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聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第六章 混沌の虹・七聖七魔の聖魔剣と至高魔王ササライ

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風聖剣エアキャヴァルリィと雷魔剣ホノイカズチ①/掴み処

 双剣、そして刀。

 風の双剣と雷の魔剣は何度も打ち合う。だが、剣技が拮抗しているのか、互いに有効打は出ない。

 ララベルはそのことも腹立たしいが、目の前にいるライハ・ドウミョウジの変わらないにこやかな表情がどうしても鼻についた。

 双剣を合体させ『双刃槍』に変え、クルクル回転させて振るが、ライハはひらりと躱す。


「ははは。聖剣の変形機構とは、随分と面白いですね」

「その言い方、魔剣には変形機構ありません、って言ってるみたいね」

「ええ。魔剣は変形しません。ササライ様曰く、純粋な剣技と、剣に宿った属性の力さえあれば、我々には必要ないとのことです」

「あっそ……なんかその言い方、それだけでアタシよりも上って聞こえるわ」

「ええ、そう言ってるつもりですが……ああ、理解できませんでしたか?」

 

 申し訳ございません、とライハは苦笑。

 ビキリとララベルの額に青筋が浮かぶがぶんぶんと首を振った。


「ま、いいわ。アンタお喋りみたいだし気にしない。というか……その服装、名前、アンタもしかして東の出身?」

「……ああ、そちらには久世家の者がいましたねぇ。ええ、そうです。私は道明寺家の者です。そちらの久世家の少女……いえ、少年に聞けば驚くと思いますよ?」

「?」


 ララベルは首を傾げる。

 東の国の『仕組み』に疎いララベルでは理解できていない。

 ライハは、クスリとほほ笑んで言う。


「道明寺家は……そうですね、東の国の暗部といったところ。幕府の影……といったところでしょうか」

「はあ? 暗部?」

「ええ。知りたいのでたら詳しくお教えしますよ? どうせもう道明寺家は存在しませんし」

「どーでもいいわ。ンなことより、アタシはあんたの後ろにある杭をブチ壊したいのよ」


 双刃槍を回転させ、切っ先を杭に向ける。

 ライハは困ったように笑った。


「あなたは美しい外見とは裏腹に、その言葉使いはなんとも醜い……もう少し、おしとやかに振舞いませんか?」

「キョーミないっての。アタシはアタシだから」

「フフ。エルフ族……そういえば、後ほど来る人間たちの増援にも含まれていますよ」

「別にどうでもいいわ。アタシ、ハーフエルフで嫌われてたし。人間との混じり者とか、存在してはいけないとか言われまくったわ。でもさ、そんなアタシがこの風聖剣エアキャヴァルリィに選ばれたのよ? いやーめちゃくちゃ爽快だったわ。自分こそ風聖剣エアキャヴァルリィに相応しい!! とかイキッてた連中に自慢しまくったわ」

「そうですか。ふふ……あなたは底抜けに明るいお方だ」

「まーね。せっかくの人生、楽しまなきゃ損でしょ」


 ララベルは、双刃槍を肩に担いで笑う。

 ライハは、少しだけ力を抜いた。


「私も、あなたのように生きれたら、楽だったかもしれませんねぇ」

「……アンタも家族に嫌われてた感じ?」

「ええ。このような性格なので、腹に抱えているとか、怪しいとかよく言われました。ふふ、まあ……私はこのように、あまり感情を表に出すのは苦手なので」

「ふーん……」


 ララベルは態勢を低くし、双刃槍を手に走り出す。

 ライハも黒い紫電を纏い、一気に飛び出した。


「『エアヴァレリィ』!!」


 双刃槍による、風を纏った回転斬り。


「道明寺流剣技──『国雷(こくらい)』」


 雷を纏った回転斬り。

 双刃槍の切っ先と、魔剣の刀身がぶつかり合う。

 風と雷が爆ぜ、再び距離を取る。だがララベルはすぐに飛び出し、風を纏ったままライハに連続攻撃を仕掛けた。

 ライハは全てを受け、流し、弾き、ララベルにカウンターを放つ。

 だがララベルも双刃槍を一瞬で双剣に戻し、ライハの斬撃を全てはじき返す。

 ギンギンギンギン!! と、刃のぶつかり合う音が響く。


「ふふ、楽しいですねえ」


 ライハは笑っていた。

 本当かどうか、分からない笑み。

 ララベルは舌打ちし、双剣を合体させ『ブーメラン』にし、ライハに向けて投げる。


「『エアブーメラン』!!」


 風を纏ったブーメラン。

 ライハは「ほお」と感心し、納刀……そして。


「久世雷式帯刀剣技、『雷針電華(らいしんでんか)』」

「ッ!?」


 抜刀術。

 アオイと同じ技に、ララベルは目を剥いた。

 紫電を纏った高速の抜刀術は、ララベルのブーメランを弾き飛ばす。

 そして、急接近。手元に武器のないララベルは目を見開いたままだった。


「油断しましたねぇ。あなた、私が近接攻撃しかできないと判断したでしょう? だからこそ戦法を変え、中距離攻撃に切り替えた……ああ、この剣術については簡単です。久世家の前に雷聖剣を扱っていたのは道明寺家。私が魔族に寝返ったことで、久世家に雷聖剣が譲渡されたのですよ……まあ、もう何十年も前の話ですが」

「な……ッ!!」

「見かけ、話し方、雰囲気に惑わされましたね。では」


 ドン!! と、ララベルは一瞬で斬られた。

 左腕が肩から切断され、激しく地面に叩き付けられる。


「が、っぁぁぁぁぁぁ!!」

「殺しはしません。そういう命令なので……傷口を潰すように斬ったので、痛みは強いですが血はそれほど出ていないでしょう?」

「う、ぎぃぃぃ……!!」


 ララベルは服を脱いで上半身裸になり、脱いだ服を破き、包帯のように切断面に巻く。

 落ちた左腕を拾って収納に入れ、双剣の一本を口に咥え、もう一本を手に持った。


「まだやりますか?」

「あったり、前……テメェ、ブチ殺してやる……!!」

「ははは、殺すですか。そんな強い言葉、私のような年寄りには通じませんよ」

「……アンタ、一体」


 外見は、どう見ても二十代にしか見えない。

 今もなお、穏やかな雰囲気でララベルを見据えている。


「ではネタ晴らしを。私は道明寺雷葉……雷聖剣イザナギの初代所有者であった聖剣士ですよ」

「……せ、聖剣士!?」

「ええ。邪法を使い魔族となった元人間です。ははは、誰かに正体を明かすのは久しぶりですね」


 ライハは変わらない笑みを浮かべ、ララベルに微笑みかけるのだった。

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原作:さとう
漫画: 貞清カズヒコ
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