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聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第六章 混沌の虹・七聖七魔の聖魔剣と至高魔王ササライ

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炎聖剣フェニキアと炎魔剣イフリート③/シナリオ

 ロイ、エレノアが同時に飛び出すと、ヴェスタとセレネも飛び出した。

 

「エレノア!!」

「ええ、シナリオだか何だか知らないけど……!!」

「ッ!!」

「えっ」


 なんと、エレノアはセレネへ、ロイはヴェスタに向かっていく。

 ササライのシナリオでは、ヴェスタはここで負け、セレネとロイの戦いとなる。そしてその陰で、七聖剣士とササライの戦いが始まる……と、デスゲイズは考えている。

 その方が盛り上がるから……ササライなら、そうすると。

 ロイは矢を番え、ヴェスタに向けて放つと同時に消えた。


「えっ」


 真正面に飛んできた矢を叩き落とすと同時に、別方向から、別方向から、無数に矢が飛んで来る。

 その速度、凄まじさにヴェスタは心底冷えた。だが、炎魔剣を振り矢を叩き落とす。

 だが……ヴェスタの相手をしているのがロイなら、エレノアの相手をしているのはセレネである。


「ぐ、このっ……マジでロイみたいじゃん!! でもねえ!!」


 エレノアは、矢を叩き落とす。

 セレネの矢は、エレノアの心臓、喉、頭を狙って飛んで来る。

 だが、エレノアは矢を落とす。


「……あなた」

「はっ!! 驚いた!? あたしはねぇ、八咫烏と毎日毎日毎日毎日毎日、模擬訓練してんのよ!! あんた、七魔剣士と模擬戦なんてしないでしょ!?」


 その通りだった。

 セレネは、七魔剣士と極力関わろうとはしていない。そもそも、魔剣の能力を見たのだって初めての相手もいた。

 ロイとは違う。セレネは舌打ちをした。

 セレネはロイと互角。なので、どのように攻撃するか、どこを狙うのかが、ロイと似通っている。常にロイと訓練しているエレノアが躱し、対処することは不可能ではない。

 そして。


「ぐっ!?」

「ッ!!」


 ヴェスタが、ロイの矢を右腕に受けた。

 二の腕に矢が刺さり、ヴェスタは苦悶の表情を浮かべる。

 そして、ヴェスタはロイを睨み──炎魔剣を構えた。


「『魔装(ユナイト)』!!」

「待て!!」


 セレネが叫ぶ。

 だが、矢を刺された怒りにヴェスタはロイしか見えていない。

 魔剣の解放。ヴェスタの全身を、赤黒い全身鎧が包み込む。


「『炎魔剣イフリート・バーナウロア』!! お前……殺す」

「お前には無理だ」

「黙れ!!」


 ヴェスタが炎魔剣をロイに向ける。漆黒の炎が巻き起こるが……ロイは笑い、振り下ろされる剣を両手を広げ受け入れようとした。

 そのまま両断……とはならない。

 ロイは剣が振り下ろされる瞬間までその場にいて、紙一重でヴェスタの剣を回避する。

 そして……剣を振り下ろし終わったヴェスタの前には。


「決めろ」

「ええ、『鎧身』!!」


 ロイと入れ替わるように、『炎聖剣鎧フェニキア・ブレイズハート』を身に纏ったエレノアが、聖剣を振り被っていた。


「しまっ……」


 油断。

 頭に血が上ってしまった。セレネの言うことを聞けばよかった。負ける。

 一瞬だけそう考えが巡った。だが、肩から脇腹に熱い線が入ったような感覚と共に、ヴェスタの鎧が砕け散り……攻撃の余波で背後の『吸魔の杭』も砕け散った。

 ヴェスタは倒れ、吸魔の杭が砕ける。

 ヴェスタが最後に見たのは、拳を合わせるエレノアと八咫烏の姿だった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ヴェスタが目を覚ますと、エレノアがいた。

 

「え、エレノア」

「あ、起きた?」

「な、なにを……」


 ヴェスタの身体には、包帯が巻かれていた。

 そして八咫烏が傍に。セレネはすでにいない。


「止血はしたから。じゃ、あとは好きにしたら? あたしたち、ササライのところに行くわ」

「……なんで」

「え?」

「なんで救ったの?」


 当然の疑問だった。

 デスゲイズも、ロイも同じ意見……放っておいて、すぐにでもササライの城へ行こうとデスゲイズは提案し、ロイもそうした方がいいと思っていた。

 でも、エレノアが「傷の手当てをする」と言い、今に至る。

 エレノアは、ニコリとほほ笑んだ。


「あんた、どうも悪い奴には見えないのよね。あのさ……全部終わったら、またやりましょ」

「ぜ、ぜんぶ……って?」

「あたしたちがササライを倒したあと。ササライを倒せば、あんたも自由でしょ。だったら、うちの学校に来たら?」

「……はあ?」

「……エレノア、俺も意味わからんぞ」


 ロイも呆れそうになった。

 敵、魔剣士を学園に誘うなど、意味不明にもほどがある。

 だが、エレノアは言う。


「まあ、意味わかんないよね。あたしもそう思う……でも、あたしアンタと仲良くできそうな気がするの。ま、勘だけどね……よし、行くよ八咫烏!!」

「ああ。ったく、わけわからん」

『同感だ』

「そこうっさい。さ、行くわよ!!」


 エレノア、ロイは行ってしまった。

 残されたヴェスタは、包帯の巻かれた胸を押さえる。


「……へんなやつ」


 不思議と笑みがこぼれてしまうくらい、変なヤツだと思うのだった。

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〇聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~
原作:さとう
漫画: 貞清カズヒコ
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ニコニコ静画さんでも連載中。こちら↓から飛べます!
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