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忌み子5
食べ物が尽きてからは、街に盗みに行った
けっこうバレないものだった
持てないからいっぱいはいらないし
走って逃げれば追いかけてきたとしても捕まらないだろう
食べ物を取ってもバレない
クズのこともバレない
このまま、こうやって生きていけるんじゃないか
そう思っていた矢先だった
「こらまて!」
咄嗟に走る
子供の声だった
「待てって!」
あっという間に追いつかれ、手を掴まれた
何を考えるまでもなく蹴りをするも、それすら相手は弾いてきた
「どろぼーはいけないんだぞ!」
子供は言う
そして指をさして言うのだ
「御堂家の名において!どろぼーをせいばいする!」