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聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第六章 混沌の虹・七聖七魔の聖魔剣と至高魔王ササライ

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闇聖剣アンダンテと光魔剣トゥアハ・デ・ダナン/強者

「弱すぎる」


 七魔剣士アークレイは、『光魔剣トゥアハ・デ・ダナン』を鞘に納め、つまらなそうに言う。失望が入り混じり、蔑んだような言い方だった。

 アークレイの目の前で膝をつくのは、血塗れのスヴァルト。

 肩で息をして、チェンソーエッジ形態の『闇魔剣アンダンテ』を杖にしてようやく立ち上がり、鎖鎌形態に変形させクルクル回転させる。


「オイ……なんで剣をしまってんだ? まだまだこれからだろうが!!」


 ジュワジュワと、スヴァルトの傷が回復していく。

 ハーフヴァンパイアとしての回復力。それを見て、アークレイは汚いものを見るような目で言った。


「混ざりモノの汚物か……やれやれ、貴様といい、中途半端なエルフ、ドワーフの女といい、七聖剣はよほど人材不足のようだな。聖剣は人間が持つべき武器。貴様のような半端者が持つなど有り得ん。実に嘆かわしい」

「……ア?」

「まあ、我々七魔剣士の中にも混じりモノはいるが、ササライ様が認めた者……それだけは認めるしかないがな」

「……テメエ、なんなんだ?」


 スヴァルトは、鎖鎌を回転させながら隙を伺う。

 意外にもお喋り……そう思っていたが、喋っている間も隙が無い。

 格上。否応なしにわかってしまう。スヴァルトが七聖剣士として完成に近い領域にいるからこそ、アークレイの強さが理解できた。


(クソが……八咫烏、援護しやがれってんだ……!!)


 スヴァルトはニヤリと笑うが、内心では冷や汗が止まらない。

 七魔剣士。明らかに格上が数人いると感じていたが、アークレイは七人の中でも最強……そして、七魔剣士のリーダーである。

 現在、『吸魔の杭』は静かに脈動している。


(最悪……このクソイケメン野郎はどうでもいい。あの杭をブチ壊せば、それでいい。だが……オレの命を賭けても、壊せるかどうか)


 いざとなれば『鎧身』を使う。

 だが、七魔剣士にも同じような力があると想定すると、さらに勝ち目が薄い。

 吸血鬼の力を暴走させたところで、隙が大きくなるだけ。繊細なワザと力でなければ、アークレイを倒すことはできない。


「考えはまとまったか?」

「……はっ、待っててくれるとはね。ありがたくて涙が出そうだぜ」

「フン。この杭を破壊するのが貴様の最重要課題だろう? なら……一度だけ、チャンスをやろう」

「あ?」

「一秒間、私は何もしない。貴様の攻撃を見た一秒後に動くと約束する。貴様程度でもわかるだろう? 一秒……この私が、一秒間も何もしないのだ」

「…………」


 舐め腐りやがって。

 スヴァルトはブチ切れそうになるが、軽く深呼吸して心を落ち着かせた。

 一秒間。最速の形態は鎖鎌の投擲。

 一秒あれば、間違いなく杭は破壊できる。というか、半秒あればいい。


(……この野郎が)


 スヴァルトは、鎖鎌を高速で回転。

 頭上で勢いよく、空気を切り裂くほど回転をさせると、アークレイに言う。


「お前、後悔すんなよ? まあ、一秒動かないってテメエが言ったんだ。それを違えた時点でテメエの負けってことも忘れんなよ」

「愚か者が……まだわからんの」


 アークレイが喋り終える前に、スヴァルトは鎌を投擲した。

 半秒以下の速度で、鎌は『吸魔の杭』に突き刺さり、スヴァルトの『闇』が一気に浸透し、杭は粉々に砕け散る。

 きっかり一秒……だが、アークレイは動かない。

 砕けた杭をチラッと見て、ゆっくりと拍手した。


「おめでとう。これで目標達成だな」

「……は?」

「さて、一秒経過した。私が動こう……」


 ゾッとするような殺気と共に、アークレイは剣を抜く。

 そして、『魔の光』が刀身を包み込むと、アークレイは一瞬で剣を振った。


「『レイスパーダ』」

「───……」


 技名を聞いた瞬間、スヴァルトの両腕が吹き飛び、身体中斬り刻まれ、砕け散った『吸魔の杭』の残骸に激突……大量に吐血した。


「グガ、っはぁ……ッ!?」


 アークレイは剣を収め、つまらなそうに、そして忌々しそうに言う。


「教えてやる。七聖剣士に『吸魔の杭』を破壊させるのは計画の内。そして、私とグレコドローマとライハの三人は『絶対勝利』も計画の内だ。つまり、貴様なぞ殺そうと思えばいつでも殺せるし、私にとってはどうでもいい羽虫ということだ」

「…………」

「私を出し抜いたような気分に浸れて満足したか? 私は慈悲深い……貴様の『役割』が果たされるまでは、殺しはしない。まあ、この一撃は……計画の内とはいえ、貴様のような下賤なモノに勝ち誇られたような態度をされた仕返しだ」

「…………」


 アークレイは、もうスヴァルトに興味がないのか、その場から離れるため歩き出す。

 スヴァルトは、その背中をジッと睨みつけていた。


(いつか殺す……必ず殺す)


 その眼は、真っ赤にギラついていた。

 敗北。

 それを受け入れ、糧とし、アークレイを殺すための力へ。

 スヴァルトは、遠ざかり消えるまでアークレイを睨み、姿が見えなくなると同時に気を失った。

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〇聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~
原作:さとう
漫画: 貞清カズヒコ
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