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25 冒険者ギルドでの祝勝会

(サーリィside)


 突如、駆けつけた王国騎士団によって犠牲者を出すことなくスタンピードは収束した。

 それらの後始末をようやく終えて、わたし達含む、冒険者達はギルドでそれぞれ祝勝会を開いていた。



「あれだけの規模のスタンピードで、誰一人死ななかったのは奇跡だったな」


 シャクトの言葉に皆が頷いた。

 ただでさえ数多くの魔物を相手にしなければならない上に、今回のスタンピードには竜までいた。

 下手すればわたし達は全滅して、町も壊滅的な被害が出ていた可能性もある。


 そうならなかったのは間違いなくティアさんのおかげだと思う。

 ティアさんがラーベリックから遠く離れた王都から騎士団を連れて来たからだ。

 どうやって連れて来たのか疑問に思うところだけど、()()()()ならそれも可能なのだろう。


「ティアちゃん、もう戻って来ねえのかな」


 レッグがつぶやくように言う。

 ティアさんは魔物達を倒した王国騎士団と共に姿を消してしまった。

 もう皆もティアさんの正体に感付いている。


 あらゆる魔法を扱い、絶大な魔力を秘めた大魔術士。そして王国騎士団長が師匠と呼ぶ存在。

 不老不死の魔女は年を取らないので、若い容姿でも不思議ではない。

 なんだか遠い存在になってしまったみたい。

 いや、実際わたし達とは本来関わることなんてないくらい遠い存在なんだろうけど。


 未だに()()()()()()なんて呼べるレッグの神経はある意味すごいと思う。

 わたしは今までのようにティアさんってちゃんと呼べるだろうか?

 けど、もう会うことは出来ないのかもしれないかな······?




「お、祝勝会中かな? 盛り上がっているね〜」


 そう思っていたところに、まさかのティアさんがやってきた。

 わたしはあんなことを考えていたのに、ティアさんはいつも通りの様子だ。

 周囲の冒険者達はティアさんを見て、ざわついている。


「あっはっはっ! 楽しんでいたところを邪魔しちゃったかな? けど、お別れの挨拶は必要だと思ったからね」


 ティアさんは今日を最後にラーベリックの町を出て、新たな旅に出ると言った。

 やっぱりお別れになるんだ······。

 他の冒険者達も残念そうな声を漏らしている。




「さあさあ、お別れだからってしんみりするんじゃなくて楽しくいこう! 今日は私の奢りさね、パーッと行こうじゃないか!」


 ティアさんが大量のお酒と食べ物を取り出して、皆に振る舞った。

 お酒と食べ物はどれも極上の物で、普段わたし達冒険者が手を出せない物ばかりだったので皆、歓声を上げていた。



 ギルド内はさっきまでよりも更に大盛り上がりになっていた。

 わたし達のパーティーは皆、お酒は苦手であんまり呑まないけど、レッグだけは他の冒険者達と一緒に呑んで酔い潰れていて、シャクトとタミアが呆れたように介抱していた。




「おや、シャクト君達は呑んでいないのかい? そこのレッグ君みたいに、めでたい席は羽目を外してもいいんだよ?」


 宴会が続き、皆が酔い潰れてきた頃にティアさんがわたし達のところにやってきた。




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