51 スライム退治でのハプニング
建物内のスライムがすべて集まり融合して、一匹の巨大スライムとなった。
小さいスライムなら、対処はそれほど難しくないけど、ここまで大きくなると話は変わってくる。
〝核〟さえ潰せば、形を保てずに消滅するのは融合しても同じなんだけど、身体が大きすぎてアルフ君の剣やメイラちゃんの矢では〝核〟に攻撃が届かない。
魔法とかで焼き尽くすのにも、再生するスピードが勝って時間がかかる。
「――――ッ」
「きゃっ······!?」
巨大スライムが毒液を吐いてきた。
メイラちゃんが反射的にそれを躱したけど、巨大スライムの身体が触手のように伸び、その隙を突かれて捕らえられてしまう。
「メイラ!? このプルプル野郎がっ」
アルフ君が剣で巨大スライムを斬りつけるけど、プヨプヨな身体を上手く斬れずに弾かれた。
そうしている内に、メイラちゃんが巨大スライムの身体に取り込まれようとしている。
これはマズそうだね。
「メイラちゃん、ちょ〜っとガマンしてね。少しばかし、強めの魔法を撃つから。アルフ君も、離れて離れて」
初級魔法程度じゃ、この巨大スライムは倒せないだろうからね。
かと言って本気の大魔法を撃てば、メイラちゃんや、下手したらこの周囲一帯が吹き飛びかねないし、一点集中の中級魔法を放つよ。
「そ〜れ、バーニングスピア!!」
私は「炎」を纏った槍を作り出し、巨大スライムに向けて放った。
私には〝核〟の場所なんて、丸わかりだからね。メイラちゃんには当たらないように、巨大スライムの身体を焼きながら的確に〝核〟を貫いた。
身体が大きくなったところで、私の前には何の意味もないことだよ。
寧ろ、ちまちま倒す手間が省けたよ。
「――――ッ············!!?」
〝核〟を貫かれた巨大スライムは、身体を維持出来なくなり、溶けるように消滅した。
なかなか大きめの魔石を残したね。
「す、すげぇ······さすがティアだな」
あっという間に巨大スライムを倒したことで、アルフ君が感嘆の声を漏らしている。
もっと褒め称えていいんだよ?
「ありがとう、ティアさん······助かったわ」
メイラちゃんが溶けた巨大スライムの中から脱出した。特に怪我はなさそうだね。
それはいいんだけど······。
「あ〜、メイラちゃん。これあげるから、とりあえず隠した方がいいよ?」
「······え?」
とりあえず私は、メイラちゃんに大きめのバスタオルを渡した。
だって、メイラちゃんの服がスライムの体液に溶かされて大変なことになっちゃってるんだもの。
主に胸の辺りが。
前に一緒に温泉に入った時も思ったけど、なかなかけしからんサイズだね。
まあ、身体の方は無事みたいだし、服だけで済んでよかったよ。
「きゃああっ!!? ア、アルフはこっち見んなーーーーっ!!!」
「ぶへっ······!?」
前と同じように、メイラちゃんの拳が炸裂して、アルフ君が宙を舞った。
仲が良いことだね。
さ〜て、二人がよろしくやってる内に、私はスライムの大量発生の原因でも調べますかね。




