表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/89

64 再び源泉へ

 アルフ君、メイラちゃん、そしてローグ君と別れて、私とラエン君は再び源泉の場所に向かうために山道に入った。


「さてさて、ラエン殿下。お待たせして悪かったね。それじゃあ、改めて源泉の場所に向かおうか」

「そうだな。それじゃあ、先導頼みますよ。()()()()


 そう声をかけたら、ラエン君からそんな言葉が返ってきた。おやおや、何やらさっきまでと態度が違うね?


「ぼくはティアの弟子なのだろう? だから、お師匠様と呼んだのだが、何か変だったか?」


 さっき、ローグ君達にそう紹介したのを根に持っているのかな?

 けど、別に弟子呼ばわりされて不快ってわけでもなさそうだよね。


「いやいや、変ではないさね。それじゃあラエン殿下、いや、ラエン君。私はキミを本当に弟子として接するけど、いいのかな?」

「構わないさ。頼りにしてるぞ、お師匠様」


 あっさりと頷いたね。

 まあ、今は騎士達もいないから文句を言われることもないし、ラエン君が望むのなら、それでいいかな。

 それにしてもラエン君くらいの子に、お師匠様なんて呼ばれると、アル君やルー君の幼い時を思い出すね。

 なんだか感慨深く感じるよ。

 おっと、思い出に耽ってる場合じゃなかったね。



「さあさあ、それじゃあのんびりしてる暇もないし、ビューっと行くとしますかね」


 さっそく私は移動用魔道具の魔法の絨毯を取り出した。これなら山道も関係なく進めるから徒歩よりも速いし、魔物が出ても振り切れるからね。


「これは······絨毯か? これで山道を登れるのか?」


 初めて魔法の絨毯を見たアルフ君達と同じような反応だね。

 私のオリジナルとはいえ王族クラスでも、こういう魔道具は珍しいのかな?

 似たような移動用魔道具くらい、ありそうだけど。


 私が先に絨毯に乗り、ラエン君がそれに続く。

 私達二人が乗ってもフワフワ浮いている絨毯に、ラエン君は驚いていた。


「こんな魔道具は初めて見たぞ。一体どこで、こんな高度な物を······」

「さあさあ、詳しい話は後さね。それじゃあ、出発(しゅっぱ〜つ)〜!!」


 私は絨毯に魔力を送り、移動を始めた。

 かなりの速度で山道を進んでいく絨毯に、ラエン君は驚きよりも、興味の方が出てきたみたいだ。

 魔法の絨毯を操作する私に、ラエン君が質問してきた。


「ティア、君は本当に何者なんだ? 魔術士としての力だけでなく、神官の魔法も使いこなし、これほどの魔道具をも持っている。ぼくを弟子として扱うと言っていたが、つまりは本当の弟子もいるということだろう? とても見た目通りの年齢とは思えないぞ」


 ほほう、なかなかに鋭いね。

 まあ、ラエン君も魔術士としての素質は充分にあるし、あれだけ魔法を使うとこを見せたら、そりゃあ感付くか。


「言ったはずだよ、詳しい話は後だと。まあ、これだけは言っておくよ。私は天才魔術士ティア! そんな私の偉大さを理解したなら、存分に崇めるがいいさね。あっはっはっはっ!!!」


 弟子としても接すると言った以上、色々と指導してあげたいけど、それは異変を解決してからだね。

 尊敬の眼差しに、気分良く高笑いをしたら、何故かラエン君は微妙な表情を見せた。


「············やっぱり見た目通りの年齢かもしれないな。いや、精神は見た目より幼いかもしれない」


 失礼な。

 私は見た目も中身も、永遠の18歳なのだよ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ