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聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第四章 胸いっぱいの愛を。愛の魔王バビスチェと君の奇跡の愛
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愛の支配②/魔界貴族??『??』???

 サリオスは、ロセと二人で学園内の見回りをしていた。

 今日は臨時休校。学生は全員寮内で待機。王国から派遣された聖剣騎士団が校内を巡回し、男子寮内に現れた魔界貴族らしき存在の足取りを探っている。

 サリオスは、ため息を吐いた。


「はぁ……」

「サリオスくん、どうしたのかな?」

「いえ……まさか、校内に魔界貴族が現れるなんて。入学して間もない頃と合わせて、二回目です」

「ふふ。そうだね……でも、今のサリオスくんはとっても強くなったし、次に魔界貴族が現れても大丈夫!」

「ロセ先輩……はい、次は負けません」


 サリオスは頷くと、ロセがニッコリ笑ってサリオスの手を取った。


「え、ろ、ロセ先輩!?」

「サリオスくん。サリオスくんはとっても強くなったよ。もっと自信を持って」

「は、はい」

「うん。お姉さんとの約束」

「…………」


 お姉さん。

 ロセにとって、サリオスは「カワイイ弟」のような存在なのだろうか。

 気になるのは、スヴァルト。

 ララベルもだが、同期。気心の知れる相手だろう。

 もしかしたら、恋愛感情も。


「…………」

「サリオスくん?」

「……あの、ロセ先輩───」


 サリオスが、ロセに質問しようとした瞬間だった。

 冷たい殺気が、二人を射抜く。


「「───!!」」


 二人は同時に、すぐ近くにある物置小屋の屋根を見た。


「あれは……ッ」


 サリオスが光聖剣サザーランドを抜く。

 ロセも地聖剣ギャラハッドを収納から出し、ブンブン振り回してズシンと構えた。

 物置小屋の屋根にいたのは……巨大な、二メートルほどの男。

 頭にツノが生え、口から牙が生えている。

 サリオスは、聖剣を突きつけて叫んだ。


「お前が男子寮に侵入した魔界貴族か!!」

『…………』

「答えろ!! 雷聖剣のアオイと組んで、何をするつもりだ!!」

『…………』


 魔界貴族は、右手に『短弓』を装備していた。

 杭のような矢を番え、静かに言う。


『五分以上───……俺が相手をしてやるよ』


 ◇◇◇◇◇


 ロイは、聖剣を構えるサリオス、ロセを見て、改めて自分の姿が『八咫烏』と認識されていないことを知った。

 現在、ロイは『暗殺形態(アサシンフォーム)』で物置小屋の屋根にいる。


『ロイ、わかっているな? 『暗殺形態(アサシンフォーム)』以外の力は使うな。弓を使い、他の能力を使うことが知られれば、お前が八咫烏だと疑われる。欺くなら、完全に欺け』

「わかってる」


 使えるのは『強欲(グリード)』の形態のみ。

 ロイは屋根から飛び降り、地上に降り立った。


『そして、本気で狩るつもりで戦え。妙な手心は加えるな。時間を稼ぎつつ、相手をしろ』

「相変わらず無茶言いやがる……まぁ、やってやるよ、暴れるなら、派手にだな」

「行くぞ!!」


 サリオスが、身体強化をして迫って来た。

 ロイも身体強化をする。そして、物置小屋のドアに矢を放つ。


「『入替(チェンジ)』」

「!?」


 ロイとドアの位置が入れ替わる。

 『強欲(グリード)』の力は奪う力。

 奪い与える『譲渡(ギブユー)』と、矢を刺した物とロイの位置を入れ替える『入替(チェンジ)』の力。デスゲイズは思った。


『お前、本当に能力を理解し使うことに長けているな』


 サリオスはドアを一刀両断。

 すると、片手剣形態のギャラハッドを手に、ロセが迫る。


「『地帝(ドワーフ)』!!」

「っ!!」

「『乱れ斬り』!!」


 ロセの連続斬り。斧だけでなく、剣の扱いも抜群に上手い。

 だがロイは全て回避した。紙一重での回避にロセはギョッとする。

 そして、ロイは気付いた。

 背後から迫りくる『鎖鎌』を、しゃがんで回避。


「チッ……」

「まだまだぁ!!」


 スヴァルトだ。

 そして、スヴァルトを飛び超え、双短剣を手にしたララベルが風の如く迫る。

 速度はロセよりも速い。

 

「『風舞踊陣(ゲイルダンス)』!!」


 風を纏い、舞うような連続回転斬り。

 ロセよりは速い。だがロイが全てを回避し、距離を取る。

 同時に、物置小屋に矢を放ち、戻ってきた矢を手で掴んだ。


「サリオス、合わせてッ!!」

「はいっ!!」


 サリオスは双剣を。

 ララベルは双剣を連結させると、刃がぐにゃりと曲がった。風聖剣エアキャヴァルリィの『回転曲刀(ブーメランエッジ)』である。


「『シャイニング・ブレイバー』!!」


 光を纏ったサザーランドによる一刀両断だ。

 サリオスらしい、まっすぐな斬撃だ。

 その背後で、ララベルがブーメランエッジを投擲。風を纏い竜巻となり飛んできた。

 そして、スヴァルトが鋸剣を手にロイの隙を伺い、ロセが大戦斧を手に向かって来る。

 

「……すごいな」


 ロイはポツリと呟き、矢を放つ。

 ロイの矢は、サザーランドと真正面から衝突した。


「えっ」


 衝突した瞬間、サザーランドが消えた。

 サリオスの手から、すっぽりと。

 変わりに、サリオスの両手に『鎖』が巻き付いた。

 ロイが最初に撃った矢は、物置小屋にあった鎖を奪い、二発目に撃った矢はサザーランドと鎖の位置を交換するために撃ったのだ。サザーランドは、物置小屋にカランと転がっている。

 そして、ロイは小石を投げ、矢を放つ。

 小石とロイの位置が入れ替わり、ロイは再び物置小屋の屋根に着地した。


「「っ!!」」


 ロイに攻撃を仕掛けようとしたスヴァルト、ロセが止まる。

 ブーメランエッジを回収したララベルが舌打ちする。

 サリオスは鎖を外し、聖剣に向けて手を向ける。すると、サザーランドがサリオスの手元へ戻った。


「全員、気を付けて!! コイツ、マジで厄介かも!!」


 ララベルが叫ぶと、四人はロイに最大の敵意を向けた。

 ロイは……ほんの少しだけ悲しくなる。敵のように、本気で敵意を向けられている。

 だが、これも仕方がない。

 ロイは、小さく息を吐き……サリオスたちを『狩る』ために殺気を放つ。


「「「「っ……!!」」」」


 四人は、ロイの殺気に押される。

 魔王以下、公爵級以上……それくらいの強さはあった。


「サリオスくん……エレノアちゃんと、ユノちゃんを呼んできて」

「でも……」

「大丈夫。おねがい」

「……わかりました」


 サリオスが離脱。

 ロイは追わない。むしろ、二人を呼ぶのは賛成だ。

 そして、ロイは小さく呟いた。


「頼むぞ、アオイ……」


 ◇◇◇◇◇


 アオイは、ロイの『強奪(スティール)』で気配を奪われたおかげで、軽々と学園に侵入できた。

 気配を察知する『雷命』で、ヒトや魔族の気配を探りながら進む。

 アオイの目的は、ロイが命がけで聖剣士たちと戦っている間に、少しでも魔族に関するヒントを探ることだ。


「持ちこたえてくれよ、ロイ殿……」


 アオイは、手掛かりを得るべく学園内に向かって走り出した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 敵の能力が厄介とはいえ、滑稽なほどに手のひらの上だな…。魔王たちが人類を舐めながら遊んでるのもちょっと分かってしまうわ
[良い点] 更新ありがとうございます! [気になる点] 七聖剣士のピエロっぷりが面白いです。完全にバビスチェの掌の上で踊らされてる…本当に搦め手に弱い [一言] エレノアとユノまで敵にまわるのはロイ的…
2022/12/09 09:24 退会済み
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