52 スライム発生原因
さてさて、スライムは一匹残らずいなくなったことだし、大量発生の原因を調べてみますかね。
温泉施設内は、特に変わったところは見当たらない。ということは、やっぱり温泉自体に何かあるのかな?
スライムもいなくなって、見た目は何の異常もない普通の温泉に戻ってるから、ちょっとばかしお湯に浸かって癒されたいな〜、なんて思っちゃったけどね。
真面目に調査することにしますか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一通り調べて、色々わかったよ。
まずはスライムの大量発生について。
あれは、お湯からスライムが大量に湧き出てきたわけじゃなく、もともとは一匹のスライムが分裂したものだった。
温泉に魔物の力を増大し、活性化させる成分が混ざっていて、たまたま入り込んできた野良スライムがそのお湯に触れ、増殖したようだ。
問題は何で温泉にそんな成分が混ざっているか、なんだけど。
源泉に元となる何かがあるんだろうね。
わかったのは、これくらいかな。
ちなみに今は何ともない、普通のお湯だよ。
どうやら定期的に、その成分が流れ込んできているみたいだし、放って置いたら、また同じことが起きるだろうね。
ここではこれ以上、情報を得られそうにないし、やっぱり首都まで行って、原因を突き止めた方が良さそうだね。
「ありがとう、ティアさん。わたし達二人だけだったら、危なかったわ。ティアさんがいてくれて助かったわ」
私が調査している内にイチャイチャは終わったようで、メイラちゃんが改めてお礼を言ってきた。
スライムに服を溶かされて、ところどころボロボロだけど、応急処置で直したみたいだね。
「まさかスライムが合体するとはな。確かに、オレ達じゃ倒せなかっただろうな」
アルフ君も自分の力では倒せなかったと認めていた。自身の力を過信しないのは、良い事だよ。
「このスライムの魔石はどうする? 特にあのでっかいのはティアが倒したんだし、オレ達がもらうわけにはいかないよな?」
「普通に三人で山分けで構わないよ。皆で頑張ったんだし、それにギルドに報告するにも討伐証明が必要だろう?」
もともとはアルフ君達が受けた依頼だからね。
手柄を横取りする気はないよ。
とはいえ、依頼達成報告のために町まで戻るのも面倒だね〜。
いっそ、全部あげちゃおうかな?
悪い子達じゃないし、頑張っていたからね。
「私は首都まで急ぎたいし、欲しかったら全部持っていってもいいよ?」
「いや、確かに欲しいけど、それはさすがに······」
「そうよ。ティアさんの手柄を横取りするつもりはないわよ」
おやおや、私が横取りされる方になっちゃってるよ。二人とも真面目というか、なんというか。
もっと貪欲になってもいいと思うよ?
この二人はローグ君に冒険者の指導を受けたみたいだけど、なかなかに教育が行き届いているね。
やっぱりローグ君も真面目で、有能だからかな。
「というか、首都に行くんだったら丁度良いんじゃないか? オレ達もこの依頼が終わったら向かうつもりだったんだしよ。首都のギルドで依頼達成報告をして、報酬を受け取ればいいじゃねえか」
名案だとばかりにアルフ君が言う。
へぇ~、依頼を受けた町以外のギルドでも、依頼達成の手続きが出来るんだ。
昔は報酬は受けたギルドでしか出来なかったはずだけど、私の知らない内に、ずいぶん便利になっているようだ。
それにしても、やっぱりアルフ君達も首都に向かうつもりだったんだね。
ローグ君達も首都に行ってるみたいだし、皆で温泉の異変を解決するつもりかな?




