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14 タミア視点

(タミアside)


 サーリィがティアの指導で魔法訓練を受けてから魔力がとんでもなく跳ね上がっていた。

 どんな訓練を受けたのかと聞いても曖昧にはぐらかせてくる。


 たった一日の特訓であんなに強くなれるならあたしも、と思ってサーリィと一緒にティアの滞在している宿に向かったのだけど、そんな軽はずみな行動をあたしは後悔した。




 ティアが魔法訓練の指導してくれるといい、なんと魔物の巣食う森の奥地まで連れて来られた。

 こんな場所まで連れて来て特訓するとか、一体何を考えてるのよ!?


 サーリィはなんだか諦めたような顔してるし、昨日もこんなことをしていたの!?

 色々と文句を言ってやりたかったけど、魔物が次々と襲いかかって来るのでそんな暇はない。


 ティアは呑気に 「頑張って〜」とか言ってるけど、あたしここで死ぬんじゃないの?

 あたしは死にもの狂いで戦った。

 もう、必死すぎて途中からどう戦ったか覚えていない。




 地獄のような魔物との連戦を終えて、気が付いたらラーベリックの町の宿屋のベッドの上にいた。

 横にはサーリィも一緒に寝かされていた。

 どうやらティアが力尽きたあたし達をここまで運んでくれたみたい。


「おや、目が覚めたかい? 最初の訓練としてはちょっとばかしハードすぎたかな? あっはっはっ!」


 起きてすぐにティアがそう言ってきた。

 ハードなんてものじゃなかったわよ!

 あんな強力な魔物の群れの中に突っ込むなんて、普通なら死んでるわよ!


 文句を言ってやりたかったけど、起きたばかりでそこまでの気力は回復していなかった。


「ま、結構頑張っていたしずいぶん潜在魔力が上がったんじゃないのかい?」


 気楽に言ってくれるわね、と思ったけど確かにあたしの魔力の強さがかなり上昇しているのが実感できた。

 最後の方は無意識に戦っていたけど、相当な数の魔物を倒したみたい。


「······ねえ、あなた本当に何者なの?」


 あたしやサーリィはクタクタになってるのにティアは疲れている様子がまるでない。

 あたし達に何度も魔力を分け与えていたんだから、ティアが一番疲労しているはずなのに。

 ティアの潜在魔力は普通じゃないわ。


「私は天才魔術士ティア······おっと、今は冒険者ティアと名乗るべきかね。あっはっはっはっ!!」


 ティアはそう言って豪快に笑った。

 マジメに答えるつもりはないみたいね。


 とんでもない実力者だけど初めて会った時は魔物から助けてくれたし、悪い人じゃないと思うわ。

 かなりおかしな······変わった人だけど。


 サーリィと同じ年とは思えないわ。

 なんだかもっと年上のような威厳を感じる。

 豪快に笑っているところは子供じみてるけど。



「それじゃ私はちょっと出掛けてくるけど、君達はもう少し休んでおくことだね。目が覚めたばかりでまだ本調子には程遠いだろう? お腹空いているならそこの入れ物に色々入っているから自由に食べてていいよ」

「もう日が暮れかけているじゃない。こんな時間にどこに行くのよ?」

「冒険者ギルドに君達が討伐した魔物の報告をしに、だよ。あれだけ倒したんだから報酬を楽しみに待っていなさい。あっはっはっ!」


 そう言ってティアは部屋を出ていった。

 どうやらずっと倒れたあたし達の介抱をしてくれていたので、今からギルドに向かうみたい。



 正確には覚えてないけど、かなりの数の魔物を倒したのは間違いない。

 そんな数の討伐報告をしたらギルドの人達、驚いて腰を抜かすんじゃない?





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