24 騎士団長の告白
「さて、じゃあそろそろお暇させてもらおうかね。会ってそうそう迷惑かけちゃったね、アル君。今日は本当に楽しかったよ」
スタンピードの件の報告とかはアル君の部下に任せて、せっかくだから私は久しぶりの王都観光を楽しんだ。
もちろん、私一人で回ったんじゃなくてアル君にエスコートしてもらったよ。
騎士団長ということでアル君は結構な有名人で、少し変装しただけじゃバレたりしたから大変だったけどね。
いや〜、久しぶりの王都はラーベリックの町同様に色々と発展していて楽しかった。
私は満足気にアル君にお礼を言った。
「いえ、我が国の問題を解決してもらったのですから、これくらいの歓迎は当然のことですよ。それはそうと国王陛下にお会いしていかないのですか?」
「ん〜、特に用事もないからね。当初は王都に寄るつもりもなかったし」
せっかく気楽な旅を楽しんでいるのに、堅苦しいのはゴメンだよ。
ま、久しぶりにアル君に会えたし、それはよかったけどね。
「そういえば、アル君。噂話で聞いてたけど、まだ独り身なんだってね? もういい年なんだから良い人見つけて身を固めたら?」
お節介かもしれないけど心配にもなるよ。
地位も名誉もあって好青年、見た目もイケメンなアル君なら女の子の方が放っておかないと思うのに。
もしかしてアル君、異性に興味のない同性愛者?
な〜んて、そんなことないのは知ってるけどさ。
「まだそういうことは考えていませんね」
どちらかと言えばアル君、仕事人間かな?
自分の仕事を優先するタイプみたいだし。
「じゃあ好きな子や気になるような子はいないのかい?」
「············いますよ。私の目の前に」
ん? おいおいおい、それは私のことかい?
何を言ってるのかな〜、この子は。
年甲斐もなく少しドキッとしちゃったじゃないか。もしかして王都観光でデートしたことで惚れちゃったのかな?
「もうアル君、年寄りをからかうもんじゃないよ?」
「五年前に言った私の言葉、お忘れですか?」
五年前······?
そういえば、アル君が私のもとから卒業する時にプロポーズめいたことを言われた記憶があるね。
もちろん、その時も丁重にお断りしたけどね。
「アル君、冗談はやめなさいよ? まだそんなことを言ってるのかい?」
「私は本気ですよ。あの時から何ら気持ちは変わっていません」
「尚、悪いわ。アル君にはもっと若い子の方がふさわしいよ。こんな老い先短い私なんかに惚れるんじゃないよ」
そりゃあ私は大魔女様だし魅力的かもしれないけどさ、本気になっちゃ駄目だよ?
「老い先短いって······お師匠様は不老不死でしたよね?」
「それとこれとは話が別だよ。さ、この話はおしまいさね」
おっと、口が滑るところだったよ。
さてさて、長居をすると変なことになりそうだし、早いところ行くとするかね。
魔王の封印を巡る旅、まずはどこに行こうかな?
ま、その前にラーベリックに寄ってサーリィちゃん達にお別れの挨拶もしておかないとね。




