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聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~  作者: さとう
第四章 胸いっぱいの愛を。愛の魔王バビスチェと君の奇跡の愛

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愛こそすべて

 レイピアーゼ王国から戻ったササライは、水着に着替えて海へ向かy。

 ササライは、水着姿でフルーツパフェを頬張るパレットアイズに言う。


「トリステッツァ、死んだよ」

「へ?」


 パレットアイズは、ポロリとスプーンを落とした。

 意味がわからず、ササライを驚愕の眼差しで見つめている。

 ちなみに、ササライも水着だ。

 ここは、魔界にあるササライのプライベートビーチ。

 人間のリゾート地を参考に作った娯楽場。今は、弱体化したパレットアイズと共に、水着姿でビーチチェアに寝そべる。

 

「聖剣士五人に殺されたようだね。いや~……まさか、負ける可能性はちょっとだけあったけど、トリステッツァ自身が殺されるなんて思いもしなかったよ」

「じょ、冗談……」

「本当だよ」

「……うそ」


 トリステッツァが死んで悲しいのではない。

 魔王が、人間の聖剣士に殺された。それが信じられないのだ。

 長く、不動だった四大魔王の地位に、亀裂が入った瞬間でもあった。

 パレットアイズは、ビーチチェアから立ち上がる。


「……殺さなきゃ」

「ん?」

「聖剣士を殺さなきゃ!! 七聖剣士、全員殺す!!」

「ちょ、ちょっと待ってよ。いきなりどうしたんだい?」

「トリステッツァが殺されたのよ!? 魔王を殺すなんて……やっぱり、今の聖剣士はヤバい。あの聖剣、あたしたちが知らない何かがある」

「まぁまぁ落ち着いてよ。それに、次の手番はバビスチェだろ?」

「そうよぉん?」

「うきゃぁ!?」


 なんと、愛の魔王バビスチェがパレットアイズの背後に現れ、水着に手を突っ込んで胸を触ってきたのだ。これにはパレットアイズも驚いた。


「な、なにすんのよ!!」

「だからぁ……次は私の手番。邪魔しちゃダメよ?」

「だったら、さっさと聖剣士殺しなさいよ!! あんたもわかるでしょ? トリステッツァが殺されたのよ!?」

「そうねぇ。トリステッツァのこと、監視してたけど……ふふ、すっごく面白い情報を手に入れたの。ね、パレットアイズにササライ、知りたい?」

「……興味深いね」

「もったいぶるんじゃないわよ!! てか触んな!!」


 パレットアイズに突き飛ばされ、バビスチェは離れた。

 長い金色のロングウェーブヘア、露出の多いドレスに、お尻には尻尾も生えている妖艶な女。

 愛の魔王バビスチェ。

 バビスチェは前かがみになり、胸の谷間を強調させ、お尻を振って尻尾を揺らしながら言う。


「八咫烏───ふふ、この子が七聖剣士たちを援護した結果、トリステッツァが死んだ。つまり……この子には、何かがあるのよねぇ♪ 私の手番では、この子を徹底的に追い詰めてみようと思うの」

「……八咫烏かぁ。確かに、妙な聖剣士だね」

「そんな雑魚より、聖剣士なんとかしなさいよ」

「ふふ。まぁ、見てて♪ 私の『愛』で、八咫烏を包み込んであげるわ♪」


 愛の魔王バビスチェが、動きだす。

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

「よおロイ!! いやー、すっげえことになったな!!」

「お、おお」


 観光都市ラグーン。

 レイピアーゼ王国を出て、オルカとユイカを迎えに行ったロイたち。向かった先はユイカの親戚が経営する宿屋で、オルカとユイカが出迎えてくれた。

 エレノアが、かなり気味悪そうに言った。


「オルカ、あんた……大丈夫?」

「ん、ああ。けっこう痩せたけど問題ないぜ!! むしろ、大ニュースに大興奮!!」


 オルカは、こげ茶色に日焼けし、さらに過酷な労働でげっそり痩せて別人のようだった。だが、大ニュースを聞いて目がキラキラしており、それが逆に気味が悪い……といった感じだ。

 宿屋の手伝いの厳しさを、ロイたちは知った。

 ユイカも日焼けしていたが、オルカほどではない。


「エレノア、ユノっ!! 魔王討伐おめでとう!」

「ありがと、ユイカ」

「ありがとね。まぁ、大変だったわ……」

「ね、ね。お昼まだでしょ? みんなで食べに行こっ!!」


 五人は、ユイカおすすめの大衆料理店へ向かい、個室を借りた。

 オルカとユイカが奢るというので、遠慮なく料理を食べる。


「いやー、エレノアとユノすっごいよな。魔王を退治しちまうなんて」

「あたし的には、あんたの変貌のがすごいと思うけど……仕事、そんなにヤバいの?」

「まあね。朝は三時起き、夜は十二時終了でずっと働いてたからな!! 一日中外仕事して焼けちまうし、汗ダラダラでゲッソリしちまうし、もう大変よ!!」

「「「…………」」」


 魔王討伐より過酷なオルカの夏季休暇に、ロイとユノとエレノアは何も言えない。なぜこんなにキラキラしてニコニコしているのかも、不思議だった。

 ロイはユイカに言う。


「ユイカ……少しは休ませてやったほうがいいんじゃ」

「や、休みはちゃんとあげたよ? でも、休まないんだもん!!」

「はっはっは。宿屋っていいな。オレ、聖剣士やめてここで働きたいぜ」


 とりあえず、オルカについてもう何も言うことはなかった。

 お昼を食べ、再び飛行船に乗る。

 トラビア王国手前で一泊し、翌日にはトラビア王国王都に到着した。

 夏季休暇終了二日前。

 ロイは、エレノアとユノに聞く。


「お前たち、これから報告とかあるんだろ?」

「ええ。まっすぐ王城行って謁見してくるわ。あとでロセ先輩やスヴァルト先輩も合流する予定……あーあ。ゆっくりしたいけど、無理っぽいわね」

「……大変」


 そう言い、飛行場に迎えに来た兵士たちと一緒に行ってしまった。

 ロイ、オルカ、ユイカの三人は、荷物を抱えて聖剣レジェンディア学園へ。

 正門前で、オルカは言う。


「帰ってきたぜ。母校によ!!」

「お前、そのテンションどうしたんだよ」

「これ、休み終わったら燃え尽きるヤツね。ま、いいけど」


 ユイカは言う。


「じゃ、あたしはここで」

「ああ。ユイカ、ラグーンではいろいろありがとな」

「いいって。短かったけど、みんなで遊べたしね。それと、秋季休暇はみんなで遊ぶ予定あるから、ちゃんと空けときなさいよ!」

「ああ」

「ユイカ、給料ありがとな!! ぐへへ、いっぱい稼いじゃったぜ」

「はいはい。じゃ、新学期にね~」


 ユイカは女子寮へ。

 ロイとオルカも男子寮へ入り、部屋の前で別れた。

 ロイは自分の部屋に戻り、荷物を投げ捨て、ようやく肩の力を抜いた。


「あ~……やっと、帰って来たぁ」

『さすがに、疲れたな』

「……お前も疲れるとかあるのか?」

『当たり前だ』

「あ~……喉乾いた。水……ないな」


 ずっと休みだったので、部屋が少し埃っぽい。水差しも空っぽだ。

 ロイは水差しを持ち、部屋を出た。

 水道へ向かい、水を汲んで部屋に戻ろうとすると。


「うおっ」

「む……失礼」


 振り向くと、長い黒髪をポニーテールにした男子生徒がいた。

 いきなり現れたので驚いた。

 

「……そなた、この寮の者か?」

「え、ええ。男子寮ですし」

「そうか。少し質問があるが……厠はどこだ?」

「かわや?」

「……『といれ』のことだ」

「ああ、トイレ。トイレはあそこです」

「かたじけない」


 少年はペコっと頭を下げ、トイレに入って行った。

 なんとなく、ロイはその後姿を見送った。


「なんか、見たことない人だったな……しかも、すっごい美少年」


 漆黒の髪に、鳶色の瞳。

 伝統的な衣装、といえばいいのか、この辺りでは見ない服を着ていた。

 顔は小さく、きりっとした眉と切れ長の眼が、不思議と印象に残っていた。


「ま、いいや。さーて、少し寝ようかな」


 ロイは、自分の部屋に戻り、水を飲んでそのまま熟睡するのだった。

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原作:さとう
漫画: 貞清カズヒコ
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月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
[良い点] 毎日更新 [気になる点] 最後に登場した少年は間違いなく最後の雷の七聖剣士でしょうね……それにしても八咫烏の事を王国の上層部には報告するのだろうか?まさか自分たちの実力で魔王に勝ったとかア…
2022/11/20 15:50 退会済み
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