17 スタンピード発生
「封印完了〜! ······ってね」
湧き出てきた魔物をすべて倒し、召喚魔法陣も消滅させた。
もうこれで魔物が召喚されることはないはずだよ。魔王の作り出した魔法陣は強力だけど、そう何度も復活することはないだろうからね。
そもそも問題なのはどうしてこの魔法陣は復活したのかな?
以前、徹底的に破壊したからもう大丈夫だと思っていたんだけど。
何十年もかけて必要な魔力が集まり、さらにたまたま発動条件が揃っちゃったとか?
ありえないとは言わないけど、そんなことが起きるなんて極低確率なものなんだけどね。
最悪な可能性があるとすれば人為的なものか······。
けど、誰が何の為に? ってことになるしさすがに考えすぎかな。
ま、魔法陣は消しちゃったしこれで解決ってことでいいかな。
――――――――――!!!!!
遠くの方から凄い地響きと魔物のものと思われる咆哮が聞こえてきた。
あれ? もしかしてまだ終わってない?
(シャクトside)
今日は冒険者ギルドでレッグ、サーリィ、タミアと今後受ける依頼について話し合っている。
昨日のことがあったためにサーリィは気まずそうに視線を逸らしているし、タミアはちょっと不機嫌そうだ。
「サーリィのに目が行っちまってタミアの小さいのなんて見てねえよ······!?」
昨日のこのレッグの失言が不機嫌な理由だろう。
鉄拳制裁を受けた後、さらにレッグはタミアに張り倒されていた。
ちなみに俺はレッグがしっかり二人のを見ていたのに気付いている。
あの後二人にちゃんと謝ったし、ティアさんが執り成してくれたからなんとか場が収まったが。
いつまでも引きずっていては今後の活動にも影響しかねないので、改めてレッグと共に謝っておいた。
「ティアさんは今日はギルドに来ていないのか」
「なんでも朝早くから町の外に出掛けていったらしいわよ。あたし達が宿に訪ねた時にはもういなかったもの」
俺の呟きにタミアが答えてくれた。
町の外に出掛けたのか。
朝早くに宿を出るなんて、何かギルドの依頼でも受けていたのだろうか?
「ティアちゃんって昨日、サーリィとタミアと魔物退治してきたばっかりだろ? どんな体力してるんだよ」
確かに昨日三人でとんでもない数の魔物を討伐してきたらしいからな。
二人の取り分だと言って渡された報酬はかなりの額だった。
「ティアは絶対普通じゃないわよ。笑いながらあんな数の魔物を相手にするなんて。今までどんな生活してきたのかしら······」
「まあ······でも悪い人じゃないと思うよ? ちゃんとわたし達が死なないようにサポートしてくれていたし、それにティアさんのおかげで強くなれたんだし」
「サーリィの言ってることもわかるけど······。さすがにもうあんな数の魔物を相手にしたくないわ。命がいくつあっても足りないもの」
タミアとサーリィが昨日のことを思い出しながら遠い目をしている。
魔物との戦いが相当にキツかったようだな。
そんなふうに話をしているとギルドの入口の扉が勢いよく開いた。
何人かの冒険者達が慌てふためきながら入ってきて受付に叫ぶように報告した。
「も、森の中から大量の魔物が出てきたんだ······! もうすぐ町まで攻めてくるぞ!」
どうやら以前より危惧されていた魔物の大量発生が起きたらしい。




