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15 仲良きパーティー

 タミアちゃんが目を覚ましたので私は冒険者ギルドに魔物討伐の報告に向かった。

 サーリィちゃんはまだ目を覚ましてなかったけどタミアちゃんに任せておけば大丈夫でしょ。






「こ、これをティアさん一人で討伐したんですか?」


 討伐の証明のために収納魔法で仕舞っておいた魔物を取り出したら受付嬢ちゃんが腰を抜かす勢いで驚いていた。

 まだ半分くらいしか出してないんだけどな〜。

 さすがにこれ以上は置くスペースがないからね。


「ううん、サーリィちゃんとタミアちゃんにも手伝ってもらったよ」


 ここは正直に言っておかないと私一人の手柄になっちゃうもんね。

 受付嬢ちゃんは他のギルド職員を呼んで魔物の査定をする。

 しばらく待つと査定が終わり、報奨金が出された。


「ティアさん、これは今日一日で討伐されたものなんですよね?」

「そうだね。()()魔物退治をするつもりだったけど次々現れてキリがなかったよ。もしかしたら魔物の()()()()()()の予兆かもしれない」

「やはりそうですか············」


 私の話を聞いて受付嬢ちゃんが神妙な顔でつぶやいた。


 スタンピードとは魔物が突如大量発生し、暴走することを意味する。

 大量発生する原因は様々だけどね。

 人知れずいつの間にか手に負えない程に数を増やしたものだったり、何らかの理由で住処を追われ、別の場所から押し寄せて来たものだったり。



 受付嬢ちゃんに話を聞くと、以前からスタンピードの兆候の報告はあったらしい。

 けどそこに先日までの病気の蔓延という異常事態が重なり、それどころではなかったと。

 

「これはもう悠長にしていられる事態ではないかもしれませんね。国に報告し、討伐隊を組んでもらいます。ティアさん、報告ありがとうございました」


 まあ、まだ()()だから最悪の事態になる前に国の騎士団辺りに討伐してもらうべきだろうね。

 スタンピードが発生すればこの町まで大量の魔物が押し寄せて来るだろうから。

 これは私も後で()()()()()()()()()()







 報告を終えて、ギルドを出ようとしたところでシャクト君とレッグ君の姿が見えた。

 二人も私に気付き、声をかけてきた。


「やあ、ティアさん。魔物の討伐帰りかな?」

「さっきすげぇ量の報奨金を受け取ってたのが見えたぜ。一人でそんなに討伐したのかよ」


「私一人の手柄じゃないよ? サーリィちゃんとタミアちゃんの活躍によるものさね」


 二人にも森での出来事とスタンピードの兆候の可能性について話しておいた。

 二人とも受付嬢ちゃん同様に兆候について気付いていたみたいだ。


「やっぱりそうなのか······。前にティアさんに助けてもらった時も、あんな所にブレードボアが現れるなんておかしいと思ってたんだ」


 シャクト君が言う。

 確かにブレードボアは本来もっと森の奥の方で現れる魔物のはずだからね。


「サーリィとタミアはどこにいるんだ? ティアちゃんの助けがあったとはいえ、すげぇ数の魔物を相手にしていたんだろ?」

「サーリィちゃんとタミアちゃんなら私の泊まっている宿で休んでいるよ。結構疲れていたからね」


 レッグ君の質問に答える。

 そろそろサーリィちゃんも目を覚ましたんじゃないかな?



「そうか······。今後の予定について二人に話があったんだが、それなら明日の依頼を受けるのは中止にした方がいいかな」

「う〜ん、そういうことはちゃんと話し合って決めた方がいいんじゃないかい? 二人のいる宿まで案内するよ」


 いくらリーダーだからって勝手に決めるのはよくないよ。パーティーメンバーの意見はちゃんと聞かないとね。

 というわけでシャクト君とレッグ君を二人のいる宿まで案内してあげることにした。


 男女のパーティーはなにかと問題が多いものなんだけど、シャクト君達はずいぶんパーティー内の仲が良いみたいだね。良きかな良きかな。






「さ、着いたよ。ここが私の泊まってる宿さね」

「ずいぶん良い宿に泊まってるんだな、ティアちゃん。オレらは大抵安宿だから羨ましいぜ」


 レッグ君が言う。

 シャクト君達も実力あるんだから、それなりに稼げてると思うんだけど節約とかしてるのかな?

 もしかして男女四人が一つの部屋で······レッグ君はともかくシャクト君は誠実そうだしそれはないかな。



「たっだいま〜。ゆっくり休めたかい? サーリィちゃん、タミアちゃん」


 宿に着いて私はノックもしないで部屋の扉を開けた。それがいけなかったかな?

 タミアちゃんが驚いてこっちを向いた。

 サーリィちゃんもすでに目を覚ましていて、一緒に振り向いている。



 問題なのは二人とも服を脱いで下着だけの姿だということ。上半身なんて胸が露わになっているね。

 悔しいことに二人とも私より胸が大きいね。

 特にサーリィちゃんの方がタミアちゃんより豊満かな。


 まあ、そんなことはいいさね。

 二人とも濡れタオルを手にして身体を拭き合っていたみたいだね。

 魔物と戦って汚れもついたし、汗もかいてただろうし女の子ならキレイにしておきたいものだよね。


 一応、この宿には小さいお風呂が各部屋にあるんだけど、ここは私が泊まっている部屋だから勝手に使うのは気が引けたのかな?


「な、なん······なんでシャクトとレッグがここにいるのよ!?」


 驚いて固まっていたタミアちゃんが私の後ろにいる二人に気付いてようやく口を開いた。

 同じくシャクト君とレッグ君も固まっているね。

 でも二人の目線はタミアちゃんとサーリィちゃんの胸をしっかり見············。


「「見るなぁ(見ないでぇ)ーーっ!!!」」


 二人の渾身の鉄拳が飛び、シャクト君とレッグ君が宙を舞った。



 う〜ん、タミアちゃんもサーリィちゃんも思ってたより力があるね。

 これなら魔法だけじゃなくて格闘術も教えてもいいかもしれないな〜。


 

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