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21 ルヴェリューン王国騎士団長

(サーリィside)


 突如現れた集団の鎧に刻まれているのは間違いなく、ルヴェリューン王国騎士団のエンブレムだ。


「第一隊は周囲の魔物を殲滅せよ。第二、第三隊は迅速に森の消火にあたれ!」


 的確な指示によって竜の炎によって燃やされていた森が消火されていく。

 まだ残っていた竜以外の魔物も次々と討ち倒されていた。



「おお〜、ルヴェリューン騎士団もアレクバイン王国に負けないくらい練度が高いね~」


 それを見ていたティアさんが緊張感のない口調で言う。まだ目の前には竜が立ち上がろうとしてるのに気にしている様子がない。


「ティア、まだ竜が生きて······」

「大丈夫だよ、タミアちゃん。もう私の出る幕はないだろうからね」


 わたしの横でタミアが怯えた声を出す。



 ティアさんがそう言うと、竜の前に一人の騎士が立ち塞がった。

 さっき騎士達に指示を出していた人だ。

 この人のことは知っている。



 若くしてルヴェリューン王国騎士団全てを率いるアルディラーズ団長だ。

 剣と魔法のエキスパートで無類の強さを誇るルヴェリューン王国最強の騎士。

 数年前までアレクバイン王国で()()()()()を受けていたという話も聞いている。


「グオアアアーーッ!!!」


 立ち上がった竜が目の前のアルディラーズ騎士団長に襲いかかった。

 騎士団長は冷静に竜の攻撃をいなした。


「竜種か。()()()()に課せられた修業を思い出すな」


 騎士団長が構え、手に持つ剣に魔力を流す。

 魔力を帯びたことで剣の切れ味と強度が増しているのが、目に見えてわかる。


断翔剣(だんしょうけん)っ!!!」


 騎士団長の剣が一瞬にして竜を斬り裂いた。

 竜の強靭な皮膚が紙切れのように切り刻まれていた。


「エクスプロージョン!!!」


 さらに炎系最上級魔法を放って竜を完全に消し飛ばした。あの絶対的な力を持っていた竜をあっさり······。

 これが王国最強の騎士様。






 竜によって燃え広がっていた周囲の炎も他の騎士達の手で、あっという間に鎮火されていた。

 竜以外の魔物も短い時間で討伐された。


 負傷した冒険者達も騎士達によって町まで運ばれていき、犠牲者が出ることなくスタンピードは終息した。


「大丈夫か、タミア、サーリィ」


 わたし達を心配してシャクトが声をかけてきた。

 多少、魔力を消耗して疲れているけどわたしもタミアも怪我はない。


「シャクトは怪我はなさそうね。レッグは大丈夫なの?」

「オレも怪我なんかしてねえよ」


 タミアに言われてレッグが怪我はないとアピールする。竜の攻撃を受けていたから身体を痛めていそうだけど、本当に心配するほどでもなさそう。



「うんうん、みんな無事で何よりだね〜。何事もなく終わってよかったよかった」


 ティアさんがそう言いながら周囲を見渡した。

 今更かもしれないけどティアさん、竜の攻撃をまともに受けていたけど本当に大丈夫なの?

 ティアさんの表情を見る限り、全然平気そうだけど······。



 そんなティアさんのもとに一人の騎士が近付いていき、声をかけた。

 王国騎士アルディラーズ団長だ。

 団長自らティアさんに何の用があるのかと思っていたら、アルディラーズ団長はティアさんの前で跪いた。


「お師匠様、魔物の殲滅および森の消火、完了致しました」


 国最強の騎士様がティアさんにそう言った。

 ()()()()······。確かにそう聞こえた。

 王国最強の騎士様がそう呼ぶということは······。



 もしかしたらとは薄々思っていたけど。

 やっぱりティアさんって············。



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