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聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第七章 君の愛の奇跡・大罪の魔王デスゲイズと虹の彼方

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虹の彼方・大罪の魔王デスゲイズ②/怒り

 ブチ切れたデスゲイズは、牙を剥き出しにしてササライに近づく。

 一歩一歩、静かに歩を進める。ササライは無意識に一歩下がるが、首をブンブン振って気を取り直す。


「ふ、フン……もう考えるのはやめだ。デスゲイズ、たとえ復活しようが、過去の遺物であるキミと、未来に向けて力を蓄え、強化してきたボクとじゃ、力の差がある!!」


 ササライが七魔剣士たちに手を向けると、全ての七魔剣が飛び出した。

 そして、全ての剣が融合し、漆黒の刃を持つ刀となり、ササライの手に収まる。


「虹魔剣アルカンシエル……ククク、これが本来のボクの剣。七魔剣っていうのは、ボクの本来の剣を七等分して、分け与えただけのモノさ」

「あ、主……」

「ああ、もう君たちの役目は終わりだよ。ご苦労様」


 ササライは、アークレイたちに笑顔を向けると、剣を一閃。

 虹色の衝撃波が、アークレイたちを吹き飛ばした。

 それぞれが壁に激突。そのまま壁にめり込み、完全に拘束される。


「あ、主……な、なぜ!!」


 アークレイの叫びに、ササライはめんどくさそうに言う。


「きみらは、シナリオ上では『七聖剣士の当て馬』だから、シナリオが変わった今、もう役目は終わってるんだよ。まあ、よく働いてくれたし『忘却王城』の一部として、死ぬまで魔力を吸い続けてあげる」

「そ、そんな……ぅ、ぉぉぉ」


 すると、アークレイたちの魔力が吸い上げられていく。

 あまりにやり口に、エレノアが叫んだ。


「あんた、最低すぎる……!!」

「あはは、それはどう」


 デスゲイズの拳が、ササライの顔面にめり込んだ。


「もぁっぶぁ!?」


 一瞬で接近された。

 剣を振る間もなく、デスゲイズは牙を剥き出しに、瞳をギラつかせ言う。


「貴様だけは楽に死なせん!! ササライ……我輩を、この大罪の魔王デスゲイズを本気で怒らせたこと、後悔する間も与えんぞ!!」

「ぐ……は、はひゃは!! 後悔なんてないね、いいね、これが本当の、魔王を倒して世界を手に入れるシナリオか!!」

「違う。これは貴様をブチ殺す公開処刑だ!!」


 デスゲイズの背に、七枚の翼が展開する。

 虹色に輝く翼、そして両手で結ぶ印。


魔王聖域(アビス)展開」


 上空に、巨大な『七つの扉』が開く。


「『大罪魔王七天虚空神殿たいざいまおうしちてんこくうしんでん冥滅天魔めいめつてんま』」


 巨大な扉が小さくなり、全ての扉が同時に開いた。


「『暴食(バアル・ゼブル)』、『色欲(アスモダイ)』、『強欲(グリード)』、『嫉妬(レヴィヤタン)』、『怠惰(ベールフェゴル)』、『憤怒(サタン)』、『傲慢(ルシファー)』」


 それぞれの扉から現れたのは、七体の怪物。

 そのうち一人は、ササライも見覚えがった。


「ば、バビスチェ……」

「おひさ~♪」


 アスモダイと融合したバビスチェは、ササライに向かって手を振った。

 バアル・ゼブルは無数の口を持つバケモノ。

 グリードはヤギのような獣。

 レヴィヤタンは巨大な魚。

 ベールフェゴルは二足歩行の牛。

 サタンは、巨大なドラゴン。

 ルシファーは、スーツを着た麗人。

 全てが、デスゲイズが生み出した、魔王を超える超生物。それらすべてを解放し、デスゲイズはササライを殺そうとしていた。


「いいかお前ら、ササライを殺さずにいたぶれ。徹底的に、徹底的にだ。命乞いをし、醜く、無様に死を冀うまでだ……やれ」


 デスゲイズが命じると、七体の怪物が一斉に動き出す。

 ササライは、剣を構えて叫んだ。


「ははは!! いいね、これこそ……シナリオを超えたシナリオだ!!」


 ◇◇◇◇◇◇


 デスゲイズが指を鳴らすと、エレノアたちを拘束していた十字架が消滅した。

 全員が地面に着地……デスゲイズが何者か知らないので警戒しているが、エレノアが言う。


「味方です!! デスゲイズ、あんた……出てこれたの?」

「…………ああ」


 背後では、ササライが七体の怪物相手に戦っている。

 だが、劣勢……デスゲイズはもう見てもいない。

 折れた聖剣をチラッと見て、パチンと指を鳴らすと、虹色の光に包まれた聖剣が一瞬で復元された。

 そして、光に包まれた聖剣が浮き上がり、それぞれの元へ向かう。


「すっご……一瞬じゃん」

「聖剣はもともと、我輩の権能で作り出した武器だ。この程度、なんてことない」

「あ、あの……エレノアちゃん、この方は?」

「あ、えっと……デスゲイズです。なんと言いますか、魔王なんですけど」

「「「え?」」」


 ロセ、ララベル、サリオスが首を傾げる。

 スヴァルトは、エレノア、ユノ、アオイの反応が薄いことに気付いた。


「……お前ら、知ってやがったのか?」

「う……その、言えなくて」

「フン。こっちにも事情があったのだ。ええい、痛々しい連中め」


 デスゲイズが指を鳴らすと、七人の怪我が一瞬で治る。

 ララベルの腕も生え、嬉しそうに手を押さえた。


「わお、ありがとう!!」

「気にするな……どうやら、終わりが近いな」


 すると、腕を食い千切られ、足が砕け、顔面が腫れあがり、自慢の魔剣がへし折られたササライが、巨大なヤギに頭を齧られながら引きずられてきた。

 デスゲイズは、虹色の炎でササライに傷を一瞬で癒し、拘束し、自分の元へ引き寄せる。


「ササライ、これも貴様のシナリオか?」

「は、ははは……」

「ははははは、楽しいなあ? 我輩のシナリオでは、これから貴様は永遠に、我輩の『七体の怪物』と遊ぶことになるぞ? 我輩の『魔王聖域(アビス)』の中で、永遠に……ククク、楽しい、楽しいなあ?」

「い、いやだ……嫌だ」


 ササライは、涙目になり首を振る。

 すると、上空に浮かぶ七つの扉が融合し、一つの巨大な扉となった。

 扉が開くと、七体の怪物がそこへ戻る。


「死は一瞬だ。それじゃあつまらない……貴様は永遠に苦しむ。殺さない、絶対に殺さない。わかるか!! 貴様は死なない!! 永遠に苦しむんだ!! くははは、はははははははははははははははははははは!!」

「い、嫌だ、嫌だァァァァァァァァァァァァ!!」


 虚空神殿の扉から、いくつもの鎖が飛び出し、ササライの全身に巻き付く。

 そして、ゆっくりと引っ張り上げていく。


「嫌だ、嫌だ、嫌だァァァァァァァァァァァァ!! 誰か、誰か助け、たすけてェェェェェェェ!! おい魔剣士、助けろ、助けろォォォォォォ!! やだやだやだやだァァァァァァァァァァァァ!!」


 子供のように暴れ、涙を、鼻水を垂らすササライ。

 嘲笑うデスゲイズは、扉の前までゆっくり近づき、ササライに言う。


「ああ、忘れていた……これはもらっておく」


 デスゲイズは、ササライの胸に手を突っ込むと、三つの魔王宝珠を抜き取った。

 パレットアイズ、トリステッツァ、バビスチェの宝珠である。

 力を奪われると同時に『大魔帝国(シャングリラ)』も解除された。魔界貴族たちの洗脳も解け、魔獣たちの支配も終わる。


「デスゲイズ、やだ……」

「忘れるな。貴様は……我輩を怒らせた」


 ササライは扉に引きずり込まれ、闇に消えた。

 扉が閉まり、ゆっくりと消えていく。

 そして、ササライの『忘却王城』も解除……何もない平原にエレノアたちは立ち、力を限界まで吸われた七魔剣士たちが気を失って倒れていた。

 エレノアが、周囲を見渡して言う。


「お、終わった……の?」

「ああ。魔界貴族の支配も消え、魔獣たちも解放された。まあ……ほとんど倒されたようだがな。この戦い、人間の勝利だ」

「……なんか、全部あんたのおかげみたいな気もするわ」

「……そんなことはない。これは、人間の勝利だ」


 デスゲイズは、エレノアたちを見ずに言った。

 エレノアは笑い、デスゲイズの背中をポンと叩く。すると、アオイとユノも駆け寄ってきた。


「デスゲイズ、すっごい美人だね」

「ああ、そなたには感謝してもしきれないな」

「…………」


 そして、ロセとララベル、スヴァルト、サリオスも近づいて来る。


「あの、デスゲイズさんでしたっけ……あなたのことを聞かせて欲しいんですけど~」

「それもだけど、アンタに感謝!! 腕もうれしいっ!!」

「……とんでもねー強さだな。まあ、感謝する」

「その、ありがとうございました!!」


 ロセ、ララベル、スヴァルト、サリオスも笑う。

 デスゲイズは何も言わない。

 そして、キョロキョロしながら、エレノアが言った。


「ね、デスゲイズ。八咫烏は?」


 デスゲイズは、何も言わなかった。

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原作:さとう
漫画: 貞清カズヒコ
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― 新着の感想 ―
[良い点] デスゲイズの圧倒的な強さを示してて、これは確かに他の魔王に封印されるなと思いました。 今までのデスゲイズのことを考えるとスカッとしますし、圧倒的に強ければ強いほど、どこか悲しさも伝わってき…
[気になる点] これが仮にラスボス戦だとすると流石に盛り上がりに欠ける…ぶっちゃけトリステッツァやバビスチェとの戦いのほうが面白い。後ロイはパレットアイズに何を頼んだのでしょうか? [一言] 最後にエ…
2024/08/18 14:04 退会済み
管理
[一言] ササライは最後まで小物でしたな
感想一覧
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