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聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第六章 混沌の虹・七聖七魔の聖魔剣と至高魔王ササライ

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炎聖剣フェニキアと炎魔剣イフリート②/聖炎、魔炎

 エレノア、ヴェスタの剣が交差し、鍔迫り合いから離れた瞬間だった。

 突如、上空からロイ、そしてセレネが現れ、エレノアとヴェスタの隣に並ぶ。

 

「え……」

「セレネ、どうしたの?」


 互いに、現れた弓使いに驚いていた。おかげで戦闘は一時中断……ロイは言う。


「エレノア。ここからは俺も戦闘に参加する」

「え……こ、これから?」

「ああ。他の七聖剣士の戦いは終わった。気味が悪いくらい拮抗している」

「他の、って……」

「サリオス、アオイは勝ち。ララベル先輩、スヴァルト先輩、ロセ先輩は負け。ユノは引き分け。二勝三敗一分けだ」

「……じゃあ」

「ああ。お前が勝てば引き分け、負けたら聖剣士の敗北だ。まあ……あの杭を壊せば勝ちだが、剣士の戦いって意味では負けだ」

「そっか。じゃあ……負けられないね!!」


 炎聖剣フェニキアから炎が燃え上がる。

 ヴェスタも、セレネから聞いていた。


「わたしが負けたら引き分け?」

「ええ。勝てば、魔剣士の勝ち……」

「そっか。じゃあ、エレノアに勝たないと。でも……わたしとエレノア、全く同じ強さだから、決着まで時間かかるかも」

「大丈夫。そのために、私がいる」


 セレネは、鉄の矢を一本手で弄ぶ。

 ロイも矢を抜き、ナイフのように構え……ロイとセレネは同時に飛び出し、矢を剣のように合わせ、互いの喉に突きつけた。


「ロイ。この意図、わかるよね」

「ああ、嫌でもな……そっちの魔剣士には同情する」

『……やはり、そういうことか』


 互いに離れ、矢を番えて同時に放ち、再び距離を取る。

 一瞬の攻防に驚いたエレノアだが、ロイに聞いた。


「ちょっと、どういうこと?」

「……シナリオ通りってことだ」

「シナリオ?」

「ああ。エレノア、お前は間違いなく、あのヴェスタに勝つ。そうなれば、聖剣士と魔剣士の戦いはイーブン……そこで決着をつけるのが、俺とセレネだ」

「……は?」

「俺とセレネの戦い、その次が恐らく……お前ら七聖剣士と、魔王ササライの戦いだ」

「……な、なにそれ?」


 ロイは確信、デスゲイズも確信した。


『ササライ。恐ろしい奴だ……この状況を演出するために、ここまで力の拮抗する者を用意するとは』


 すると、周囲が一気に騒がしくなる。

 地響きに近い揺れ。そして、数多くの気配。

 ロイは察した。


「……援軍か!!」


 やって来たのは、世界各国からの援軍……そして、ササライが追加で出した魔界貴族の支援だった。

 戦場は再び混乱し、争いが続いていく。


 ◇◇◇◇◇◇


 援軍、そして追加戦力の戦いが始まり、戦場は更なる混乱を極めていた。

 その様子を、サリオスが確認。


「始まった……くそ!! 各国から支援が来たと思えば、魔族も追加戦力を投入だと!?」


 サリオスは現在、サリオスの城へ向かっている最中だ。近くにちょうどいい丘があったので登り、戦場を確認したところ、魔族と聖剣士の戦いがさらに激しくなっていた。

 そして、サリオスは見た。


「──まずい!! 王都に魔獣が……!!」


 王都の外壁に、魔獣たちが取りついていた。

 一か所だけではない。何か所も、多くの魔獣が昇っている。

 町に入られるのも時間の問題。サリオスは歯噛みする……すると。


「今、できんのは魔王をブチ殺すことだ」

「スヴァルト先輩!!」

「気持ち、わかるけど……行くわよ」

「ララベル先輩!!」


 ボロボロで、上半身裸のスヴァルトが、片腕を失ったララベルを担いでいた。

 そして、その背後からロセが現れる。


「サリオスくん、無事でよかった……」

「ロセ先輩!! 怪我は……」

「うん。大丈夫。ありがとうね」


 ロセはにっこり微笑む。少しだけ安心したのか、サリオスも力が抜けた。

 四人は情報の共有をする。魔剣士に敗北したこと、勝利したことを伝える。


「……勝ったのは、オレだけですか」

「ごめんね……先輩なのに、負けちゃって」

「ハハっ、笑えねぇぜ。上級生であるオレらは無様に負けて、サリオスだけが勝利かい」

「……悔しいわね」


 三人の先輩が悔しがっていると、ユノを担いだアオイが現れた。


「皆、ここにいたか」

「みんな、おつかれ……」

「アオイ、ユノ!! よかった、無事だったか!!」


 サリオスが駆け寄る。二人は大きな怪我をしておらず、無事なようだ。

 こうして、七聖剣士の六人が揃った。

 情報をすり合わせ、ロセが言う。


「あとはエレノアだけ。わたしたちは予定通り、このままあの城へ向かい、至高魔王ササライを討伐します」

「……あのさロセ。こんな言い方したくないけど……勝てるの?」


 ララベルが言う。

 あちらには、自分たちが敗北した魔剣士最強の三人と、無傷の魔王ササライがいる。

 今、ここにいる七聖剣士は六人。全員が傷を負っていた。

 すると、サリオスが言う。


「それでも……オレたちは戦わなくちゃいけないんです。平和の、未来のために」

「へ、男前なこと言いやがって……まあ、オレも賛同するぜ。ここで引くつもりはねぇ」

「拙者も同じ意見だ」

「わたしもー」

「ちょっと、アタシが悪人みたいじゃん……まあ、そうだね。ロセ、ごめん」

「いいの。国は気になるけど……あっちは、聖剣士たちに任せましょう。きっと国を守ってくれる。そんな気がする」


 ロセたち六人は頷き、同時に視線をササライの城へ向けた。


「行きましょう!!」


 サリオスが一歩踏み出すと、残りの五人も歩き出す。

 一度だけユノは立ち止まり……振り返った。


「…………エレノア、待ってるから早くね」


 それと、ロイも。

 ユノは言葉にはせず、愛する少年の顔を思い浮かべるのだった。

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〇聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~
原作:さとう
漫画: 貞清カズヒコ
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