30 神官ティア様の活躍
さてさて~、情報収集のために冒険者ギルドまでやって参りました!
ラーベリックよりも規模は少々、小さめの建物だね。
「冒険者ギルドへようこそ。依頼を希望ですか?」
受付のお嬢ちゃんがニッコリと出迎えてくれた。
お嬢ちゃんといっても年は二十代後半くらいかな?
ま、五百年生きてる私から見れば皆、子供みたいなものだけどね。
それよりも、どうやら私は冒険者ではなく依頼人だと思われてるみたいだね。
誤解を解くためにラーベリックで作ったギルドカードを見せたよ。
「依頼を持ってきたんじゃなく、私は冒険者さね。ほら、ちなみにランクはCだよ」
「えっ、ランクCの方だったんですか!? まだ若いのにすごいですね」
私の冒険者ランクを聞いて受付嬢ちゃんが驚いているよ。ランクはA〜Fまであって入ったばかりの新人はF。
ラーベリックで会ったシャクト君達はランクDだったよ。
ランクCといえば、そこそこのベテランになるから驚くのも無理ないかもね。
ま、私は若くないけどね。
見た目は永遠の18歳だけど。
「ゴブリンが大量発生しているって聞いたけど、他の冒険者はいないのかい?」
「そのために皆さん、討伐に出ているんですよ。只今、人不足ですので高ランクの方は歓迎しますよ」
ああ、やっぱり皆、出張らっているんだね。
道理で人が少ないと思ったよ。
おそらくはゴブリン討伐で怪我を負ったと思われる人達がチラホラ居るくらいだね。
「私は治癒魔法が使えるから、よかったら怪我人の治療をしてあげられるよ?」
「神官だったんですか!? 助かります、怪我をされた方が多くて手が回っていなかったんです」
治癒魔法が使えると言ったら受付嬢ちゃんに大層歓迎されたよ。
ラーベリックの町でも思ったけど、どうやら魔術士に比べて神官は数が少ないみたいだね。
そんなわけで私はギルド内の怪我人を治療して回った。
「すまねえ、助かった」
そこそこ深い傷を負っている人はいたけど、重傷者はいなかったから治療はすぐに終わったよ。
新人冒険者だけじゃなく、ベテランでも結構な怪我をしている人がいたね。
となるとそれだけ手強いゴブリンがいるわけか。
「ティアさん、神官として優秀な方だったんですね。それならランクCというのも納得です」
受付嬢ちゃんは私の治癒魔法の腕を見て、そう話していた。
治癒魔法だけじゃなく、私はあらゆる魔法のエキスパートだよ?
なんて言ったって私は全世界に名を轟かす大魔女ネイティアース様なのだから!
ま、そんなこと言い触らす気はないけどね。
今の私は可憐な冒険者ティアなんだから。
さてさて、怪我人も治療し終わったことだし、私もゴブリン討伐に行ってみようかね。
ゴブリンの巣がどれだけの規模なのか、この目で確かめておかないと。




