39 ゴブリンの巣
手下は全滅して残るはゴブリンキング君だけとなった。キングはゴブリンオーガをも上回る巨体で、見た目通りの力を秘めている。
それでも竜に比べたらランクの低い魔物なんだけどね。
まあ、人の住む町の近くに現れる魔物としては規格外に変わりはないけど。
「ゲギャギャッ!!!」
ゴブリンキングが近くの大木を引き抜いて、それを振り回しながら向かってきた。
巨体のゴブリンキングをさらに上回る大木だ。
さすがキング、とんでもない力だね〜。
けど、そんなゴブリンキングの一撃でも、私の魔法障壁は破れなかった。
大木の方がバラバラになっちゃったね。
「残念だったね、ゴブリンキング君。さあ、これで終わりさね」
最後は一点集中の火魔法でゴブリンキングを焼き尽くした。
焼け跡には両手でギリギリ持ち上げられるくらいの大きな魔石が残されていた。
さすがゴブリンキングの魔石はサイズが違うね。
「た、たった一人でゴブリンの群れを······」
「しかもゴブリンキングまであんなに簡単に」
「何者なんだ、あの子は······」
冒険者達は私の活躍に驚いているようだね。
もっと素直に褒め称えていいんだよ?
おっと、それよりも結構な重傷者もいるようだし治療してあげるのが先だね。
「そ〜れ、エリアヒール!」
人数が多いから広範囲に効果のある治癒魔法を使った。目に見えるくらいの範囲内にいる人達をまとめて回復出来る魔法さね。
これで軽傷者も重傷者も全員回復したね。
「俺の傷が······」
「信じられねえ、もうダメだと思ったのによ······」
冒険者達は何が起きたのか、理解が追いついていないようだね。
まあ、傷が治ったと言っても疲労までは回復していないだろうし、ゆっくり休んで状況確認すればいいさね。
「そうだ、まだゴブリン共に連れて行かれた女達を助けねえと······!」
男ばかりだな〜と思っていたけど、女の子が何人かゴブリンの巣に連れて行かれてしまっていたかららしい。
やっぱりまだまだゴブリンは残っているみたいだ。
ゴブリンは他種族を孕ます最悪な特性を持っているから、早く助けに行かないとマズいね。
「それならこの天才魔術士ティア様に任せなさいな。巣はどっちの方角だい?」
「え、だけど······」
「いいからいいから。モタモタして手遅れになったらどうするのさ?」
ちょっと急かして問うと、戸惑いながらもゴブリンの巣がある方を指差した。
探知魔法で魔物の気配を探ると、確かにたくさんのゴブリンの反応があった。
そして、その反応の中に一つだけ異質なものが見られる。キング以上に強い反応。
やっぱりゴブリン大量増殖の元凶の女王がいるみたいだね。
それも多分、混合種かな?
しょうがない、ここまでやったんだから最後までズバッと解決してあげようじゃないのさ!




