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炎の真実  作者: 星香
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2.美香

町のはずれにある、少し小高い所に建つ聖ヶ丘高校、そこが恵理の通っている学校だ。

聖ヶ丘高校は、周りからはお嬢様学校と呼ばれている。

小中高一貫校であり、歴史が古いからだ。

校舎をくぐると周りから「ごきげんよう」という声が聞こえてくる。

学校のスローガンとして、淑女の為のマナーと教育と掲げており、お金持ちのお嬢様も多く通っている。

そのため、「ごきげんよう」という挨拶が多く、ゆえにお嬢様学校と呼ばれるのに輪をかけていた。

もっともすべての生徒が「ごきげんよう」と挨拶しているわけではない。

恵理のように、家から近かったからという理由で高校から通っている生徒もいるからだ。


「おはよう、恵理」

「あ、おはよう」

教室に入ると、仲良しの美香が声をかけてくる。

「美香はずいぶん早いのね」

「うん、今日は朝練でね~。的に当たるまで何度もしごかれたよぉ~」

「わぁ・・・弓道部も大変だねぇ」

「うん、まぁね。でもレイさまと同じことしているから平気。なんか同じ空気吸っている気がするんだもん」

にっこりと笑う美香。


美香とは1年から同じクラスだったが、初めから仲が良かったわけではない。

大抵の子は小・中学校から通っているため、顔見知りでわりと仲が良かったのだが、恵理は高校からこの学校へ通い始めた為、知らない子ばかりだった。


ある日、美香が落としたクリアファイルを恵理が偶然拾ったのだが、そのクリアファイルを見て愕然としてしまった。

クリアファイルには、恵理の好きなゲームのキャラクター達の絵が描かれていたからだ。

それがきっかけで美香とゲームについて語り合うようになり、気が付くとかなり仲良くなっていた。

美香はその乙女ゲーム『赤い糸の行方』にかなりはまっていた。

ゲーム自体というよりは、『赤い糸の行方』に出ているあるキャラクターの熱烈のファンだった。

いや、マニアというべきか。

乙女ゲーム『赤い糸の行方』の攻略対象のイケメンキャラのレイに夢中の美香は、そのレイが弓がうまいという設定だけで、自分も弓道部に入ってしまったのだ。


美香のレイに対する熱の入れようはすごく、お小遣いを貯めてはレイのキャラクターグッズを買いあさり、しまいにはフィギアや同人誌などまで手を出していた。

そして、レイのフィギアに毎日話しかけたり、レイのぬいぐるみの着せ替えをしたりと、ちょっと残念な部分のある子だ。

外見は、日本人形のようなまっすぐな髪をしていて、目は大きくい美少女だ。

スタイルも良く、すらりとした体型で、恵理よりも少し背が高い。

かなりモテるのだが、容姿に惹かれて近づいてくる男は、彼女のマニアぶりにドン引きして去って行くのだ。

しかし、美香にとってはそんなことはどうでもよく、レイさえいればいいと思っている。


「それはそうと・・・なんか顔色悪くない?」

ふと、恵理の顔色を見て恵理が聞いてくる。

「え?そうかな・・・」

「うん。大丈夫?」

「ちょっとゲームやりすぎちゃって・・・大丈夫だよ。寝不足なだけだから」

「・・・そっか。無理しないでよ。」

「・・うん。」


なんとなく美香には夢のことは話せていなかった。

昔から知っている家族はともかく、言ってしまったら現実になりそうな気がするのだ。

そうでなくても最近は夢なのにリアルに感じてしまうのだから。



~~~~~~~

4時限目は家庭科の授業だった。

今日は調理実習の日で、チャーハンとスープを作ることになっていた。

調理の授業がある日は、火を使う作業は、美香に頼んで、恵理はもっぱら食材を切ったりする係をすることにしていた。

火は怖いのに、包丁は全然怖くないのだ。

素早く切る動作に班の子達がびっくりしている。

「すごいね~。」

感心したように同じ班の陸ちゃんが話しかけてくる。

「そうかな。」

調理の授業は、いつも包丁を使う係をしていたので慣れたものだった。

なるべくコンロは見ないで、集中して野菜を切っていたが、陸ちゃんが「次はこれお願い」と渡された人参をとろうとして顔をあげた瞬間にコンロの火を見てしまった。

その瞬間、スーッと意識が遠のき倒れてしまった。








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