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婚約者に浮気され悪役令嬢呼ばわりされたので呪いをかけようと思います

作者: 下菊みこと

呪いに行ったら予想外の人に出会ってしまった

「いい加減にしろ!ミーナに謝れ!」


「だから私は何にもしてないって言ってるでしょ!」


「ミーナがそんな嘘つくわけないだろ!」


「現についてるじゃないの!」


ルリア・キャンベル侯爵令嬢である私は、婚約者であるセシル・サトクリフ公爵令息に浮気されています。そして何故か、浮気を謝罪するどころか浮気相手のミーナさんを虐めただろうと問い詰められています。いや、濡れ衣だし。そもそもそっちが浮気したのが先なんだから謝れや。


「もう頭に来た!お前みたいな悪役令嬢なんか婚約破棄してやる!」


「あっそう。望むところよ!あと悪役令嬢ってなによ!」


「最近劇で流行ってるだろ!そうやって流行に目を向けないつまらない女だから俺に捨てられるんだ!」


「なんですって!?…本当に最低!あんたなんか大っ嫌い!」


こうして私達は喧嘩別れをした。屋敷に帰り両親に事情を説明すると、両親と聞き耳を立てていた兄に慰められた。幸いサトクリフ公爵様はまともな方で、浮気の件や婚約破棄の慰謝料をきちんと払ってくれた。その上セシルのことをぶん殴ってくれたらしく、その綺麗な顔はボコボコにされていた。しかし、セシルは一人息子の跡継ぎであるため仕方なくミーナさんとの婚約を容認したらしい。


きちんと相手有責で婚約破棄でき、慰謝料もかなりの額を貰えたのでそれは良かったのだが、これから婚約者を探すとなると骨が折れるだろうな。良い条件の男性にはもう婚約者がいるだろう。これは一回りも二回りも年の離れたおじ様の後妻になるしかないかなぁ。なんだかそう思うと、好きな人と婚約出来たセシルとミーナさんに負けた気分。むかつく。…よし、呪おう!


いや、自分でも何故この結論に行き着いたかわからないが、なんかむかつくがきちんと保障もされている以上表立ってはもう騒げないし。呪いくらいしかやることがない。


ということで、夜中にこっそりと屋敷を抜け出して中央教会まで徒歩で向かう。三時間歩いてようやく着いた中央教会の裏山で、五寸釘を取り出しワラ人形を打ち付ける。東国ではこれが一番効くと聞いた。まずはセシルの分。さらに、魔方陣を書き蝋燭を灯す。この国では一番効くらしい呪いの儀式だ。これはミーナさんの分。どっちかが効いてくれたらいいな。


「…君、こんな夜中になにしてるの?」


げっ!まさか神父様!?


振り返ると、やたらと煌びやかな王子様のような出で立ちの青年がそこにいた。


「王子様…?」


「おや。嬉しいな、そうみえる?残念ながら僕はただの闇の精霊王だよ」


「へえ、精霊王様。…え?」


闇の精霊王様…?それって、絵本の中で出てくるあの?


「ま、またまたぁ」


「まあ信じてくれなくていいけど。その呪い、あんまり効果無いよ」


「え?そうなんですか?」


「うん。だって、呪いたい相手の体液とか髪とか爪とか仕込んでないでしょ?」


「そんなの必要なんですか!?」


「…これだから世間知らずのお嬢様は。で?呪いたい相手は…セシル公爵令息と平民のミーナとやらだね?」


「なんでわかるんですか!?」


「そりゃあ、それだけ怨念がこもってればね。…よかったら、僕が呪っておいてあげようか」


「え!?いいんですか!?」


「その方が確実だしねぇ。そうだな。お互い早々に浮気して破局する呪いでいいかい?慰謝料を巡って泥沼の戦いも追加する?」


「ぜひそれで!」


「わかった。じゃあ、素敵なお嬢様はもうお部屋で眠りなさい。おやすみ」


闇の精霊王様(仮)がぱちんと指を鳴らすと、私は自室のベッドの上にいた。え、もしかして本物…?


ー…


後日、セシルとミーナさんは破局した。お互い早々に浮気していたらしい。慰謝料を巡って泥沼の戦いを始めている。が、ミーナさんは平民だからなんだかんだで不利な模様。どんまい。


その後、中央教会において闇の精霊王の神殿の新しい巫女の神託が下った。私だった。


神殿で身を清め、闇の精霊王様の元に行くと…。


「やあ!久しぶり!」


「本当に本物だったんですか!?」


「どう?僕の呪いは効いた?」


「バッチリでした!ありがとうございます!」


「どういたしまして!君の怨念が余りにも心地良かったから、僕も張り切っちゃったよー」


「あはは」


そこまで怨んでたつもりはないんだけどなぁ。


「まあ、そういうことで今日から君、僕の巫女ね。よろしく」


「はい、よろしくお願いします」


「僕のことはオニキスと呼んでよ」


「はい、オニキス様」


「君のことはルリアって呼んでもいい?」


「もちろんです」


まあ、巫女になればお嫁に行く必要も無いし、結果オーライかな。


「そうそう。それと僕、君のことを行く行くはお嫁さんにするつもりだから。そっちもよろしく」


「はい。…え?」


ギラギラとした目で私を見つめるオニキス様。え?なんでそんな話になるの?


「君ほど心地良い負の感情を持つ人間はそういないからね。なにがなんでも口説き落とすから、そのつもりで」


…オニキス様は本気なようです。私はこれからどうなるのでしょうか?

怒涛の口説き文句に落ちるまであと何日?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] もう復讐果たしたから、負の感情残って無いのでは… 後々、あの甘美な怨念をもう一度感じたい!と 精霊王さまが暗躍とかしないといいけど…
[一言]  とりあえず。  貴族の家で良かったね(^0^)。  何が良かったって、現代日本じゃ藁なんて簡単には手に入らないから( ̄∇ ̄)。  中世ヨーロッパ風の貴族家だったら馬小屋とかあるはずですから…
[一言] 心地良い負の感情って褒めてるんだろうな(笑)! つまり割とねたみそねみひがみやすい性格だってこと…??
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