13 異変の予兆
サーリィちゃんとタミアちゃんを強くするための実戦訓練の始まりだ!
レベルアップのための魔物がいい感じに集まってきたし、どんどん倒していこう!
魔物を倒せば倒すほど、魔法は使えば使うだけ強くなれるからね。
「こ、こんな数の魔物······相手に出来るはずないわよ! 今の魔法で魔力をかなり消費しちゃったし······」
「大丈夫大丈夫。魔力なら私がいくらでも分けてあげるから」
タミアちゃんはさっきの中級魔法ですでに息切れしちゃってるね。
ま、すぐに分けてあげるから問題ないけどね。
「え、あたしの魔力が満タンに······? あなた、本当に何者なの? 他人に魔力を分けるだけでも難しい技術なのに、こんな一瞬で······しかもあなた自身、まったく消耗しているようには······」
「ほらほら、そんなこと言ってる場合じゃないよ? 魔物は待ってくれないんだからさ」
私達に向かって大量の魔物が迫ってきていた。
近くまで来ているのは身体が緑色に染まった小柄な人型の魔物、ウッドゴブリンだ。
森の奥地に生息する通常のゴブリンよりも少しだけ強い、上位種だね。
通常のゴブリンは駆け出しの新人でも倒せるくらいの魔物だけど、上位種はそれよりも少し強いし連携もしてくるから厄介なんだよね。
サーリィちゃんはまだまだ私が魔力を分けなくても余裕があるみたいで、さっそく打って出たよ。
「フ、フレアサークル!!」
サーリィちゃんの炎の中級魔法でゴブリン達を焼き払った。
ゴブリン種なら少しくらい強い上位種でも全然問題なさそうだね。
「「「グオオオーーッ!!!」」」
二人が頑張って魔物を倒しているけど、次から次へと新たに魔物が襲いかかって来る。
う〜ん? いくら森の奥地とはいえ、いくらなんでも魔物の数が多すぎるね。
以前にも起きた魔物の大量発生の時とよく似た状況だ。
これはひょっとしたらひょっとするかもしれないね。
「も、もうダメ······」
「体力の方が······も、持ちません」
さすがに何度も魔法を撃ち続けていたから、私が魔力を分けて回復させても身体の方が限界みたいだね。
けど、なんだかんだで結構な数の魔物を倒したものだよ。実戦訓練はこのくらいで良さそうだ。
「「「ガアアアーーッ!!!」」」
さ〜て、じゃあ今日のところはお開きとしようかね。
「そ〜れ、デスプロージョン!」
襲いかかって来た魔物の中心に向けて私は爆裂魔法を放った。巨大な火柱が上がり、目に見える範囲の魔物はすべて吹き飛んだ。
この魔法は火力調節が難しく、下手すると味方ごとどころか辺り一帯を吹き飛ばしちゃうくらい危険な魔法なんだけど、私ならこの通り魔物だけを殲滅出来ちゃうのだ!
おっと、得意気に言ってる場合じゃないね。
サーリィちゃんとタミアちゃんが限界を迎えて気を失っちゃったよ。
しょうがないな〜。
ちゃんと安全な所まで運んであげないとね。




