りないな。振りが大きすぎるから隙が生まれる」


「う、面目ない、です……。今日こそは、一本とれるかと思ったのですが……っ」


 にしてもちょっとは手加減してくださいよ、内臓が飛び出るかと思いました――。と青年が苦笑する。

 

 二人の戦いを見守っていたギャラリーの騎士たちがワッと大きな歓声を上げた。


「流石は魔王を倒した『救国の英雄殿』だ! ウチの鬼強い団長をいとも簡単にいなしてしまうなんて!」


「まったく団長が羨ましいぜ。あのグランハルツ閣下直々に稽古をつけてもらえるんだからな」


「はは、これで0勝100敗ですね~団長!」


 わいわい、ガヤガヤと若い騎士たちがレオンの話題で盛り上がっている。

 その傍ら、二人の戦いを玄関から見守っていたセシリアは、レオンの剣裁きにただただ驚いていた。


(模擬戦だったのね。それにしても、とても車いすに乗ったご老人とは思えない、見事な戦いぶりだったわ。『魔王を倒した』って騎士の一人が仰っていたけれど、カリスではそんな話聞いたこともない。私が生まれる前の話なのかしら。立派なお屋敷といい剣裁きといい……レオン様は何者なの? 凄いお人だということだけはわかるけれど)


 そしてそれからも、レオンがただ者ではないと思わせられる出来事は続いた。


 あくる日もあくる日も、グランハルツ邸に来客が途絶えることはなく――。


(海を渡った国の宰相や、エルファシアの王太子までレオン様を訪ねてくるなんて。近くの修道院の孤児たちもよく屋敷に招き入れておられるし……。多種多様なお客様の来訪で毎日大騒ぎね)


 セシリアは人気者なレオンのことが気になって気になって、何度も彼に話しかけようと試みた。けれどレオンはセシリアを見るといつも煙を巻くように逃げ去ってしまう。


 ハンナにレオンのことを尋ねても、曖昧に話題を逸らされてしまうだけ。すべての客を手を広げて受け入れているレオン。けれどセシリアだけは、彼からどうにも拒まれているように思えて仕方がなかった。


 しかしハンナを始め屋敷の侍女たちや使用人は、セシリアにとても良くしてくれる。


 客人としての待遇もかなり厚く、レオンはセシリアが何不自由なく過ごせるように手配してくれた。ハンナは『旦那様ほど良い主人は存在しない』と彼のことを敬愛している。


 だからこそ彼女は、レオンに避けられている理由がわからなくて悲しい。


 ――そんな日々が続き、とある朝。


 セシリアは邸宅の長い廊下を歩いていると、出窓に枯れた花が飾られていることに気づいた。

 

「あら? この花だけ枯れてる……誰かが替え忘れたのかしら。せっかく通りがかったし捨てておきましょう」


 本来なら公爵令嬢であるセシリアがするような仕事ではない。しかしグランハルツ邸のハウスメイドたちはいつも忙しそうで、セシリアは『お世話になっているから』と軽い気持ちで花に触れようとした。


 その時であった。


「その花に、勝手に触れないで貰えるか」


 静かな怒りを含んだ声。


 セシリアはビクリと肩を揺らし、声のした方へ勢いよく振り向いた。


 そこに居たのは、この屋敷の主であるレオン・グランハルツ。厳しい表情できつくセシリアを睨みつけている。彼女はサッと顔を青ざめさせ、レオンに深々と頭を下げた。


「も、申し訳ございません! 触ってはいけないものと知らず、勝手をいたしました」


 顔を伏せていると、じわじわと瞳が潤んでくるのがわかった。今までどんな怒号を浴びせられても泣くことなんてなかったのに。


(バカ。私のバカ。ここで泣くのは、絶対ダメ)


 でも、レオンに冷たくされると、ひどく胸が痛む。

 セシリアは顔を伏せたまま、レオンの傍を離れようとした。すると沈黙を守っていた彼が、セシリアの背に向かって声をかけた。


「…………すまない。泣かせるつもりじゃ、なかったんだ」


「っ。な、泣いておりませんわ」


 レオンの言葉に彼女が立ち止まり顔を上げる。

 振り向けず立ちつくす彼女に、レオンが言葉を続ける。


「この花は、妻が亡くなる前に活けてくれたものなんだ。病気で動くのも辛いだろうに、俺のために庭で摘んできてくれた。…………だから、捨てられなくてね。本当にすまなかった」


「そんな! 私こそ知らなかったとはいえ、大切なお花に触れてしまって……本当に申し訳ございませんでした」


 寂しげに呟くレオンに、セシリアが振り返る。

 涙目の彼女を見たレオンはばつが悪そうに、けれど慈しむように微笑んだ。


「いいや、俺が悪い。未練がましい老人だと笑ってくれ。花だけじゃない。妻の好きだったものは全部捨てられずにいる。屋敷の内装は全部、妻が好きだったラベンダー色だ。全てが、妻が亡くなる時のまま……。そんな俺を心配して、毎日客がやってくるんだ。おそらく妻に頼まれてたんだろう、俺が変な気を起こさないよう見張っていてくれと。……皆、妻を慕っていた。誰からも愛される、本当に素敵な女性ひとだった」


「レオン様……」


 優しい声にセシリアがまたぽろぽろ泣きだす。レオンに怒られた悲しみを引きずったからではない。妻を思うレオンの切ない気持ちに、心を重ねたからだ。


 レオンは胸元から淡い紫色のハンカチを取り出すと、そっと彼女へ手渡した。


「………………君は涙もろい人なんだな。俺の妻も…………君のように、他人のためによく泣く人だったよ」


 そう言ってレオンがあまりにも綺麗に微笑むものだから、セシリアの涙はピタリと止まってしまう。彼女はレオンの美しい顔にしばしの間、見惚れていた。

 

 レオンから受け取ったラベンダー色のハンカチを、胸元でぎゅっと握りしめる。


(あぁ、レオン様は、本当に心から奥様のことを愛しておられたのね……)


 ――羨ましい、と思う気持ちを胸の奥底に沈めて。


 その晩、セシリアは夢を見た。


 王太子に婚約破棄され、彼女は舞踏会の会場から必死に逃げている。


 逃げた先には目のくらむような螺旋階段があり、背後には彼女に非難を浴びせる黒い影たちが迫ってきていた。厳しい両親、失敗するたびムチで背を叩いてくる家庭教師、王太子妃の立場を羨む令嬢たち、『死の目覚め』を疎む者――。


 セシリアが息も絶え絶えに階段を下りていると、突然足をくじいてしまう。


 危ない! と思ったその瞬間。闇の中から伸びてきた腕が、彼女を強く抱き寄せる。


 現れたのは、深い青灰色の瞳を持つ美しい青年。彼の腕の中は、なぜだかとても安心できた。


 夢は、いつもそこで幕を閉じる。

 

 けれど目を覚ますと、まだ彼に抱きしめられているような温もりが残っていた。


 *


 あくる日、グランハルツ邸にまた来客があった。


 訪ねてきたのは、近くの孤児院の子供たち。楽しそうなはしゃぎ声を上げながら広い庭を駆けまわっている。最初はその姿を遠巻きに眺めていたセシリアだったが、いつの間にか彼女も一緒に混ざって遊ぶようになっていた。


「つぎはおねーちゃんがおにね!」


「ちゃんと、いちにぃさん……じゅうまでかぞえるんだよっ」


「かくれるまで、ぜったいこっちみちゃだめだからね!」


「うふふ、わかったわ。ちゃんと十まで数えてから探しに行くわね」


 といった具合に、セシリアは朝からずっと子供たちの遊び相手をしていた。すると孤児院のシスターが彼女に近寄り、声をかける。


「いつもありがとうございます、セシリア様。私も年で、子供たちを相手に走り回るのがなかなかこたえるようになってしまいましてね」


「どうかお気になさらないでください。子供たちと遊ぶのはとても楽しいですから」


「まぁ、なんてお優しいのかしら。でも、さすがにお疲れでしょう? そろそろお暇いたしますね。……子供たち! 帰りますよ~!」


 シスターが大声で叫ぶと、庭のあちこちにある物陰から、子供たちがひょこっと顔を出した。「えー! まだおねーちゃんとあそぶー!」とふてくされつつも、素直にわらわらとシスターの方へと集まってくる。


「アン、フランツ、サマンサ……9人しかいないわねぇ。トムはどこに行ったのかしら? みんな知ってる?」


「あ! ぼくしってるー! あっちの塔のほうへはしっていったよー!」


 そう言うと男の子は、屋敷の外れに広がる森の向こうを指さした。目を凝らすと、遠く離れた森の奥、木々の間からぽつんと一本の塔が頭をのぞかせているのが見えた。


 男の子の言葉にシスターが眉をひそめる。


「え? 塔ですって? あの塔は崩れそうで危ないから、近づいちゃダメっていつも言ってるのに」


「んーとね、トムはおばあちゃんをさがしにいくっていってたよぉ」


「……トムは、奥様によく懐いていたからねぇ。やれやれ、探しに行くから皆はここで待っててくれるかい?」


「えー! やだぁ! ぼくたちもいっしょにいくー!」


「わたしもー!」


 と騒ぎ出す子供たち。シスターが途方に暮れていると、セシリアがおずおずと手を挙げた。


「あの、よろしければ私が探しに行きましょうか? シスターはここで子供たちと待っていてください」


「えぇっ? よろしいんですか? ……それじゃあ、お言葉に甘えましょうかね」


 というわけで、セシリアはトムを探しに森の奥へと足を踏み入れたのだった。



 森は暗く鬱蒼としていた。まるで童話に出てくる悪い魔女が、今にも木陰から飛び出してきそうな雰囲気である。

その森をしばらく進むと、やがて朽ち果てた塔が姿を現した。セシリアは胸のざわめきを抑えつつ、塔に向かって声を張り上げる。


「トム―! トム―!? どこにいるのー!?」


 すると、塔のどこかから幼い子供のすすり泣く声が聞こえてきた。しかし未だにトムの姿は見えない。セシリアは更に大声でトムを呼ぶ。


「トム、そこにいるの!? いたら返事をしてちょうだい!」


「……おばあちゃん、セシリアおばあちゃん、たすけてぇ。てっぺんにきたら、床がこわれちゃったの。ぼく、こわくておりられないよぉ。う、うわあああん!」


 セシリアおばあちゃん――というトムの叫びに、セシリアは一瞬ギクリと身を固めてしまう。


(セシリアおばあちゃん? トムは、レオン様の亡くなった奥様によく懐いていたって話だけど……まさか私と一緒の名前だなんて。そんな偶然……いいえ、今はそんなことを考えている場合じゃないわ)


 セシリアは思考を振り払うように顔を振ると、トムに向かって大きく語りかけた。


「塔の上にいるのね!? 見つかってよかった。床が抜けたら危ないから、じっとして動かないでいて! 今から私が迎えに行くわ!」


 セシリアは急ぎ、塔の上へと続く階段を駆けあがっていく。


(この塔、ひびだらけだわ。今にも崩れてしまいそう。早くトムをここから連れ出さなきゃ)


 そしてとうとう、彼女は塔のてっぺんに到着した。朽ちて窓もないバルコニーから、冷たい風がびゅうびゅうとセシリアに吹き付ける。


 奥のバルコニーにトムの姿が見えた。恐怖で足がすくんでしまったようで、バルコニーの隅でへたり込み震えている。


 階段とバルコニーをつなぐ床はすっぽりと抜け落ち、ぽっかりと大きな穴が開いている。おそらく、トムがバルコニーへ向かう途中で床が崩れたのだろう。その下は地上まで続く深い闇だった。――もし落ちれば、命の保証はない。


 セシリアは彼へ優しく声をかける。


「私が来たから大丈夫。今からそっちに飛び移るわね」

 

 すると突然、トムが居るバルコニーの床の一部が大きな音を立て崩れ始めた。


「うわああああんっ!!」


 トムはパニックになってバルコニーの柵へよじ登ってしまう。狭い柵の縁。少しでも足を滑らせればトムは高い塔から地上へ真っ逆さまだ。――セシリアの背筋が凍る。すると彼女は深呼吸し、バルコニーに残ったわずかな足場へ飛び移った。


「おねぇちゃん!」


 トムが叫ぶ。――そして間一髪。セシリアはギリギリのところで着地すると、柵の縁に立つトムを引っ張り抱き寄せた。これで、ひとまずはトムが落ちる心配はなくなった。


「良かった……っ」


 セシリアはトムをぎゅっと抱きしめる。しかし安心してはいられない、この塔はいつ崩壊してもおかしくはないのだ。彼女はトムから体を離すと、言い聞かせるように彼の両肩をぎゅっと掴んだ。


「トム、よく聞いて。助けを待っている時間はなさそうなの。だから、今からあちらの階段まで飛び移るわ。私が飛ぶから、トムはしっかり私に掴まっていて。絶対に手を離さないでね」


「う、うん。わかった」


 トムがセシリアにぎゅっとしがみつく。


 セシリアはトムの背に手を当てながら、ごくりと喉を鳴らした。そしてまた深く息を吸うと、ありったけの力で階段の足場へとジャンプした。


「っ! やった――」


 無事着地できた、と思われたその瞬間だった。


 バキッ と不吉な音が響いたかと思うと、足場が崩れ去っていく。それと同時にセシリアの体が宙に浮いた。


「――え?」


 抵抗する間もなく、彼女は地上へ続く深い闇へと飲み込まれていく。


(まずい!)

 

 セシリアはとっさに片手で階段の足場を掴み、落下を免れた。しかし重さに耐えきれず手がぷるぷると震える。このままでは、自分もトムも地面に叩きつけられて死んでしまう。


 まさに絶体絶命と思われたその時――。


「セシリア! そこにいるのか!?」


 崩れゆく塔に、大きな声が響いた。


「レオン様っ……!」


 彼の声を耳にした瞬間、セシリアの目から堰を切ったように涙があふれ出した。しかし泣いている場合ではない、セシリアは涙を必死に堪えながら、姿の見えないレオンへ向かい涙声で叫んだ。


「レオン様、ここです! トムを、トムを助けてください……!」

 

「待っていろ! すぐ助ける!」


 ――塔が崩れていく。

 

 落石が彼女の頭にゴツゴツと当たっては落ちていった。頭が裂け流れる血が片目に入り、視界が塞がれる。それでも祈りながら耐え続けていると、震える彼女の腕を、力強い手がパシッと掴んだ。


 セシリアは涙で顔をぐしゃぐしゃに濡らしながら顔を上げる。


「――よく、耐えたな」


 そこには、こちらに優しく微笑みかけるレオンの姿があった。


 レオンはセシリアとトムを引き上げると、その勢いのまま二人をきつく抱きしめた。よく頑張ったと言わんばかりに。


「二人とも、本当に、本当に無事で良かった……っ!」


 セシリアは驚きつつもその温もりに身を任せる。ふとレオンを見ると、彼の額に汗が光っていることに気づいた。


 ――セシリアはハッと息を呑む。レオンは車いすを捨て、ただ腕の力だけで階段を這いここまで昇ってきてくれたのだ。


 泥と汗にまみれながら、貴族としての矜持もなにもかもかなぐり捨てて。セシリアたちを助けるため、自らの危険も顧みずひたすら必死に――。


 そう考えるとたまらなくなり、セシリアはレオンにぎゅっと抱き着いた。涙がとめどなく溢れて止まらない。


 そして彼の腕の中で、彼女はとある既視感デジャヴに襲われた。


 あぁ自分はかつて、この腕に抱きしめられたことがあったと――。



 グランハルツ邸の外れに広がる野原。


 夕日が遠くに光り、野原の一角に咲くラベンダー畑を赤く照らしている。風がより一層吹くと、ラベンダーのかぐわしい香りがあたりに広がった。


 そのラベンダー畑の中心に、ぽつんと一つの墓が建てられてる。


 セシリアはその墓の前に佇んでいた。そんな彼女へ声がかけられる。


「……気づいて、しまったんだな」

 

 悲し気な声にセシリアが振り返ると、そこには一人の老人がいた。――レオン・グランハルツ。二人は向き合う。まるで初めてであった時のように。


「――はい。セシリア・グランハルツ、夫を支え愛した妻、ここに眠る……。エルヴェール公爵家の紋章が彫られています。亡くなったレオン様の妻セシリア・グランハルツとは……私のこと、なのですね?」


 静かにセシリアが呟くと、レオンは苦しげに眉尻を下げた。


「……最初は信じられなかったよ。妻の若い頃に良く似た者を誰かが送り込み、俺をからかっていると思ったんだ。けれど君はどうしようもなく俺のよく知るセシリアで。……ラベンダーが好きなのも、ハンナの焼いたクッキーが好きなのも、子どもが好きなのも、泣き虫なのも、誰かのために一生懸命になれるところも――全てが、記憶のままの君だった」


 レオンが俯く。その声色は暗く沈んでいる。セシリアは彼の言葉を静かに待った。


「……すまなかったセシリア。俺は、君を幸せにできなかった。怪我でこんな足になって……。何度も離婚を迫ったのに、君は聞き入れなくてよくケンカをしたよ。それだけ君のお人好しは筋金入りだった」


 レオンの頬に一筋の涙が伝う。


 するとセシリアは彼に近づき、その涙をそっと拭った。彼女は穏やかな表情を浮かべレオンに尋ねる。


「なぜそのような大怪我を……?」


「……君がカリムの王太子に婚約破棄されてすぐ、魔王軍が現れ王国カリムを襲い始めた。俺は隣国エルファシアの王太子で、外交のためたまたまカリムを訪れていたんだ。友好国であるカリムを救うため、俺は剣を手に魔王軍と戦い勝利した。しかし魔王との戦いで受けた深い傷が原因で、あえなくこのザマになったというわけさ」


「そうですか、魔王との戦いで……」


「あぁ。だが、良かった。君はもうこんな俺じゃない誰かと結婚できる。君を愛し、幸せにしてくれる人と――」


「私を愛し、幸せにしてくれる人……?」


 セシリアがレオンの言葉をなぞった途端。


 突然彼女の体を淡い光が包みだした。二人は驚きに目を瞬かせる。


「これは一体!? 体がどんどん透けていって……」


「セシリア、この光に見覚えはないか!?」


 焦るレオンの問いにセシリアは必死に記憶を手繰り寄せた。そしてハッとあることを思い出す。


「確か王太子に婚約破棄されたあと、階段で足をつまづかせて……誰かに抱きとめられたんです。この光はその時と同じ光……」


「……!」


 レオンが息を呑み、何かを察した表情を浮かべた。

 

「君が元いた時間に戻るんだ! セシリア、よく聞いてくれ。この後君はある男に抱きとめられる。そしてその男はあろうことか君にプロポーズを申し込んでくるんだ。男の正体は、隣国の王太子レオン・グランハルツ――この俺だ。そのプロポーズは断ってくれ! 男は熱心に『貴方様が孤児院の子供たちと遊んでいるのを見て心を奪われた』とかなんとか言って口説いてくるが……! 絶対に受け入れてはならない!」

 

「レオン様……!」


 セシリアが透ける手をレオン必死にに差し伸べる。


「セシリアっ」


 レオンもまたやりきれないような切ない表情を浮かべ、セシリアの方へ手を伸ばした。


 そして二人の指先が触れ合わんとしたその時、セシリアの姿は、彼の前から跡形もなく消え去ってしまった。



「きゃあっ!」


「おっと」


 光が収まり、宙に浮いていたセシリアの体が誰かに抱き留められる。


 一体何が起こったのか――と彼女が顔を上げると、そこには一人の青年が居た。


 セシリアが未来に転移する前、螺旋階段から落ちそうになる彼女を抱きとめようとしてくれたあの青年だ。青年はレオンと同じ深いブルーの瞳を優しく細め、腕の中からセシリアをそっと床へ降ろした。


「お怪我はありませんか? セシリア・エルヴェール公爵令嬢」


「は、はい。あの、貴方様は……」


「私は隣国エルファシアから参りました王太子、レオン・グランハルツと申します。セシリア嬢が舞踏会で婚約破棄された上、追放処分を受けたと聞き、急ぎ駆け参じた次第です……こんな横暴、絶対にあってはならない」


「レオン・グランハルツ、殿下……」


 セシリアの心臓がドキドキと早鐘を打ちだす。


 まさか、まさか本当にこの彼が、あのレオンの若かりし姿なのだろうかと。すると突然、レオンがセシリアの右手をそっと掬い上げた。見れば、彼の頬はうっすらと赤く染まっている。今から何が起こるのかセシリアは察することができた。


「この様な場でこんなことを申し上げるのは、失礼だと百も承知です。しかし私はこの機を逃したくない。セシリア・エルヴェール公爵令嬢、どうか私と婚約していただけませんか。……こちらで孤児院を訪問した際、偶然そこで貴方様をお見掛けしました。誰一人分け隔てなく優しく手を差し伸べる貴方に、私は心を奪われたのです。ですからどうか、隣国エルファシアの王太子妃となっていただきたい」


「……!」


 セシリアが息を呑む。


 彼女の脳裏に、ある老人の言葉が過った。


 ――俺は、君を幸せにできなかった。だからプロポーズは絶対に断ってくれ。君を愛し、幸せにしてくれる人と結婚するんだ。


 いつまでも黙ったままのセシリアに、レオンが不安げな表情を浮かべたその時。

 

 彼女はわずかに震える彼の手に、そっと自らの手を重ねた。


 (ごめんなさいレオン様。でも私……)


 ――貴方を愛して、幸せにしたいんです。


 それはかつて、『誰かに愛されたい』と泣きじゃくっていた少女との決別。


 レオンを見つめるセシリアの瞳は、晴れ渡る青空のように澄み切っていた。


「……婚約をお受けいたしますわ、レオン様」


 セシリアの返事にレオンがぱぁっと顔を明るくする。その少年のような表情に彼女は顔を綻ばせた。


 ――そして。







「まさか、セシリアが魔王を倒してしまうなんてなぁ。俺の面目が丸つぶれだよ」


「ふふっ。でもいいじゃありませんか! こうして誰もけがをせずに済んだのですから」


 昼下がり、グランハルツ邸の庭園にて。


 セシリアとレオンは、ハンナの手作りクッキーを頬張りながら、庭で駆け回る子供たちを眺めている。


 ――セシリアはレオンの求婚を受けてすぐ、彼と共に隣国エルファシアへと渡った。


 その後すぐさま王国カリムを魔王軍が襲う。王太子は国民を見捨て逃げ出したが、セシリアは天恵の力により魔王軍を壊滅させ王国を救った。


 王太子はそのことを国民に強く責められ、王位継承権を剥奪される。国民の怒りはそれでも収まらず、王太子とその婚約者であるエリスは、セシリアを追放した罪で投獄された。


 セシリアに与えられた天恵『死の目覚め』とは、『自らの死を悟った瞬間に聖女としての力に目覚める』といったスキルだったのだ。


「愛してるよ、セシリア」


「私も、レオン様を愛しています」


 見つめ合う二人。二人の唇が重なろうとした瞬間、庭から無邪気な声が上がった。


「ちちうえー! ぼくとてあわせしてくださーい!」


 その声にはた、と二人は動きを止める。セシリアとレオンはどちらともなく、至近距離で微笑み合った。


「仕方ない。息子の手合わせに付き合ってやるとするか」


 やれやれとレオンが腰を上げる。


「えぇ、いってらっしゃい。怪我には気を付けてくださいね、まぁ、怪我をしても私がすぐ治してあげますけれど」


「我が妻は本当に頼りになるな。じゃあ、また後で」


 レオンがセシリアの額にキスを落とし、庭へ駆けていく。


 ――その後ろ姿を、セシリアはいつまでも愛おしそうに眺めていたのだった。

 

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