49 温泉から湧き出る魔物
それじゃあ、エヴォマース王国首都に向けて出発しますか。
私の魔法を使えば、あっという間に着くんだけど、まずは首都周辺の町や村の様子も見ておくかな。
まだ首都でも、取り返しのつかない問題にはなっていないみたいだし、源泉以外に原因がある可能性もあるからね。
もちろん、取り返しのつかない事態になる前に解決するつもりだよ。
というわけで、「風」魔法でビュ〜ンと飛んで、出発した。首都まで、普通に歩けば数日はかかる距離だけど、このスピードなら一日もかからない。
ずいぶん昔に首都に行ったことはあるから、その気になれば空間転移の魔法で、一瞬で行くことも可能だけどね。
でも、それだと異変を見逃しちゃう可能性もあるわけで、やっぱり自分の目で確かめながら進まないとね。
エヴォマース王国首都とリントスの町の間には、小さな村が点々とあるみたいだ。
温泉が湧いている所もあるみたいだし、そこで異変が起きているか見ていこう。
「おや、アルフ君とメイラちゃんじゃないか」
さっそく寄った村で、二人と再会した。
ローグ君達と一緒に首都に向かったのかと思ってたけど、ここにいたんだね。
相変わらず二人で組んでいるなんて、仲良きことだね。
「あ、ティアさん」
「なんだ、ティアも依頼を受けて来たのか?」
二人も私の顔を見て挨拶してくれた。
「依頼って?」
「この村の温泉に魔物が湧いたとかで、討伐依頼が来てたから受けたんだよ」
私の疑問にアルフ君が答えた。
温泉に魔物が? それは穏やかじゃないね。
「なんでも、スライム状の魔物が温泉から出てきているそうよ。周りを封鎖して、外には出ないようにしてるみたいだけど、どんどん数を増やしているらしく、放って置くとマズそうなのよ」
スライム系の魔物か〜。
スライム系は人畜無害のものから、毒や強酸を撒き散らすもの、人や大型の魔物まで丸呑みしちゃう危険な奴まで色々いるから、厄介なんだよね。
メイラちゃんの話によれば、この村の温泉から湧き出ているスライムは、毒を持つタイプのようだね。
「それは大変だね。だったら私も手伝ってあげようじゃないのさ」
ほとんどの冒険者は首都の方に行っちゃったみたいだし、アルフ君達だけじゃ、スライム系の相手はキツイだろうからね。
「けど、これはオレ達が受けた依頼だぜ? それなのに······」
「心配しなさんなって。別に依頼料を横取りしようなんて気はないさね」
「いや、そういうことじゃなくてだな······」
そんな、人の依頼を奪おうなんて考えちゃいないよ。そんなことするほど、お金に困ってもいないしね。
「スライム系の魔物は、剣や打撃に耐性を持つ奴が基本だよ? 魔術士の仲間がいれば、心強いと思うよ」
アルフ君は剣士で、メイラちゃんは弓使い。
魔法は多少、使えるのかもしれないけど、スライム相手には本格的な攻撃魔法が使えた方がいいんだよ?
「それもそうね······。お願い出来ますか、ティアさん?」
「あっはっはっ、お安い御用さね」
メイラちゃんが申し訳ななさそうに言ってきたから、私は笑って引き受けてあげたよ。
温泉から湧き出るスライムの魔物。
首都の温泉の異常と、関係あるのかも気になるからね。




