12 実戦訓練開始
さあさあ、実戦訓練のためやってまいりました、森の中!
冒険者ギルドの討伐依頼リストも大体把握しているからね。訓練しながらおこづかいも稼げちゃう最高の特訓だ。
「おっ、さっそく来たようだね」
複数の魔物がこっちに向かってきた。
魔物はブレードボア。おあつらえ向きだね。
サーリィちゃん達が以前は苦戦して倒せなかった魔物だよ。
しかも10体くらいの群れで現れたよ。
「ウ、ウソでしょ······!? ブレードボア、しかも複数で襲いかかってくるなんて······」
タミアちゃんが驚愕の表情をうかべているね。
まあ、以前自分達を窮地に追い込んだ魔物なんだから驚くのも仕方無いか。
「さあ、サーリィちゃん。あの群れに思いっ切り魔法を撃ち込んじゃえ〜!」
「え······い、いきなりそんなことを言われても······!?」
「ほらほら、考えてるヒマなんてないよ。もう私達を狙って来てるみたいだし」
ブレードボア達は完全に獲物を狙う目付きをしているよ。ボサッとしているとあいつらのエサになっちゃうよ。
「イ、インパクトフレアッ!!!」
戸惑いながらもサーリィちゃんが魔法を放った。これは炎属性の中級魔法だね。
昨日の特訓のおかげでほとんど詠唱なしで撃つことができるようになったみたいだね。
――――――――――!!!
サーリィちゃんの魔法は群れの中心に到達すると一気に燃え広がり、魔物達を焼いていく。
おお〜、半分くらいは倒せたみたいだ。
重厚、重厚。いい感じにレベルアップしているじゃないか。
「さ、次はタミアちゃんの番だよ。サーリィちゃんから聞いてるけど、それなりに中級魔法を使えるでしょ? さあ、遠慮なく魔物の群れに撃ち込んじゃえ!」
「わ、わかったわよ······エアブレイド!!」
迷っている場合じゃないと判断したようで、タミアちゃんは早口で詠唱を完了させ、魔法を放った。
これは風属性の中級魔法だね。
サーリィちゃんのように特訓していないから威力はちょっと心許ないけど、いいダメージが入ったみたいだ。
「「「ブモオーーッ!!」」」
生き残った魔物が怒りのまま突進してきた。
さすがにまだあの数を全滅させることはできないか。けど、充分な成果だね。
「そ〜れ、ファイア!!」
残りの魔物は私の魔法でこんがり焼いて仕留めたよ。うんうん、いい感じいい感じ。
「た、倒せたの······ね。よかった······」
タミアちゃんが緊張が抜けたようにその場に座り込んだ。サーリィちゃんは肩で息をしているけど、まだまだ余裕そうだ。
「ほらほら、実戦訓練は始まったばかりだよ? 次の魔物のおでましだ」
ここが危険な森の中だということを忘れちゃいけないよ。今の騒ぎを聞きつけて魔物が集まってきたね。
タミアちゃんが絶望的な表情をしているけど、これくらい平気平気。
さ、ちゃちゃっと魔物達を返り討ちにして一気にレベルアップしちゃおう!




