表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第六章 混沌の虹・七聖七魔の聖魔剣と至高魔王ササライ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

203/230

風聖剣エアキャヴァルリィと雷魔剣ホノイカズチ②/格上

ララベルは、自分の状態を確認する。


(左腕……あとでくっつけてもらう。くそ、一番得意な武器が双剣って見破られたせいか、腕を落とされた。あの野郎……嫌らしいわ)


 ララベルは、双剣を投げてもう一本の剣と合体、双刃の槍を手にしクルクル回転させ、切っ先をライハに向ける。

 ライハは首を傾げ、剣すら抜かずに困ったように微笑んだ。


「おや……まだやるのですか?」

「当たり前。アンタが聖剣士の家系とか、魔族になったとかどうでもいい!! アタシは、アンタを倒すために来たのよ!!」

「そうですか。では」


 ライハは一瞬で抜刀。ララベルは構えたが……斬撃が来ない。

 眉をひそめた瞬間、ライハの背後にあった『吸魔の杭』が砕け散った。

 唖然とするララベル。


「は? な、なんで……」

「ふふ、実はですね……この杭、壊れても問題ないんです」

「はぁ? ど、どういう」

「全て、ササライ様の計画通り……と、いうわけです」


 ライハはにっこり笑う。

 その笑みが妙に鼻につき、ララベルはライハを睨んだ。


「アンタ、なに? なんでそんなヘラヘラしてんの? アンタ、アタシを馬鹿にしてんの!?」

「滅相もない。もともと、こういう性格なもので。それに……まだわからないのですか?」

「はぁ?」


 ライハが消えた。

 同時に、ララベルの背後にライハが立ち、雷魔剣の切っ先をララベルの背中……心臓部分に向ける。


「あなたでは勝てませんよ。そもそもの実力が違います。仮に『鎧身』を使ったとしても変わりありません。私、アークレイ、グレコドローマの三人は、七魔剣士の中でも別格の強さ……こうして生きているのは、私の気まぐれと、ササライ様のおかげということをお忘れなく」

「……っ」


 ララベルの背筋が凍った。

 ライハは、全く本気ではない。


「ササライ様の偉大な『計画』は進んでいます。七聖剣士……あなた方にも役割があることをお忘れなく」

「…………」

「さて。このくらいにしておきましょうか……では」


 ライハは着物を翻し、ゆっくりと徒歩でその場を去った。

 ララベルはその背中に向けて槍を投げることもできた。だが、当たるイメージが全く湧かない。それどころか、槍を投げた瞬間、自分の首が落ちるイメージを叩き込まれ、冷や汗が止まらなかった。

 剣士としてのレベルが違い過ぎる。

 ライハが見えなくなった頃、ララベルはようやくその場に崩れ落ちる。


「……ぅ、ぅぅ」


 涙が止まらなかった。 

 自分が弱いわけじゃない。そう言い聞かせてはいるが、何の意味もない。

 見向きもされなかった。

 役割とやらに救われた。

 それが、ララベルの心を折り……立つ気力すら奪うのだった。


 ◇◇◇◇◇


 ロイは、ララベルの結果を見ながら歯を食いしばった。


「ララベル先輩……」

『相手が悪すぎたな。あのライハとかいう剣士……底が見えん強さだ。まだ本気ではなさそうだし、お前の援護なしには勝ち目はあるまい』

「俺の援護ね……援護は続けてるんだがっ!!」


 矢を何度も放つが、悉くセレネの矢で弾かれる。

 もう数百の矢をライハに向けて放ち、同時にララベルに向けて放たれる矢を全て撃ち落とす。聖剣士と魔剣士の戦いに妨害が入らないのが、ロイの『援護』による力だった。

 

「デスゲイズ。ライハが言う『役割』ってなんだ?」

『恐らく……七聖剣士と七魔剣士の戦いはササライの計画通り。その先にあるのは間違いなく……七聖剣士とササライの戦いだ。奴は『魔王』として最後に、人類の希望である七聖剣士を屠る……チッ、あの劇作家め』

「劇作家……ササライのやつ、こだわりすぎだろ」

『そういうヤツだ。あいつは……とにかく、ロイ、お前にも『役割』がササライから与えられていると見ていい。その役割から逸脱し、出し抜くことができれば、勝機はあるかもしれないぞ』


 勝機。

 ロイは不思議な気持ちだった。

 サリオスが勝ち、ロセが負け、アオイが勝ち、ララベルが負けた。そして、全ての結果で『吸魔の杭』が破壊された。

 何もかもが、ササライの手のひらの上……そう思えて仕方ない。


(……嫌な予感がする)


 ロイは魔弓デスゲイズを強く握る。


『───……ロイ、向こうを見ろ。あの吸血男……死ぬぞ』

「っ!! スヴァルト先輩!!」


 思考を切り替え、スヴァルトと光魔剣士アークレイが戦っている方を見る。

 そして、そこで見たのは……血濡れのスヴァルトと、無傷のアークレイ。

 ライハが『格上』と言った意味がわかるほど、スヴァルトはボロボロにされている光景だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〇聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~
原作:さとう
漫画: 貞清カズヒコ
【コミカライズはこちらから↓】
gbxhl0f6gx3vh373c00w9dfqacmr_v9i_l4_9d_2xq3.jpg

web原作はこちらから!
聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

ニコニコ静画さんでも連載中。こちら↓から飛べます!
聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~


お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ