35 即席の連携攻撃
さ〜て、遠距離から攻撃してくる厄介なゴブリンアーチャーは倒したから、後は通常種とボスのゴブリンオーガだけだ。
まあ、まだ結構な数が残ってるけどね。
「さて、アルフ君にメイラちゃんだったね? ほ〜ら、治療してあげるよ」
まずは二人を治癒魔法で回復してあげた。
メイラちゃんはともかく、アルフ君はゴブリンの攻撃を受けて、軽くはない怪我をしていたからね。
「え、あなた魔術士でしょ? どうして治癒魔法まで使えるのよ?」
「あっはっはっ! 私は天才魔術士ティアだからね! 攻撃魔法でも治癒魔法でもお手の物さね」
メイラちゃんの疑問に笑って答えてあげた。
そんな信じられないようなモノを見る目はやめてほしいね。
「痛みが消えた······。助かったぜ、これでまだ戦える!」
アルフ君は身体が治ったことを純粋に喜んでいた。この子は細かいことは気にしないタイプかな?
「お前ら、油断するなよ! アルフ、お前は向かってくるゴブリンを倒せ。深入りはするなよ! メイラとティアは俺達の援護を頼むぜ」
ローグ君がそれぞれに指示を出した。
ベテラン冒険者だけあって、頼りになるね〜。
さ〜て、じゃあ言われた通り私は援護に徹して皆の戦いぶりを見させてもらおうかね。
ローグ君が向かってくるゴブリンを薙ぎ払い、アルフ君も必死に撃退していく。
メイラちゃんは後方から弓矢を放って、二人が討ち漏らしたゴブリンを的確に倒している。
ローグ君はもちろん、アルフ君とメイラちゃんも良い腕前だね。
ちょっとアルフ君は前に出過ぎたりするけど、そこをメイラちゃんがしっかりサポートしてる。
良いコンビじゃないのさ。
「オオオーーッ!!!」
手下のゴブリンがどんどんやられているのを見て、群れのボスのゴブリンオーガが叫びながら前に出てきた。
こりゃあ、かなりお怒りのようだね。
アルフ君がゴブリンオーガの叫び声を聞いて、少し怯んだ様子を見せる。
ゴブリンオーガは通常種とは比べものにならないくらい強いし、見た目も凶悪で迫力あるからね。
ベテランでも簡単に倒せるような相手じゃないから、この反応も仕方無いね。
「アルフ、下がってろ! コイツは俺がやる」
ローグ君が怯まずに前に出た。
さすがはベテランの貫禄だね。
それにしてもローグ君も身体は大きい方なんだけど、ゴブリンオーガと比べると、まるで子供みたいに見えちゃうね。
「オオオーーーーッ!!!」
ゴブリンオーガが手に持つ棍棒でローグ君に殴りかかった。
通常種のゴブリンとは比べ物にならない大きさの棍棒だ。まともに受ければ、ひとたまりもないだろう。
「ぐっ······こんな物で、やられるかよ!」
ローグ君が自身の斧でゴブリンオーガの棍棒を受け止めた。
体格も身長も倍以上ある相手だけど、ローグ君は全然力負けしていない。
受け止めた棍棒を押し返し、ゴブリンオーガの大勢が崩れたところをローグ君が斧で追撃した。
そしてさらにメイラちゃんが弓を射って、攻撃を加える。私も黙って見てるだけってわけにはいかないから、メイラちゃんの弓矢に合わせてゴブリンオーガに下級の火魔法を浴びせた。
「援護助かるぜ、メイラ、ティア! うおおおーーっ!!!」
連続攻撃を受けてボロボロのゴブリンオーガに、ローグ君が斧を振り下ろしてトドメを刺した。
ゴブリンオーガの巨体が倒れ、動かなくなった。
うん、倒せたみたいだね。
即席の連携が上手く決まって、良い戦果を挙げられたじゃないのさ。




