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聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第四章 胸いっぱいの愛を。愛の魔王バビスチェと君の奇跡の愛
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ロイとアオイ

 朝起き、着替え、顔を洗い、朝食へ。

 ロイは寮にある食堂で、オルカと一緒に朝食を食べていた。

 今日の日替わりメニューは、なんと厚切りベーコンサンド。普通のベーコンではなく、厚切りだ。

 しかも、食堂利用がロイとオルカだけ。

 

「誰もいないな」

「みんな、ショッピングモールの飲食店行ってんだろ。なんせ無料だしな」

「だよなー」

「失礼する」


 と、ベーコン厚切りサンドの皿を持ったアオイが、ロイたちのテーブルへ。

 オルカは言う。


「アオイ、こっちなのか? ショッピングモールのが美味いメシ食えるぞ」

「きみたちがこちらで食事しているのが見えたからな。拙者もこちらにした。質問するが……なぜ、ショッピングモールに行かないのだ?」

「めんどくさいから。な、ロイ」

「ああ。別に、無料だからってがっつくつもりないしな」


 ロイとオルカは、厚切りベーコンサンドで満足していた。

 アオイもクスっと笑い、ベーコンサンドをナイフで切り分ける。


「お上品だなぁ。男ならこう、バクっと行こうぜ。あぁぁ~んっ」


 オルカは豪快に口を開け、厚切りベーコンサンドをバクっと齧る。

 ロイは、チラッとアオイを見た。


「男らしく、男らしく……あ、ぁぁ……んっ」


 だが、大きく口が開けられないのか、小鳥みたいに小さな口でパクっと齧る。正直、可愛い。

 男らしく、なんて無理な話だ。

 なぜならアオイは……『女の子』なのだから。

 

「ふぃぃ食った。おいロイ、オレ着替えるから先に行くぜ」

「ああ。後でな」


 オルカは行ってしまい、食堂にはロイとアオイだけになる。

 ロイは周囲の気配を探り……小さく言った。


「な、アオイ。別に食い方でバレるとかないと思うから、安心しろよ」

「う、うむ……男児というのは難しいな」

「なぁ、気になったんだけど、風呂とかどうしてるんだ?」


 男子寮は、共同シャワー室しかない。

 女子寮には浴槽があるようだが、それでも『共用』というところに変わりはない。さすがに、男子が使うシャワー室でアオイのような女子がいれば、騒ぎになる。

 アオイは言う。


「深夜にこっそり使ったり、外の湯屋を利用する。その……ロイ殿と出会った湯屋。あそこなら人が殆ど来ないからな」

「あ、ああ……」

「部屋が個室で助かった。おかげで、女子ということがバレないで済む。ロイ殿、何度も言うが……」

「わかってる。お前の正体は誰にも言わない。エレノアやユノ、他の七聖剣士たちにもな」

「うむ。かたじけない」


 アオイは、黒く長い髪を後頭部で結んでいる。

 確かに、女子らしい顔つきだが、男装すれば意外にバレない。

 なんとなく胸を見てしまい、アオイが言う。


「乳房はサラシで隠している。それに、胸を押さえる薄手の皮鎧も付けているから、触っただけではわからないぞ」

「あ、ああ。それにしても、男装か……大変だな」

「いや、もう慣れた」


 見過ぎた……と、ロイは反省した。

 アオイの秘密。アオイは男ではなく女。その秘密を知るのはロイだけ。

 ワ国では、強き聖剣士は『男』と決まっているらしい。だが、『雷聖剣イザナギ』に選ばれたのは、女であるアオイだった。

 その日から、アオイは女ではなく、男として生きることになったという。


「ちなみに……今代の七聖剣士で、最も早く七聖剣の所有者になったのは拙者らしい。拙者は十六だが、七つの時には七聖剣士としての鍛錬を受けていた」

「へぇ……」

「変形も、七つ全て習得している。だが……悲しいことに、実戦経験が不足している。ワ国は、魔獣がほとんど現れない国でな、対人戦闘しか拙者には経験がない。魔族との戦いでは、正直かなり遅れを取るだろう……」

「待った待った。そういう話は、エレノアたちに。俺はただの剣士だから」

「む。そうか? すまんな、ロイ殿は話しやすいからつい、な」


 アオイの笑顔が妙に照れくさくなり、ロイは曖昧に笑ってごまかした。


 ◇◇◇◇◇◇


 ロイとアオイは、並んで学園へ向かっていた。

 アオイは、ロイの腰にあるデスゲイズが気になったようで見ている。


「ロイ殿、その木刀……なかなかの業物だ」

『ほう、見る目があるな』

「そうか? ただのボロ木刀だぞ」

『何ぃ!? おいロイ貴様、そのボロ木刀に何度も命を救われたこと、忘れたと言うつもりじゃないだろうな!? おい、聞いているのかむぎゅ』


 柄をギュッと押さえるロイ。

 ロイも、アオイの腰にある聖剣が気になった。


「アオイの剣……細いな。レイピアか?」

「ははは。『日本刀』だよ、これは」

「ニホン、トウ?」


 聞きなれない言葉に、ロイが首を傾げる。

 往来で抜くわけにはいかないので、薄紫色に金色の稲妻のような模様が入った鞘を持つアオイ。

 

「『日の元で戦う本物の武士の刀』……故に、日本刀。『斬る』ことに関しては、七聖剣最強だと拙者は考えている」

「ひのもと、ぶし……? よくわからないけど、すごいな」

「ははは。異国人であるロイ殿にはわかりにくいだろうな」


 アオイは剣を腰に納める。

 不思議と、鞘を腰のベルトに差す様が似合っていた。

 すると、二人の後ろからエレノアとユノが来た。


「おっはよ、二人ともっ」

「おはー」

「おう、エレノアにユノ」

「おはよう、エレノア殿、ユノ殿」

「うんうん。男同士、二人とも仲良しだね。ロイ、男子寮ではちゃんと、アオイのこと気にしてなさいよ?」

「わかってるよ」

「ロイ殿には世話になっている。ああ、エレノア殿にユノ殿、今日は模擬訓練だったな」

「ええ。クラス合同の模擬訓練よ。魔法の授業も始まるし、いろいろ忙しいくなるわ」

「魔法、もっと覚えたい」


 エレノア、ユノは魔法を覚えたくて仕方ないようだ。

 だが、模擬戦闘訓練のがロイには気になった。


「なぁ、模擬戦って、お前たちが戦うのか?」

「ええ。七星剣士は七星剣士で模擬戦やるようになったのよ。先輩たちも一緒になってね」

「連携訓練するみたい」

「そうなのか」

「七人揃ったし、あたしも最終形態をもっと安定して使いたいからね。いっぱい訓練しないと」


 ちなみに、魔法訓練も七聖剣士は別に練習する。

 ロイたち一般生徒は、魔法授業が今日から本格的に始まるのだ。


「次は、愛の魔王だっけ……学園が忙しくなる前には、来ないでほしいよなぁ」


 なんとなく、ロイはそう思った。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] あの湯屋が混浴だってこと教えなくていいのかな? ユノやエレノアも利用することあるし… 全部バレてエレノアに引っ叩かれる未来が見える
[一言] 残念だけど……魔王はもう動いているのよね……
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