転生したら女になってました
俺が転生した場所は霧で囲まれた所だった。転生してどんな場所に出るかって若干楽しみにしてたのにとんだ期待外れだったな。
さて、これからどうするかだが、神様は俺に力をくれると言っていた。だから何らかの強い力は持っているんだろう。けどこの何も見えない所で試しても意味がない。それに俺の肉体も新しくなってるらしいし、まずはどこか、落ち着ける場所に移動するか。
「って言ってもどこに行けば良いんだよこれ・・・」
とりあえず方角も分からないが適当に歩いてみることにした。それにしても霧が濃いな数十センチ前もまったく見えないぞ。こんなんで本当にこの霧抜けられるのか?
「ん? なんか見えてきたぞ。小屋? 灯りがともっててるな、人が住んでるのか?」
他に何か建物は見えないし、とりあえず行ってみるか。入ったら突然食い殺されるなんてことがない事を祈ろう。まあそんなことはないと思うがな。あっこれフラグじゃん! ヤバいヤバい今のはなかったことに。
俺は意を決してドアをノックする。
「すみません。どなたかいらっしゃいませんか?」
「はーい。今行きますー」
聞こえてきたのは女性の声だ。ドアを開けて、出てきたのは黒い長い髪に大きな二つの膨らみ、若干垂れた目をした美女だった。日本ならモデルにもひけをとらないレベルの美女なんだが、なぜか俺を見て目を丸くして驚いている。
「あのー俺の顔になんか付いてますか?」
「あ、ごめんなさい! 可愛い人だなって思って・・・まあとりあえず入って下さい。わざわざこんな所までくるということはなにかあるんですよね? さあどうぞ」
は? 可愛い? 何言ってんだこの人? 俺は男だぞ? あ! そうか、俺神様に肉体新しくしてもらったんだっけ、だから女に見えるのか・・・境でもあれば確認出来るんだが、この世界に鏡ってあるのか? まあ、とりあえず色々情報を集めないとな。
そこは木で作られたウッドハウスという感じで、暖かみのある家だった。良いにおいがする。なんか作ってたのか? 俺は案内されて椅子に座る。
「では話を聞く前に自己紹介を。私の名前はフィナ龍神族の末裔なんだ。よろしく!」
「俺は咲夜。訳あってここにきた。とりあえずよろしく」
「はい。よろしく咲夜。それでどうしてこのような場所へ? ここは人間が来られるような場所ではないですし霧が濃くて何も見えないので他の種族も滅多に来ないんですよ?」
「ああ。どう説明するか迷っているんだが正直に話そうと思う。じゃなきゃ俺がこんなとこにいる説明も出来ないからな」
俺はこの世界とは別の人間だったことや、一度死んだことなど余すことなくフィナに話した。フィナはその間真剣な表情でしっかり俺の話を聞いてくれた。
聞き終わるとフィナは目を閉じて少し考えた後、まっすぐと俺の目を見て聞いてきた。
「信じられないような話だけど君がここにいる以上信じるしかないんだと思う。それで咲夜はこれからどうするつもりなんだい?」
「まずは、情報収集だな俺はこの世界のことを知らなすぎる。この世界で生きていくためにも情報は大切だ。それと実験かな」
「じゃあさ、しばらくここに泊まりなよ。そしたら私が咲夜に色々この世界のこと教えてあげられるし、どうせ泊まるところもないんだから良いんじゃない?」
「それはとてもうれしいんだが、良いのか? 俺は男だぞ? 男女が一つ屋根の下っていうのはちょっとどうかと思うんだが・・・」
「それに関しては大丈夫じゃない? 咲夜気づいてないみたいだから言っちゃうけど、今の咲夜は15歳くらいの女の子だよ?」
は? 何を言って・・・ってあ! あの神様適当に作っておくって言ってたな。男のままにするとは言ってなかったし、しかも適当にとか言ってやがった。てことは今の俺は女!? そういえばさっきから息子の存在が確認出来ないんだが・・・嫌な予感がしてきた
「ちょ、ちょっと鏡があれば見せてほしいんだが・・・」
「はいどうぞ」
フィナから鏡を見せられて俺は絶句した。赤と黒が混ざったような腰まである長い髪に小ぶりだが手のひらサイズの胸、小さい顔に長いまつげ。日本なら間違いなく美少女だっただろうが今は全然うれしくない。
俺はその場に膝から崩れ落ちた。
「ちょ、ちょっと咲夜!? 大丈夫!?」
なにか聞こえたが今はショック過ぎて動けない。異世界転生したらだいたい可愛い女の子が周りにいるはずだと思ってたのに、まさか自分が男から女になるとは思ってなかった・・・
これ立ち直るのに結構時間掛かるかも・・・それくらいショックが大きい。息子がいないとこんなにも股が寂しいものなのか。
読んで下さりありがとうございました
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