41 天才魔術士無双
ゴブリンと蟻の魔物ビッグアントの群れに取り囲まれた状況だ。
私一人ならどうにでもなるけど、ここには冒険者の女の子達もいるから下手に大魔法は撃てないか。
皆、装備を剥がされて武器も持っていないから戦うことは出来そうにないね。
「キミ達は私の後ろに付いていなさいな。絶対に離れちゃダメだよ?」
私の言葉に素直に従った女の子達の全身に魔法障壁を張った。
これでゴブリン程度の魔物の攻撃じゃ、彼女達を傷付けることは出来ない。
私が本気で張った障壁は竜でも砕けないんだからね。
「「「ゲギャアアッ!!!」」」
周囲のゴブリン達が一斉に襲いかかってきた。
大勢で寄って集って女の子を襲うなんて最低だよ?
「いいよ、相手にしてあげようじゃないか。私やこの子達に指一本でも触れられるなら、やってみるがいいさね」
風魔法を放ち、向かってきたゴブリンを全て弾いた。私が魔法を撃った隙を突いて、ビッグアントが間髪入れずに攻撃してきたけど、そんな程度じゃ不意打ちにならないよ。
下級魔法を連続で撃ち続け、ゴブリンやビッグアントの数がどんどん減っていった。
ほらほら、どうしたのかなゴブリン君達?
下級魔法くらいなら、どんなに撃ち続けても私の自然回復力の方が高いから、魔力が切れることなく延々と放つことが可能なんだよ。
実際、すでに何百発と撃っているけど私の魔力はまだ満タン状態さね。
「「「ゲギャアアッ!!!」」」
ゴブリンアーチャーが弓や投石で遠距離から攻撃してきて、そして大型のゴブリンオーガも現れ、一斉に向かってきた。
全戦力を投入して私を仕留める気だね。
「あっはっはっ! いいだろういいだろう。この天才魔術士ティア様を倒せるものなら倒してみるがいいさね」
来る者拒まず、向かってくる魔物全て相手をしてあげようじゃないか。
洞窟が崩れないように魔法の威力はちゃんと調整してるから心配はいらないさね。
「ギ、ギィィッ······!!!」
しばらくすると魔物の数は半分以下にまで減っていた。
勝ち目がないと判断したようで、残った魔物達は奥の方に逃げていった。
この奥には女王と思われる反応があるね。
「す、すごい······」
「あの醜悪なゴブリン達を一方的に······」
冒険者の女の子達が私の活躍を見て、驚きの声を漏らしているね。
もっともっと私を称えていいんだよ?
魔物がいなくなったことで安心したのか、嗚咽交じりに泣いている子もいる。
相当に怖かったんだろうね。
無事に間に合ってよかったよ。
「さあさあ、もう少ししたら冒険者達が駆け付けて来るだろうから安心しなさいな」
安心させる言葉をかけて、私は女の子達にそれぞれ大きめのタオルを渡した。
ゴブリン達に装備を剥がされたそんな格好を見られちゃったら、お仲間の男達に襲われるかもしれないからね。
さてさて、連れ去られて来た女の子達は全員無事に救出出来たし、後は元凶を絶つだけだね。




