11 実戦訓練に向けて
昨日の特訓でサーリィちゃんは予想以上に強くなったみたいだ。
けど、そのおかげでタミアちゃんとずいぶん魔力の差がついちゃったようだね。
同じパーティー内であまりに実力差がついちゃうのは色々と問題が出そうだ。
これはおねえさんがなんとかしないとだね。
「さあさあ、どうするタミアちゃん? タミアちゃんが望むならサーリィちゃんと一緒に私が直々に鍛えてあげようじゃないか」
「え······あ、あたしは······その······」
「嫌なら別にいいんだよ?」
強制するつもりはないからね。
やりたいのならやりたいと言えばいいし、やりたくないのなら断ればいい。
決断するなら自分の意思で、だよ。
「お、お願いします······! あたしもサーリィのように強くなりたい······です」
タミアちゃんは敬語が苦手なようだけど、ちゃんとハッキリ言ったね。
そう言われたら私も張り切っちゃうよ〜。
「うんうん、おねえさんに任せなさい! と、その前に確認だけどサーリィちゃん、タミアちゃん、依頼を受けた足でそのままここに来たみたいだけど疲れているかな?」
さっきまで冒険者ギルドの依頼を受けていたんだからね。依頼の内容は知らないけど話を聞く限り、魔物の討伐依頼でも受けていたんだろうね。
「あ、あたしは別に疲れてないけど······」
ちょっと強がってる感があるけど、確かにタミアちゃんはまだまだ魔力も体力も余裕があるみたいだね。
「わたしも平気です······。普通なら依頼を受けた後は魔力がほとんど残っていないはずなんですけど、ティアさんの特訓のおかげでまだ余裕があります」
サーリィちゃんも全然平気そうだね。
よ〜し、それなら実戦訓練と行こうかね〜。
「さあ、到着〜!」
というわけでさっそく現地に赴いたよ。
場所はラーベリックの町を出て近くの森。
サーリィちゃん達と初めて会った所で、そこよりもさらに奥地だ。
「な、なんでいきなりこんな所に連れて来るのよ!? この森、危険な魔物が現れたりするのよ!?」
タミアちゃんが抗議してきた。
そんなことわかってるって。だから実戦訓練になるんじゃないのさ。
「というかティアさん、どうやって飛んでたんですか? それもわたし達も一緒に連れて」
昨日の特訓で私のやり方に慣れてきたのか、サーリィちゃんは意外と冷静だね。
どうやってここまで来たかって?
そりゃあ私の「風」魔法でビュンッとだよ。
サーリィちゃんとタミアちゃんは「風」属性の膜で包んで引っ張る形で一緒に連れてきたよ。
空を飛んでる最中、タミアちゃんがキャーキャー楽しそうに叫んでいたね。
まあ、それよりも特訓開始だ!
この森は入口付近は大した魔物の気配はないけど、奥に行くほど強い反応があるからね。
腕を上げるにはうってつけの相手がたくさんいるはずだよ。




