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2 魔女の旅立ち

 そういうわけで旅に出ようと思うわけだけど、特にアテがあるわけでもないんだよね〜。

 どこに行こうかな?


 とりあえずは今まで居た国からはできるだけ離れることにしたよ。

 別にあの国が嫌いなわけじゃないよ?

 寧ろ住心地の良い、いい国だと思ってるよ。



 ただ、まあ旅に出るなんて言ったらついてくるって言いそうなのがいっぱいいるからね〜。

 長く住んでいただけに私を慕う弟子もたくさんいたわけだし。


 私はもうすぐ死んじゃうのに、そんな子達と一緒にいたら未練が残っちゃいそうだもん。

 というわけでさっさと旅立つことにしよう!




 移動手段は「風」魔法で空を飛んで超速移動!

 なんと私は自由自在に空を飛べちゃうのだ!

 もちろん、こんなことは普通の魔術士には出来ないよ。500年かけて鍛えた私の魔力と技術力があってこそなんだから!


 それではアレクバイン王国のみんなよ、さらば!









 風を切って猛スピードで国を離れた。

 いや〜、空を飛ぶのも久しぶりだけどやっぱり気分いいね〜。

 ま、ある程度離れた後はのんびり適当な国を観光して行こうか。



 そうして空からの景色を楽しんでいたら、なにやら気になる光景が見えた。

 森の中で複数の人間が、魔物と戦っているところだ。


 魔物と戦っているのは冒険者かな?

 男性二人、女性二人の四人組冒険者でそれぞれ武器を構えて魔物を囲んでいる。

 駆け出しの新人でもなく、ベテランってわけでもないくらいの装備と動きだね。


 相手にしている魔物はブレードボア。

 全身が鋭い刃物のような体毛に覆われた猪型の魔物だね。しかも結構大型だから戦い慣れたベテランクラスじゃないと厳しいんじゃないかな?



 冒険者達は息のあった連携で魔物を攻撃している。けど、魔物の体毛が堅すぎてダメージを与えられていない。

 リーダーだと思われる男性冒険者の剣が弾かれた。女性二人は魔術士かな?

 「炎」魔法で魔物を攻撃したけど、魔物にかき消された。


 魔物が反撃に突進してきて、女性二人を庇った男性冒険者の一人が思い切り吹き飛ばされた。

 これはヤバそうだね。

 しょうがない、手助けしてあげるかな。






「レッグ、大丈夫か!?」

「げはっ······あ、ああ······、なんとかな」


 魔物の突進をまともに受けた冒険者は傷が深そうだけど、懸命に立ち上がった。


「シャクト、レッグ! このままじゃマズいわよ。逃げましょう」

「そうしたいんだが······逃してくれそうにないぜ······」


 魔物は怒りで興奮状態になっていた。

 絶対に獲物は逃さないって姿勢だね。

 ブレードボアは巨体の割に動きが速いため、一度狙われると簡単には逃げられない。


 シャクトと呼ばれていたリーダーっぽい男性が前に出て魔物を挑発した。

 もしかして自分が囮になるつもりかな?


「待ってシャクト! 危ないわよ!?」

「お前らは逃げろ! ここは俺が引き受けるからよ!」


 女性冒険者が心配する声をあげたけど、リーダーっぽい男性は構わず前に出て魔物に向かっていく。


「ブモオオーーッ!!!」


 魔物が男性冒険者に向かって突進した。

 あれは放って置いたらマズいわね。

 まったく、まだ若いんだから生き急ぐんじゃないわよ。



――――――――――!!!


「ブモオッ!!?」


 私は上空から急加速して男性冒険者と魔物の間に降り立った。

 着地した衝撃波で魔物を弾き飛ばした。


「え······な、何が起き······」


 男性冒険者の方は何が起きたのかわからないって様子だね。

 私は男性の方を向き、なるべく気さくに話しかけた。


「やあやあ、少年少女達。手助けは必要かい?」

「え······あの······?」


 せっかく緊張しないようにフレンドリーに話しかけたのに言葉が出ないみたいだね。

 他の三人も似たような反応してる。

 戦いの最中に呆然とするなんて自殺行為だよ?


「ブモオオーーッ!!!」


 ほら、魔物が起き上がっちゃったよ。

 さっきよりもお怒りみたいだね。


「ほらほら、どうするの? あなた達に厳しい相手なら手伝ってあげるって言ってるんだよ。手助けは不要かい?」


 勝手に魔物を倒しちゃうと獲物を横取りしたとか言われることもあるからね。

 よほど緊急事態でもない限りは確認を取らないと面倒なことになりかねないんだよね。


「ああ、すまないが手を貸してほしい」


 剣を構えて男性冒険者がそう言った。

 よしよし、言質は取れたね。

 それじゃあ遠慮なくやっちゃおう〜!


 私は怒りに任せて突進してきた魔物の前に立った。


「ちょっ······、一人で戦うつもりか!?」


 男性冒険者が何か言ってるけど、今は構ってる場合じゃないよね。

 私は魔力を集中し、魔物に狙いを定めてた。


「そ〜れ、ファイヤー!!」


――――――――――!!!


 よ〜し、命中したね。上手に焼けました〜!

 こんがり焼けた魔物の巨体が倒れた。

 ま、私にかかればこの程度の魔物は下級魔法一撃でお終いだね。



「「「「············」」」」


 おやおや?

 四人揃って呆然としちゃってどうしたのかな〜?




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