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炎の真実  作者: 星香
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3.乙女ゲーム

気が付くとベットに寝ていた。

身体を起こすと「気が付いた?」と声がかかる。

声の方を見ると保健室の真鍋先生が心配そうに見つめていた。

「あ・・・すいません。私、倒れたんですね。」

「ええ、そうよ。でも顔色はすっかり良くなったみたいね。気分はどう?」

「あ、はい。大丈夫です。」

寝不足で疲れがたまっていたんだろう。いつもよりも調子がいいくらいだ。

火は怖いけど、いつもはさすがに火を見ただけで倒れるということはない。


カーテンの隙間から窓を見ると夕日が差し込んでいた。

もう授業も終わったのだろう。

「先生。もう大丈夫みたいなので帰ります。」

「あ、園田さんも心配していたわよ。一緒に帰るって言ってたからもう少し待ってて。

授業ももう終わる頃だし、心配だから一緒に帰ってもらいなさい。」

「あ、はい。わかりました。」

少しすると美香が保健室に入ってきた。

「失礼します!あ、恵理気が付いたの?大丈夫」

「うん。ごめんね。もう大丈夫」


恵理の様子を見て、美香もホッとした様子になる。

「よかったー。じゃあ帰ろ」

「うん・・・先生、ありがとうございました。」

「気を付けてね」

「はい。」


帰り道、校門を出る頃には顔色の良くなった恵理に安心したのか、美香はゲームの話を始めた。

「・・・でね、『赤い糸の行方』の続きが出るらしいの。」

「えーうそー。ほんと?」

「うん!!私もさっきよっちゃんに聞いたんだ~。」

よっちゃんこと、村上良子は美香のいとこで、1つ上の先輩だ。

よっちゃんもゲームが好きで学校以外はゲームしているというほどのゲーム好きだ。

美香もゲームが好きだが、ゲームそのものというよりは、ゲームの特定キャラに入れ込んでいるマニアだが、よっちゃんは、ゲームそのものに詳しく、ゲームの情報や攻略などは美香も恵理もかなわない。


「今回の続編は『学園編』で、学校へ入った主人公が学生生活をしながら恋愛をするんだよ~。」

「へぇ・・・面白そう。」

「うん。楽しみ~。あ、でも今回はレイ様は攻略対象じゃないんだよ~。ちょっとショックー。あ、でもゲームには登場するらしいから買うけどね。」


『赤い糸の行方』は、中世ヨーロッパに似た世界で、王宮を舞台にしたゲームだ。

伯爵令嬢の主人公が、舞踏会で出会うイケメンキャラ達と恋に落ちるというゲーム。いわゆる乙女ゲームの王道のようなゲームだ。

メインは王子と結ばれて王妃になるルートが王道だが、他にも主人公の幼馴染や、王宮に勤める騎士の息子、王子の側近、宰相の息子などが攻略対象となる。


美香の押しているキャラであるレイは、王子の側近で、知的で落ち着いた生徒会長みたいなタイプ。

彼は弓が得意で何度か王子の危機に活躍している。そんなレイに美香はメロメロなのだ。

ちなみに恵理の押しは、主人公の幼馴染のマークだ。

王子に思いを寄せる主人公を応援するが、実は主人公を愛している。

主人公の為に自分を押し殺して行動するところにキュンとしてしまうのだ。

マークのルートでは、そんな彼の気持ちに主人公が気づき惹かれていくのだ。

恵理はマークルートは何度もやった。


「ふ~ん。じゃあ今回の『学園編』だと攻略対象は全部変わるの?」

「うん。なんか今回は前作の主人公が王妃となり、王妃の生んだ王子が学園に通うというところから物語は始まるみたいだよ。」

「へぇ・・・。どんな感じなのかなぁ~。楽しみだね。」

「あ、でもレイ様以外は、前作キャラクターほとんどでないみたいだけど・・・いいの?」

「あーうん。確かにマークがでないのは残念だけど・・・。でも『赤い糸の行方』のゲーム自体好きだからなぁ~。たぶん買っちゃう。」

「あはは。確かにねぇ~」


恵理と途中で別れ、家に着くと家の前で知也が待っていた。

「あ、お兄ちゃん」

「恵理、今日は大丈夫だったか?」

「あ・・・うん。ごめんね。体調は良くなったよ」

「そっか。なら良かった。」

知也がほっとしたような顔になる。

(あー・・・心配かけちゃった。今日倒れたことなんて言えないかも・・・)

本当のことを話したら、さらに心配させてしまうし、学校に行くなとか言われかねない。

恵理にとって知也は過保護すぎる兄である。

大好きな兄だが、時々引くぐらい過保護になるから注意が必要だ。


「・・・けど、無理はするなよ?・・・じゃないと・・・」

「・・・・?え、何・・・?」

「何でもない。ほら、早く家に入るぞ。」

「・・・うん。」

なんとなくいつもとは違う空気を感じて一瞬「ん?」となった恵理だったが、すぐにいつもの知也に戻っていた。

(気のせい・・・・?)

ちょっと違和感を感じたが、夕食にはもう忘れてしまった。


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