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魔王の手帳 外伝  作者: なたでここ
8/17

空と目が合った件 蛇足


ある掲示板を

みていた

空がどうこう.......そんな板


別に面白くもないから

ぼんやりみているだけだった


そこに姉が来るまでは


姉は精神を病んでる

前の仕事先で問題があったからだ

だから、いつもは自室にこもることが多い

薬も多く、毎日をぼんやりと過ごしている


そんな姉が来た

取り憑かれたかのようにじっと此方をみている

少し不気味に感じたが、無視することに努めた

どうせまともな返答ができる状態じゃない


そう目を離した矢先

姉はものすごい速さで私を突き飛ばした

薬がきいてると思えない速度と威力に私は倒れ込む

文句を言いながら振り向くと姉は一心不乱にパソコンに向かっていた



消えろ消えろ消えろ

邪魔をするな

邪魔をするな

みんないなくなれ

みんな飲み込まれろ

消えてしまえ

消えてひとつのゴミになれ

腐ってる腐ってる腐ってる

臭い

消えろ消えろ消えろ



姉は念仏のように呟いていた

薬の効いたぼんやりとした目

口からこぼれるような悪の言葉

異常な速さでパソコンを打ち込む指


全てが不気味で

だからこそ目が離せなかった


息苦しくなる

涙が勝手に溢れた

怖い

寒気と熱気を同時に感じる

まるで自分の住む世界ではないようだ



「消すぞ」



気づくとそこには赤色の髪の男がいた

背が高く、鍛えられた体を鎖で縛る男

その目は銀色で、肩には鳥が構えている



「離れるなら見逃してやる」



無感情に男は言った

姉はどろんとした目を男にむけ、耳が貫かれるような悲鳴をあげた


窓にヒビが走る

壁に亀裂が、空間に鎖が、電球が砕けた

悲鳴が木霊し部屋が壊れていくが男は怯まない


砕けていく

部屋の全てが崩れていく


その1片がこちらに向かってきた

さながら台風の中の瓦礫のように

目の前の光景に目も心も奪われ1つの反応もできない


その前に立ってくれたのは男の人だった


姉が叫ぶ


ナキリナキリなきりなきりなきりりりりりりぃぃぃぃ!!!



百鬼(ナキリ)(ジン)だ。存在だけ、知ってろ」



赤い渦だ

姉が引き起こした暴風を全てかき消す赤い炎のような


瓦礫も鎖も風もそれに飲み込まれて消え

ナキリジンは姉に触れる

優しさもなく、まるで物に触れるかのように


姉は糸が切れたかのように崩れ落ち

気づけば男もそこにはいなかった





夢のような出来事はおわった

ヒビも鎖も男もいない


しかし夢ではないとわかる

姉が亡くなったからだ

それも私の部屋で


原因は薬の過剰摂取

私が見たあの姉は既に死んでいたらしい





..お前が触れたからじゃねーよな?




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