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クラス編成

 入学式が終わり、自分のクラスへ。

 今年度の新入生はちょうど100名。なので、25人ずつ、四クラスに分かれた。

 ロイのクラスは1組。重い足取りで1組教室へ向かう。

 教室は扇状に広がった広い空間で、席は自由のようだ。

 ロイは、目立たないように隅っこへ。木刀を外し、足下へ置いた。


『貴様、我輩を粗末に扱うな。足下に置くなど』


 うるさいぞ。

 ロイはそう思い、足下の木刀を軽く蹴る。

 何気なく教室を見渡すと、すでにいくつかのグループができていた。

 その中で、一人の少女が大勢に囲まれているのをロイは見た。

 

「あれは、確か……」


 青い髪、眠そうな目、机の上には、美しいクリアブルーの鞘に収まった細剣(レイピア)

 氷聖剣フリズスキャルヴ。女神が造りし七本の聖剣、その一振りだ。

 クラスメイトたちは、氷聖剣を神々しそうに眺め、その所持者である青髪の少女に話かけているようだ。


『全く、何を騒いでいるんだ。あの女(・・・)の作った剣が、そんなに珍しいのか?』

「……あの女?」

『お前らが女神と呼ぶ女だ。まぁ、この話はいい。それより……なぜ、人間はあの女に群がっている?』


 ロイとしては、このデスゲイズが女神を知っている方が気になった。

 だが、今はデスゲイズの質問に答えることにする。


「氷聖剣の所持者に認められて、お近づきになりたいんだろ」

『ふむ、なぜだ?』

「そりゃ、聖剣の所持者は破格の待遇を受けられるからな。おこぼれをもらおうとみんな必死なんだよ」

『お前は行かないのか?』

「興味ない。それに……お前みたいなボロ木刀を持ってたら、門前払いに決まってる」

『む、聞き捨てならんぞ。それに、何度も言っているだろう? 我輩と契約すれば、貴様はあんな聖剣よりも強い力を得ることができる』

「ただし、弓限定で……だろ? お前、斬ることできないもんな。ああ、鈍器としてなら使えるか?」

『馬鹿にしおって……』


 ロイとしては、この木刀と『契約』とやらをすることの方が怖い。

 喋る聖剣なんて、聞いたことがない。

 模造聖剣と聖剣には、持ち主を選ぶ意志があると聞いたことはある。だが、これほどはっきり喋る剣なんて、気味が悪い。

 正直なところ……捨ててしまいたかった。

 すると、ロイの隣にメガネをかけた男子生徒が来た。


「隣、いいか?」

「あ、ああ……」


 少年の腰には、飾り気のないシンプルなショートソードが下がっている。

 少年はニカッと笑い、どこか楽し気に言う。


「オレさ、ああいうのに突っ込むの苦手なんだよね。七聖剣の使い手とか、なんかおっかないし。それに……あの子に近づいてお供にしてもらうってことは、魔王とも戦うんだろ?」

「……魔王」


 それはつまり、エレノアも魔王と戦うということだ。

 きっと、残り六本の聖剣と、その使い手たちと一緒に。 

 ロイではない、真の仲間と一緒に。


「あ、自己紹介まだだったな。オレはオルカ。ノース男爵家の五男だ」

「……ロイ。いちおう、ティラユール騎士爵家の三男」

「ティラユール? おいおい、聖剣王の」

「…………」

「あー……事情ありそうだな。ま、気にすんな」

「……え?」

「それ、お前の聖剣だろ?」


 オルカは、足下に転がっているロイの剣を指さした。

 

「木刀か。大方、それが原因で家からキツく言われたんだろ? それにしても、木刀って……どんな聖剣鍛冶師が作ったんだよ」

「……馬鹿にしないのか?」

「なんで?」

「…………木刀だぞ。斬ることのできない、不殺の聖剣だって」

「いいじゃん、別に。オレだって『水』属性の、普通の聖剣だぜ? 親父からは『頑張れ』しか言われてないし。兄貴や姉貴みたいに、立派な聖剣じゃないし」

「……」


 ロイは、意外そうにオルカを見た。

 どこか、キョトンとしている。本当に、馬鹿にしているような感じではない。

 

「……どうして、俺に声をかけたんだ?」

「なんとなく。だって、クラスの連中はもう、いくつかのグループに分かれてる。あっちは聖剣の使い手で、こっちは高名な貴族の取り巻きグループ。オレみたいな平民寄りで、高名な貴族や聖剣の使い手に近づかないクラスメイトは、オレとお前くらいなもんだ」

「それ、あたしもいい?」


 と、ロイとオルカの後ろにいた女子が声をかけてきた。

 薄茶色のショートヘア。人懐っこそうな笑みを浮かべている。


「あたし、ユイカっていうの。いや~……あんたらみたいなのがいて安心。あたしも平民寄り貴族でさ、こういうグループに所属するのめんどくさいって思ってたのよ」

「お、気が合うな。オレもオレも」

「ね、ね。あたしら三人、気が合いそうじゃない?」

「お前、なんかノリいいじゃん。な、ロイ」

「え、あ……ああ」


 いつの間にか、ユイカとオルカのペースに巻き込まれていた。

 

「いや~、これから新生活だけどよ、ワクワクするよな」

「同意! でもあたし、あんまり戦うのとかは嫌かも~」


 でも、ロイは……不思議と、悪い気持ちがしなかった。


 ◇◇◇◇◇◇


 チャイムが鳴り、教師が入って来た。

 それぞれのグループは解散し、席に座る。

 入ってきたのは、ニコニコした若い女性教師だ。腰に下げているのは、やはり模造聖剣。

 教壇に付くと、一礼する。


「初めまして。私は、この1組を担当することになりました、アンネと申します。これから三年間、しっかりと聖剣について学んでいきましょうね!」


 アンネはにっこり笑う。

 二十代になったばかりのような印象だ。さっそく、アンネは言う。


「まずは、自己紹介から始めましょうか。これから一緒に学ぶお友達のお名前、しっかり覚えましょう!」


 なんというか……喋り方が、どこか子供っぽい。

 見た目より若いのかもしれない。ロイはそう思った。

 すると、アンネと目が合った。


「では、一番端っこのキミからお願いしますね」

「え、あ、はい」


 なんと、一番手はロイ。

 目立たないように、端っこに座っていたのがあだとなった。

 まさか拒否するわけにはいなかい。隣のオルカとさらに隣のユイカが「がんばれ」と言っているような気がした。

 ロイは立ち、一礼。


「ロイ・ティラユールです。ティラユール騎士爵領地から来ました。よろしくお願いします」


 無難すぎる挨拶。

 すると、アンネが言う。


「あの、聖剣の紹介もしてくれたら嬉しいです」

「…………」


 触れないようにしていたのに、とロイは内心で憎々し気に思う。

 すると。


『フン。さっさと紹介するがいい』


 ロイは木刀を軽く蹴り、仕方なく手に取る。


「聖剣は、その……これです。名前は、『黒木刀』」

「ぼ、木刀……ですか?」

「は、はい」

『木刀ではない!! 我が名は、「大罪の魔王デスゲイズ」なるぞ!!』


 すると、教室の誰かが……「くすっ」と笑った。

 他にも、男子が笑い、女子も笑い……笑いが、教室に伝播していく。

 いつの間にか、教室内は笑いの渦に包まれた。


「ぼ、木刀って……マジ!?」「おい、あれなんだ?」

「ぼ、木刀って」「ぷ、くくくっ」「いや、オレなら恥ずかしくて無理」


 やはり、こうなった。

 ロイは俯き、そのまま着席した。

 隣に座るオルカとユイカも、気の毒そうだった。


『フン、我輩の価値も知らぬ愚か者どもめ』

「…………」


 ロイは、この木刀をへし折ってやりたい……本気でそう考えていた。

お読み頂きありがとうございます!


この小説を読んで、「面白そう」「続きが気になる」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです <(_ _)>ペコ


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