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聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第二章 夢とお菓子と快楽のパレットアイズ

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久しぶりの登校

「ロイ、久しぶり」

「あれ……ユノ?」


 地のダンジョン『地底宝物殿』をクリアし、急ぎ寮へ戻ったロイ。

 今回は晩飯をしっかり食べ、しっかり睡眠を取った。おかげで目覚めもバッチリ、気力も充実。学園を終えた後、四つ目の『風のダンジョン』へ向かおうと寮を出ると、ユノがいた。

 ユノは、ロイを見つけるなり腕にしがみつく。


「えへへ、ロイの匂い。久しぶり」

「お、おい……」


 むにゅっと、柔らかな胸が腕で潰れる。だがユノは全く気にしていない。

 ロイは、集中力を切らさないようにとカバンに入れてある飴玉を取り出し、ユノに渡した。


「ほ、ほら。飴やるから離れろって」

「あーん」

「お、おい」

「口に入れて」


 どうやら、離れる気はないようだ。

 一度、お菓子をあげただけでこの懐かれよう……ロイ以外の男だったら、いろいろ勘違いしてしまうだろう。ある意味、自分でよかったとロイは思う。


『ククク、お前も男なら抱いてっぎゃん!?』

「ロイ?」

「いや、ちょっと虫が」


 ロイは木刀形態のデスゲイズの柄を強めに叩いた。

 そして───いきなり、全身に痛みが走る。


「───い、っづ!?」

「ロイ?」

「わ、悪いユノ、ちょっと」


 ユノはロイから離れる。

 痛みの原因は、すぐにわかった。

 ユノの『氷聖剣』が、ユノがロイに抱きついた時に、僅かながら触れていたのである。服越しでも『刃物に触れることはできない』という誓約は生きていた。

 いいタイミングで離れてくれた。

 ロイとユノは歩き出す。すると、エレノアが後ろから来た。


「あ、いた!! もうユノ、一緒に行くって……って、ロイ?」

「よ、エレノア」

「……あのさ、聞きたいことあるんだけど」

「まぁまぁ、あとでな。ってか、ダンジョンいいのか?」

「昨日、『地のダンジョン』が消滅したわ。未だかつてない速度の攻略だって、みんな驚いてた」

「そっか。じゃあ残りは」

「風のダンジョンと、最後のダンジョンよ。風のダンジョンは、殿下が攻略に当たってる。あたしとユノは、最後のダンジョンが現れるまで待機になったの……つまり、学園に通えるわ」

「ロイと一緒」


 と、ユノがロイの腕に再び抱きつく。


「あ、こらユノ、ダメだってば!!」

「エレノアもすればいいのに」

「あたしはそういうことしないし。ほら、人目に付くからやめなさい」

「あうー」


 エレノアに引き剥がされ、ユノは渋々離れた。

 ダンジョン内でも見たが、二人はだいぶ仲良しになったようだ。


「ロイ、あとで」

「ああ」

「む、何かお話してる」


 こうして、ロイは久しぶりにエレノアたちと登校することができた。


 ◇◇◇◇◇◇


 エレノアとはクラスが違うので別れ、ロイとユノはAクラスへ。

 ユノが教室に入ると、一気に注目され、クラスメイトたちが集まった。


「ユノさん、ダンジョン行ったってマジ!?」「どんなところ!?」

「怪我してない!?」「ね、お宝あった!?」「オレも行きたい!!」


 ワイワイと囲まれ、ユノは自分の席に座ると姿が見えないくらい囲まれた。

 ロイは近づけず、少し離れた場所にいるオルカの元へ。


「よ、ロイ」

「おう。いやー、人気者だな」

「そりゃ、ダンジョン入った聖剣士様だからな」

「…………」


 俺も入ったけどな!! そう言いたくなるロイだった。

 すると、ユイカが二人の元へ。


「こりゃしばらく近づけないね。せっかく来れたのに、お話したいなー」

「お昼にすりゃいいだろ? どうせロイのところ来るし」

「いや、確定事項にするなよ」


 授業が始まり、ようやくユノは解放された……どこか疲れているように見えたのは、きっと気のせいではないかもしれない。


 ◇◇◇◇◇◇


 午前が終わり、お昼の時間。

 ユノは相変わらず囲まれていた。話かけようにも近づけないので、仕方なくロイはオルカとユイカの三人で、いつもの中庭でパンを食べることに。


「ユノちゃん、ほんと大人気だな」

「だな。ダンジョンってどんなところだとか、いろいろ聞かれてるみたいだ」

「ダンジョンなぁ……まぁ、オレらみたいな見習い聖剣士には関係ないな」

「だよねー……あ、ロイ、そのチョコパンちょうだい」

「はいよ」


 ユイカにパンの袋を渡す。

 午後からは剣術授業だ。


「そういや、魔法の授業って二期からだよな」

「なんだよいきなり」

「いや、昨日の自主訓練でさ、魔法使ってる奴らいたんだよ。オレは『水』属性だから水とか氷系の魔法使えるんだよなー」

「あたしは風属性だから、風魔法だね。ロイは?」

「俺はない」

「またまたー」


 ユイカはロイの背中をバシバシ叩く。


『魔法か。まぁ、使えんこともないが……お前は権能のが使いやすいだろう?』

「まぁな」


 ぽそっと返事をする。確かに、魔法より矢を射るほうが早い。

 それに、今はいろいろな『矢』を作ることができる。


「な、今日は放課後暇なんだろ? 魔法の訓練してみるから付き合えよ!」

「あー……」

「お前、いい加減に夜遊びやめろって。若いし血気盛んなのは理解できるけどさー」

「そうよ? ロイ、たまにはあたしらと遊ぼうよ」

「うぐ」


 ロイとしても遊びたい。だが……今、まさにこの瞬間、サリオスが『風のダンジョン』を攻略している。ロイとしては、援護しに行きたい気持ちが強い。

 正直には言えないのが、なんとももどかしい。せっかくできた友人に『夜遊び』してると思われるのも、かなり嫌だ。

 すると、ロイの頭にポンと手が乗せられた。


「魔法の訓練するなら、あたしが付き合ってもいいよ」

「え、エレノアちゃん!? マジで!?」

「ええ。二学期から魔法訓練始まるけど、みんな待ってられないみたいだしね」

「わたしも」


 と、ユノも来た。

 ユイカは「やったぁ!」と喜び、ユノを隣に座らせる。

 エレノアは、オルカの隣に座る直前、ロイの手にメモを握らせた。


「魔法、あたしらも必要よね。使える手はいくらあってもいいし」

「同意」

「よっしゃ、今日の放課後は魔法訓練だぜ!」


 エレノアを見ると、ロイを見て小さく頷く。

 ロイは、パンを食べるふりをしながら、手に持ったメモを見た。

 そこには『いつもの』とだけ書かれている。それだけでロイにはわかった。


 ◇◇◇◇◇◇


 放課後、エレノアたちが魔法訓練をする前に、ロイは『見張り塔』へ。

 上る時間が惜しいのか、ドアの前にエレノアがいた。


「魔界貴族、あんたがやったんでしょ?」

「まぁな。でっかいモグラだった」

「モグラ……? まぁいいや。それで、今日はどうする?」

「殿下のところ行く。明日も授業だし……まぁ、不眠不休で頑張るよ」

「そ……」

「それにしても、エレノアもユノも強くなったな。その炎聖剣、形代わってたよな」

「あんた、見てたの?」

「ああ。あの、ダンジョンの守護魔獣……俺の援護、いらなかったな」

「ま、あんたに頼りきるのもね。ふふ……見てて、もっともっと強くなるから」

『だが、油断するなよ。その聖剣の真の力は、未だに発揮されていない。あの女(・・・)が作った怨念の力は、そんなものじゃないぞ』

「「……え?」」


 怨念の力。

 何やら、不穏な言葉だ。


「デスゲイズ、そういえばお前、聖剣を作った女神のこと知ってるんだよな」

『ああ。それと、何度か言ったが、あの女は女神ではない。まぁ、人間からすれば女神だろうがな』

「……なんか、興味あるかも」

『話せば長くなる。我輩も、一度しか会ったことがない……だが、あれほどの女は、初めてだった』

「「…………」」

『まぁいい。それよりロイ、風のダンジョンに行くのだろう?』

「あ、ああ」

「あたしも、ユイカたちのところに行くね。じゃあロイ、気を付けてね」

「ああ。な、エレノア……風のダンジョンをクリアしたら、最後のダンジョンに入るんだよな?」

「ええ。四つのダンジョンをクリアすると現れる、『魔のダンジョン』ね」

「……なんとなく、嫌な予感がする。気を付けようぜ」

「ええ」


 ロイはエレノアと別れ、急いで『風のダンジョン』へ向かった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >ロイとユノはAクラスへ 組み分けは1組とか4組だったはずでは? 確かロイは1組でエレノアが4組だったはず
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