42 女王の間
攫われてきた冒険者の女の子達は全員救出したし、残るは元凶のゴブリンの女王だね。
奥の方にそれらしい反応があるからサクッと解決しちゃおうか。
「あ、あの······助けてくれてありがとうございます。でも、その先に進むのはやめた方が······」
私が奥の方に進もうとしたら助けた女の子達が、引き止めてきた。
さっきまでは怯えて錯乱気味だったけど、さすがは冒険者。もう冷静に立ち直ってきているね。
「多分、ゴブリン達のボスがいます。王か、それ以上の魔物が······」
「私達の手に負える依頼じゃないわ。ギルドに報告して、国に直接討伐要請するべきだわ」
女の子達も奥に潜む異様な存在を感じているようだね。キミ達が危惧している通り、おそらくは王すらも従えさせる特殊個体がいるよ。
「あっはっはっ、大丈夫さね。今の私の戦いぶりを見ていただろう? どんな魔物だろうと、どんと来いさ」
この天才魔術士ティア様の敵じゃないけどね。
過去に勇者達と戦った魔王の使役していた魔物に比べれば、ゴブリンの混合種なんて可愛いものさ。
おっと、こういうことを言うと手に負えない魔物が現れるフラグが立つとか言うんだったかな?
意味はよくわからなかったけど、勇者がそんなこと言っていたんだよね。
それで実際、とんでもない奴が現れた時もあったし。口は災いの元、かな?
余計なことは考えないようにしよう!
「あなたが高位の魔術士ということはわかったけど、あれだけ魔法を使っていたのだから、もう魔力がなくなりそうじゃ······」
女の子の一人が私を心配してくれている発言をしたけど、魔力ならもうとっくに回復しているよ。
それに、仮に魔力が尽きたとしてもどうにでもなるさね。
大魔女と呼ばれたこの私が魔力切れでポンコツになるとでも?
「心配ないさね。まだまだ魔力には余裕があるよ。それじゃあ、キミ達はここでおとなしく待っていなさいな」
女の子達はこの場に残しておいても大丈夫だろう。もう周囲に魔物の気配はないし、さすがに女王がいると思われる巣の奥にこの子達を連れて行くわけにはいかないしね。
私は心配してくれる女の子達を残して奥へと進んだ。
奥へ進むに連れて、入り組んだ通路が一つに集結しているような道なりになっている。
女王の部屋までもうすぐかな?
逃げていった魔物だけでなく巣の中の魔物全てが女王の下に集まっているみたいだ。
おかげで道中、魔物の巣とは思えないくらい平穏に進めている。
そうして、ついに女王のいる巣の奥にたどり着いた。
そこには大量の魔物が待ち受けていたよ。




