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77 不老不死の秘密

 アル君におぶさり、宿まで運ばれてきた。

 少し広めだけど、ここは一人部屋みたいだね。

 私をベッドに降ろすと、アル君は部屋を出ていこうとする。


「アル君はどこに行こうとしてるのかな?」

「別室を取っていますから、私はそちらで泊まります」

「私は一緒でも構わないよ? 昔みたいに、一緒に寝ないかい?」

「冗談はほどほどにお願いします」


 冗談で言ったつもりじゃないんだけどね。

 昔、まだアル君が小さかった頃は一緒に寝ていたじゃないか。

 すでに身長も高くなって、見た目も私より年上っぽくなっちゃってるけど、私にとっては可愛い子供みたいなものだよ。


 その後も酔いの勢いで色々と茶化してみたけど、相変わらずというか、アル君は屹然とした態度を崩さずに淡々と返してきた。

 けど無愛想な顔の裏では、照れを隠しているのを私はお見通しなのだよ。

 アル君も、もうちょ〜っとばかし自分を曝け出してもいいと思うんだけどね。






「それで、アル君はなんでこの国にいるんだい? 本当に観光に来たわけじゃないんだろう?」


 酔ったフリはここまでで、そろそろマジメな話をしようかね。

 ルヴェリューン王国で起きた、魔物のスタンビードは解決したけど、後始末とか残っていて、まだ忙しいと思ったんだけどね。


 私がマジメな雰囲気を出したことで、アル君の方も表情を引き締めた。


「お師匠様に、()()について聞きたいと思いましてね」


 そう言ってアル君が取り出したのは、一冊のノートだった。

 それは見覚えがある······というより、アレクバイン王国の屋敷に置いてきた、私の研究日誌じゃないか。

 魔法関連のことや魔道具、果ては呪術についてなど、私が長い年月をかけて調べた情報が書かれた物だよ。

 それをアル君が持っているってことは······。


「ちょっとちょっと、まさか私の部屋に入ったのかい? 乙女の部屋を勝手に覗くなんて、やってることがストーカーと同じだよ?」

「修業時代に、お師匠様自身が屋敷の隠し部屋に魔術士としての知識の結晶が眠っている。仕掛けを解いて入れるものなら入ってみろ、と言っていたじゃないですか」


 アル君の言葉を聞いて、思い出した。 

 私の屋敷の隠し部屋には特殊な仕掛けを施してあって、生半可な実力の魔術士では解くことは出来ない。

 部屋の中には私の強さの秘密や魔法研究の集大成があるとか言って、弟子達に発破をかけるために、そういえばそんなことを言った記憶があるね。


 もっとも、部屋へ入る仕掛けを解けるくらいになった頃には、とっくに私の下から巣立っちゃってるんだけど。

 今のアル君なら、余裕で解けるだろうね。



「それよりも、私の聞きたいのは()()のことです。〝魔王の呪い〟とは、一体どういうことですか?」


 アル君が研究日誌の、とあるページを指差した。

 それを読んだということは、私の不老不死の秘密に気付いちゃったってことか〜。



 さてさて、どう答えるべきかな?

 茶化して流せる雰囲気じゃないね。



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