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72 最強騎士の実力

(ラエンside)


 灼熱の巨人の攻撃を防いでくれたのは、我が国から遠く離れた場所にある、ルヴェリューン王国の騎士アルディラーズ=ヴァルキアだった。

 ルヴェリューン王国で最強と名高い彼が、何故我が国にいる?


「オオオーーッ!!!」


 いや、今はそんなことを気にしている場合じゃなかった。アルディラーズの剣が巨人の腕を受け止めているが、巨人は力を込めて、押し潰そうとしている。


「この程度、お師匠様の修行で戦わされた魔導ゴーレムの方がまだ強かったぞ!」


 攻撃を押し返し、目にも止まらぬ剣技で巨人の腕を斬り落とした。

 切り離された巨人の腕が、形を変えて別の魔物となる。


「なるほど、切り離された肉片は新たな魔物に変化するのか」


 アルディラーズはそれを見ても特に慌てずに、魔法を放って魔物を消滅させた。


「グウウッ」「ガアァッ」


 周囲の魔物が集まり、アルディラーズに向けて一斉に襲いかかってきた。

 好都合とばかりに、アルディラーズは向かってくる魔物を次々と斬り伏せていく。


「アイシクル·バーン!!!」


 そして、「氷」の大魔法で周囲の溶岩ともども、氷漬けにしてしまった。

 なんという圧倒的な力······。



「ラエン殿下、お怪我はありませんか?」

「あ、ああ······貴殿のおかげで何ともない。感謝する」


 目まぐるしく動く事態に混乱していたが、アルディラーズの言葉になんとか声を絞り出す。

 目に見える範囲の魔物は退治され、溶岩も一時的にだが、「氷」によって抑えられている。

 騎士や冒険者も負傷者はいるが、犠牲者は出ていないようだ。



――――――――――!!!!!



 巨人が「氷」を突き破って出てきた。

 やはり仕留めきれていなかったのか。

 巨人の周囲の「氷」がどんどん溶けて、再び溶岩が出てきている。

 いや、巨人の身体から溶岩が漏れ出しているように見えるな。

 まさか、この巨人が溶岩を生成していたのか?


「この巨人が全ての元凶というわけか。ならば、話は早い」


 アルディラーズが剣を構える。

 確かに山が噴火したわけではなく、この巨人が溶岩を生み出しているのなら、コイツを倒せば全てが解決するかもしれない。


 溶岩や魔物を次々と生み出す灼熱の巨人。

 ぼくの知る限り、そんな魔物の情報はない。

 だが、目の前にいる以上、倒さなければならない。


「ラエン殿下、騎士や冒険者達を連れて、お下がりください。私も少々本気を出しますので」


 アルディラーズが巨人に目を向けながら、ぼくにそう言った。

 我が国の問題を、彼だけに任せるのは心苦しいが、ぼく達では現状、足手まといにしかなりそうにない。


「············わかった。周りのことは気にしないでいい、思い切りやってくれ」


 彼の言葉に頷き、ぼくは騎士達と共にまだ溶岩が及んでいない高台まで避難した。

 同じく冒険者達も、事情を察したローグの指示で避難する。

 町の住人の避難も完了しているので、どんなに激しい戦いになっても、人的被害の心配はないだろう。



 ぼくは高台から、アルディラーズと巨人の戦いを見守ることにした。




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