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7 冒険者ティア、爆誕

 昨日は丸一日かけて町中の人達の治療をしたよ。

 いや〜、さすがに少し疲れたね。

 まあでも、皆元気になってよかった、よかった。



 どうも町中に広がっていた病気は、遠方より来た商人が持ち込んでしまったものだったみたい。

 その商人の病状は大したことなく、軽い風邪程度のものだったのだけど、この町に来て急激に悪化したらしい。

 どうもその病魔はこの町の空気に適応してしまったようで、そこから一気に爆発的に広がったようだね。


 広まって日が浅かったから他の町に被害が及ぶこともなく、こうして駆逐することができたわけだけど。

 これはひょっとして私が来なかったらヤバかったんじゃないかな?


 ま、こうして犠牲者も出ることなく済んでよかったよ。気まぐれで旅に出た甲斐があったってもんだ。

 



「本当に死ぬかと思ってたよ、ありがとうティアさん!」

「ありがとうございます! あなたの活躍により町は救われました!」


 町の人達からは口々に感謝の言葉を受けた。

 いや〜、感謝されるってのは何度経験しても良いものだね。

 私まで嬉しくなっちゃうよ。


「あっはっはっ! 目に焼き付け心に刻め、我が名はティア。史上最高の天才魔術士なり。存分に我を崇めるが良い」


 ノリと勢いで名乗っただけだったんだけど最後の1年は不老不死の魔女じゃなく天才魔術士ティアとして生きていこうかね。






 それから数日が過ぎて、私は冒険者ギルドまでやってきていた。


「こちらが今回の件の報酬になります。お受け取りください」


 冒険者ギルドの受付嬢ちゃんが金貨がたっぷり入った袋を差し出してきた。

 町中の病人達を癒した報酬とのこと。


「おやおや、ずいぶん太っ腹な報酬だね。けど私はギルドに登録していないけど受け取っていいのかい?」


 魔女ネイティアースとしてのギルドカードなら持っているけど出すと面倒そうだしね。


「はい、ギルドマスターからの許可は出ています。本来なら登録していない方への報酬は支払われないものですけど、今回のティアさんの功績は無報酬というわけにはいきませんから」


 やったことが大きかったみたいだね〜。

 まあ、そういうことならありがたく受け取っておこうかね。


「それでティアさん、正式に冒険者として登録する気はありませんか? シャクトさん達から聞きましたけど治癒魔法だけでなく攻撃魔法なども使えるのですよね? ティアさんなら初めからランクの高い冒険者としての活動も可能ですよ」


 冒険者か〜。どうしようかな?

 不老不死の魔女ネイティアースじゃなく、魔術士ティアとしてのギルドカードを作るのもいいかもね。

 誰も私の正体に気付いてないみたいだし、ティアとしてのギルドカードを持っていた方が便利かもしれないし。


「ん〜、そうだね。どこにも属さない孤高の魔術士もいいけど冒険者ティアも悪くないかもね。じゃあお願いしようかね」

「そうですか、腕の立つ方は大歓迎です。それでは念の為、こちらのステータスレンズに手を当ててもらえますか?」


 そう嬉しそうに受付嬢ちゃんが言うと両手で持てるくらいの大きさの水晶球を取り出した。


 おお、懐かしいね〜。

 それ私がまだ勇者が存命していたくらいの時代に冒険者ギルドの統括に提供したものじゃないか。


 触れた人物の魔力を測定してある程度の強さを知ることができる魔道具だよ。

 さらには犯罪歴のある人物も特定されてしまう優れ物だ。自分が作った物がこうしてちゃんと使われているのは嬉しいね〜。


 さてさて、じゃあさっそく測るとしようか。

 私が作った物だし、加減はわかっている。


「おおっ······!? す、すごいですねティアさん。こんなに強く輝くなんて······」


 私が手を置くと水晶球は眩しいくらいに青く輝いた。光の強さによって秘めている魔力がわかるようになっている。

 とは言ってもこれでも少し魔力を抑えて加減したんだよね。私の魔力が高すぎてそのまま計測したら水晶球が割れるかもしれないし。

 ちなみに犯罪歴があったら赤く光るようになっているよ。


「あっはっはっ! そりゃあ天才魔術士ティア様ですからね」


 それでも周りの皆は驚いてくれているね。

 ま、もうそれなりに力を見せちゃってるから、これくらいならそこまで目立たないでしょう。

 




 不老不死の魔女ネイティアースじゃなく、今日から冒険者ティアとしてスタートだ!




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