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71 最強の騎士

(ラエンside)


 ティアは魔道具の絨毯に、ぼくと冒険者達を無理矢理に乗せ、麓の町まで飛び立たせた。

 遠目からティアが巨人と共に溶岩に呑まれてしまうのが見えた。

 まさか、自身を犠牲にしてぼく達を逃がしたというのか!?




 絨毯に乗せられ、町まで戻ってきた。

 ティアの絨毯は力を失い、もう何の反応も見せなくなってしまった。

 魔道具に込められた魔力が尽きただけで、術者のティアが死んだわけではないと思いたいが······。







 騎士団と合流して、現状確認をしていた時、ついにここまで溶岩が流れ込んできた。

 溶岩と共に複数の魔物の姿もある。


「魔術隊、溶岩を食い止めよ!」


 騎士達に指示を出し、溶岩の侵入を阻止するべく動く。複数の魔術士達が一斉に「氷」魔法を放つが、あっという間に氷は溶かされ、効果がない。

 あれほどの熱量の溶岩を食い止めるのに、もはや「氷」魔法では無理だ。


「土魔法で壁を作れ! 溶岩の侵入を阻止するんだ!」


 地属性の魔法で高い土壁を作り、溶岩を食い止めた。だが、溶岩はどんどん流れてきているため、これではわずかな時間稼ぎにしかならない。



「オオオーーーーッ!!!」


 溶岩の中から灼熱の巨人が現れ、土壁を破壊してしまった。

 巨人が掴んでいたはずの、ティアの姿はどこにもない。溶岩に呑まれ、何もかも消失してしまったのか?


 再び町に魔物と溶岩が流れ込んでくる。

 壁を作り、溶岩を食い止めつつ、魔物達を倒していく。

 魔物は、あの巨人以外はぼくや騎士達でなんとか撃退出来るが、どんどん流れ込んでくる溶岩を止める術がない。

 もはや町を捨て、逃げるしかないのか?


「オオオーーッッ!!!」


 巨人がぼくに向けて、手を伸ばしてきた。

 この巨人、ひょっとして知能があるのか?

 騎士達に命令しているぼくを、的確に狙ってきたように見える。


「ラエン様!?」


 騎士達は魔物と溶岩を食い止めるのに手一杯で、巨人の行動を止められない。

 ぼくの魔法も、コイツにはまるで通じない。


「そうは、させねえぜ!!」


 ローグと呼ばれていた冒険者が、自身の持つ斧で巨人の腕を弾いた。

 すでに避難したと思っていたが、ぼくを助けに駆けつけてくれたのか。

 ティアの仲間だけあって、この冒険者も相当に腕が立つようだ。


「「ローグさん!?」」

「アルフ、メイラ! あんまり無理するんじゃねえぞ! お前らもな!」


 他の二人の冒険者も駆けつけてきた。

 いや、その二人だけじゃなく、他にも複数の冒険者パーティーの姿がある。

 冒険者達も、逃げずに町の危機に手を貸してくれているのか。


 冒険者の中にも優秀な魔術士が何人かいて、騎士達と共に溶岩を食い止めるのに力を貸してくれている。

 魔物も同様に、騎士と冒険者が力を合わせて撃退していっていた。

 だが問題なのは、あの巨人だ。


「オオオーーーーッ!!!」


 巨人の攻撃で騎士達の陣形が崩され、冒険者達も歯が立たずにいた。

 並の武器や魔法ではビクともしない上に、多少傷つけても、すぐに元通りに再生してしまう。

 しかも巨人の肉片からは、新たな魔物まで生み出されている。


「ボウズ、ここはもう無理だ! 騎士達にも退却させた方がいい」


 冒険者のローグがぼくを守りながら、そう進言してきた。

 確かにこの状況、他に手はない。

 犠牲者が出る前に、決断するべきか······。


「オオオーーーーッッ!!!」

「ぐあっ······!?」


 ぼくを庇って、ローグが巨人の腕に薙ぎ払われた。巨人はそのまま、ぼくに向けて巨大な腕を振り下ろした。

 巨人の動きが素早く、対応出来ない······!



――――――――――!!!!!



 しかし、巨人の腕がぼくを襲うことはなかった。

 長身の男が剣を構え、巨人の腕を受け止めていたからだ。男は騎士や冒険者のように鎧や防具を身につけず、普段着のような軽装姿だ。


 だが、この男······見覚えがある。

 あの巨人の攻撃を軽々と防ぐ、この男は······。



「ラエン殿下。成り行きですが、ここは私にお任せを。このアルディラーズ=ヴァルキア、ルヴェリューン王国騎士としてではなく、個人の判断で力をお貸しする!」


 やはり、そうだった。

 不老不死の魔女の弟子にして、ルヴェリューン王国最強の騎士と呼ばれる男だ。



 しかし何故、彼が我が国にいるんだ?



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