70 首都の危機
(ローグside)
灼熱の巨人に加え、大量の魔物が現れ、そして地面からは溶岩が溢れ出る状況でティアは一人で残るとか言い出した。
もちろんティアだけを残す気はなかったが、いきなり現れた絨毯が俺達をかっさらうように乗せ、浮き上がった。こいつはティアの操る魔道具らしい。
魔道具を操るティアを、巨人が掴み取った。
あんな奴に掴まれたらヤケドじゃ済まないはずなのに、ティアは口では熱いと言いながら、平然としている。
「おい、ティア······!!」
「あっはっはっ! 私のことなら心配いらないさ、ローグ。ラエン君達のこと、任せたよ」
ティアがそう言うと、絨毯は俺達を乗せたまま、とんでもないスピードで町のある方向に向かっていった。
遠目で一気に噴き出した溶岩が、ティアと巨人を呑み込むのが見えた。
いくら優秀な魔術士でも、溶岩に呑まれちゃひとたまりもねえ。
あれではティアの生存は絶望的だ。
くそっ······俺が付いていながら、みすみす目の前で。
絨毯はそのまま、俺達を乗せて町までたどり着いた。俺達が降りると、絨毯は力を失ったように地面に落ちた。
「ローグさん、ティアさんが······」
「諦めるんじゃねえ、メイラ。ティアは自分を天才魔術士だって言ってたろ? 溶岩の中からでも上手く「氷」系の魔法で逃れているはずだ」
青い顔をするメイラに俺はそう言った。
俺自身、そんな可能性は低いと思っているが、あの規格外のティアならもしかしたら、というのもある。
アルフやラエンというボウズも、ティアの無事を信じていた。
ティアの安否が気にかかるが、噴き出した溶岩の勢いを考えると、あの場所まで戻る余裕はない。
すぐにでも、ここまで流れ込んでくるかもしれねえしな。幸いにも、町の住人の避難はほとんど終わっているようだ。
「ラエン殿下、こちらにいらしたのですか!」
住人の避難誘導をしていた王国騎士達が、こっちにやってきた。
殿下······やっぱりこのボウズは王子だったんだな。どこかで見たことある顔だと思ってたんだ。
「ぼくのことはいい。それよりも住人の避難状況は?」
「はっ! すでに八割方完了しております。ところで、そちらの者達は一体?」
「ぼくに協力して、住人の避難誘導を手伝ってくれた冒険者だ」
さっきまではティアを心配して、不安そうな顔だったが、騎士達を前にすると表情を引き締めた。
さすがは王子だな、ボウズ······いや、ラエン王子か。
「先ほど、強い地響きを確認しました。噴火の予兆かもしれませんので、殿下とそちらの冒険者達も早く避難を······」
――――――――――!!!!!
騎士の言葉が言い終わる前に、ついに溶岩が町まで流れ込んできた。
溶岩と一緒に魔物の姿も複数見える。
とんでもない事態になっちまったみたいだな。




