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第6話 支配の刻印


 うむ、ただ空が明るく光っているだけだよね。

 まさか私が放った光分散攻撃イレーサーとは関係があるはずがないだろう。

 この異世界である天体現象だな。

 ……

 なんか見たことのないでかい星とかいくつも近くに見えるし、異世界だからこういう天体現象が起こるのだろう。

 この世界では日常で普通に起こっていることだろうな、たぶん。

 ……

 私は見なかった事にしよう。


 そんなことより、状況の確認だ。

 今の状況の方が深刻ではないか。


 近くにいる3人の女性騎士に話しかけて、こちらの世界の事情を聞いてみよう。


 彼女たちの話が聞こえるんだ、会話ができるかもしれない。

 現状の状況を確認するのが先決だ。


 聖魔絶対魔法領域魔法ホーリーフィールドを解き3人の女性騎士に話しかけてみる。


 「姫さま、いきなり立ち止まられてどうかなされましたか?」

 ルーティーンと言う女性が声をかけた。


 「私は先ほど召喚した魔物のところへ戻ります」

 「何を言っているのですか、ここは危険です。まずは避難を優先にしてください」

 「ルーティーン、先ほど空が異常なくらい光り、輝きました。

 私が召喚した魔物が何かしたのかもしれません。

 それに光ったと同時に、あの魔人らしき者だったギース子爵と魔族の反応も消えたのです。

 あの魔物が何かをしたのは確かでしょう。

 残していったクリスティーナたちの安否が気になるのです」

 「姫さま、大丈夫ですよ。クリスティーナ隊長は私たちの中で最強の魔法剣士です。

 あのような魔物に負けたりしません」

 「それも、そうですよね。

 でも・・・ もし、クリスティーナになにか間違いがあって、召喚した魔物が野に放たれたままになったらどうしましょう?

 私のせいで被害にあわれるのかもしれません。

 非常に強い魔力があるのはわかっております。

 やはり戻ります。

 ルーティーン、ごめんなさい」

 「姫さま、お待ちください」

 アルテイシア姫は召喚した魔物のもとへ引き返す。


 「ジル将軍、ここの指揮をおまえに任せる。

 私はアルテイシア姉さまのところへ行ってくる」

 「何を言いますか、こんな時に」

 「さきほど、召喚の間で大きな魔力反応があるのを気づいた。

 おまえも、魔導を携わる者だったらわかっているだろう」

 「確かに感じております」

 「伝説の竜を召喚できたのかもしれない。

 ここからでは、姉さまの状況を把握できない。

 感じるのは異様に強い召喚された竜から発する魔力反応だけだ」

 「それは、そうですが」

 「魔人どもはすでに動いている。こんな状況で私が動くことは不謹慎だと思っていたが、どうにも姉さまが気になってしまう。

 それに先ほど強い光が上空で輝いてから、魔人どもの気配が消えた。

 もしかしたら召喚した竜が魔人どもを倒してくれたのかもしれない。

 今、感じる魔力反応は召喚された竜だけだ。

 帝国軍を指揮する魔族どもも居なくなった。

 魔人とかしたファング皇帝も死んだと思われる。

 私が居なくても数がいればできるだろう。

 それにこちらは契約している2体の強竜がいる。

 2体の強竜を出す。

 私はさがるので、あとの事は頼むぞ」

 「そこまで言われるならば、わかりました。

 2体の強竜が居れば帝国軍を打ち破れると思います。

 ここはジルに任せて、お行きください」

 「ありがとう、ジル将軍、あとは任せるぞ。

 青竜アクア・スミス、金竜ブライン・ガイゼン前に出よ。

 帝国兵と亜人どもを蹴散らしてしまえ」

 「了解した」

 「心得た」

 「ガオォオォォォォー」

 2体の強竜は咆哮し、戦場にむかった。


 「ジル将軍、あとの事は頼む」

 数名の部下を引き連れジークフリードはアルテイシア姫の元へむかう。


 今現在3人の女性騎士が入っていた、聖魔絶対魔法領域魔法ホーリーフィールドを解いたのだが女性騎士と対峙たいじしてしまっている。


 聖魔絶対魔法領域魔法ホーリーフィールドを解除したとたんに剣で切りかかってきたのだ。

 せっかく助けてあげたのに、それはないんじゃないの?


 何度か話しをかけたのだが、話を聞いてくれない。

 私の言葉が通じないのだ。


 3人の女性騎士の言葉は理解できるけど、私が話す言葉はどうやら理解していないらしい。


 私が話すと妙な呪文を使ってくるぞ、気をつけろ、間合いをとれとか言っているのだ。

 失礼な、私は一度も彼女たちに攻撃などくわえてもいないのに。


 これは困ったことになってしまった。

 守護者のドラゴンのやつは召喚されたこの場面でどう対応したのかな。

 あぁ、ローパーの化け物と竜では対応が違うか、竜召喚をしているのだ、私とはことなりうまく交渉をできるだろう。


 今のところは軽い威嚇だけで牽制けんせいしてるけど威嚇したのもまずかったのか?

 そうしないと一方的に攻撃されるだけなんだ。

 これは本当に、どうして良いかわからなくなってきたぞ。


 そう思っていたら、先ほどこの場から立ち去った、大きい胸の姫さんが戻ってきた。

 走る姿がものすごいので目のやり場に困る。

 髪の毛も緑色だし、すいかの姫さんと命名しよう。


 そうこうしていたら、召喚をした魔法使いと護衛の女騎士たちにとり囲まれてしまった。

 皆さん、奇麗な女性の人たちだけど、敵意をむけられた状態では囲まれたくないよ。

 なんで私だけいつもこんなめにあうんだよ。


 あなたたちが私を召喚したんじゃないか、責任を取ってくれよと言いたい。


 はっ、そうか彼女たちからしてみれば、竜召喚に失敗して出てきた魔物だから責任を取って私を処分しなければいけないのね。

 そうなると私が討伐対象になるって事か、なんてこったい。


 勝手に召喚しておいてあんまりじゃないか、それに助けてあげたじゃないか。

 私が防御領域を張らなかったら全員ここで死んでいたんだから。


 危害を加えていない、私をとり囲むなんて失礼だよ。

 大勢の女性に囲まれ、睨まれるのは怖いってもんじゃない。


 「クリスティーナ、ご無事でしたか」

 「姫さま、なぜここに」

 「気になって戻ってまいりました。

 祭壇が吹き飛んでいます。こんな状況で良く生きていられましたね。

 ギース・ファング皇帝と魔族の攻撃でこのようになってしまったのですか?

 上空から、闇の強い魔力反応がありましたが、彼らはどうしたのですか?」

 「姫さま、ファング皇帝と魔族どもは突然、強い光に包まれ消えてしまいました」

 「何ですって、どういう事でしょうか?」

 「これは神のご加護でしょう。

 私の日頃の行いの賜物と言って良いでしょうね。

 私の祈りをきいて、神が悪魔を退けてくれたのです」

 「そのような事が本当に?」

 「はい、私は光翼神の信者ですから。

 しかし、目の前には召喚された凶悪な魔物がいます。

 姫さま、助けに来てくれたのは嬉しいのですが、どうかおさがりください。

 ここは私たちで、あの魔物を退治したいと思います」

 えぇぇー、クリスティーナと言う女騎士、頭の中お花畑かよ? どう考えたら神の加護があるんだよ?


 さっき私が、防御結界を張って助けてあげたんだ。それに攻撃したのは私だよ。


 日頃の行いの賜物がどこで出てくるんだ。

 めでたい、めでたすぎる頭の中をしているぞ、この女騎士。

 この状況をどう解釈すれば神の加護があるって言うのだ。


 あぁー、ちょっとしたやり取りだが、今の話だけ聞いていると、この世界の人間の思考がやばくないかと思えてくる。


 あきらかに元居た世界よりおかしな感じがする。

 元の世界もあれだったがこちらの方がもっとやばい感じがしてきた。


 「クリスティーナ、ご忠告ありがとう。しかし、この魔物を召喚してしまったのは私です。

 責任は取らせていただきたいと思います」

 さすが、すいかの姫さんどんな責任を取るんだろう。


 もしかして、私を元の世界に戻してくれるのかな。


 「私には魔物を従わせる、支配の刻印を施す特殊アイテム、支配の勾玉があります。

 このアイテムを使い魔物を使役したいと思っています。

 ご協力してくれませんか」

 「わかりました、姫さま、私たちが牽制けんせいして魔物を引き付けます。

 すきを見てアイテムを使用してください」

やっぱり戻してはくれないか、そんな甘い考えはないよね。

 

 すいかの姫さん、支配の勾玉と言う危ないアイテムを持っているよ、魔物を使役できる物騒なアイテムみたいだな。


 それにさっき1人で責任をもって対応するそぶりを見せたけど、結局人だよりなのか。

 こういうちょっとしたやり取りを聞いているだけで、なんか人物像がわかってしまうのは嫌だよな。


 そんなことより、支配系のアイテムか、どんなものかわからないが魔法が関係しているのだろう。

 それだと魔法の封じが有効だな、魔法反射でもいけるか?


 魔法無効化領域魔法デスペルフィールドが一番良いか。

 強力だからアイテム系でも魔法を封じて使えなくできてしまう。

 ここにいる人たちは私と通常攻撃で戦える者はいないだろう。

 魔法を封じてしまえば、何もやれなくなる。

 そう思っていたら、いきなり女性騎士が切りかかってきた。


 「テイヤー」

 ちょっと、早い、早いよ。


 まだ魔法のイメージが出来ていないんだから、魔法無効化領域魔法デスペルフィールドの用意はまだなのですよ。

 上位魔法はそれなりに時間がかかるから、待っててくださいよ。


 女性だと思ってかなり力を抑え、手加減してあげてるのに、私が本気を出したら威嚇だけでもショックを受けてあの世の逝きになってしまうよ。


 君たちの力量を感じないのだから、いきなり攻撃するのは勘弁してくださいよね。こちらは攻撃していないんだからね。


 クリスティーナの剣が、私の体にヒットする。


 「カン」

 えっ、軽い? あたりが弱くないか、それに剣先のスピードが遅い。


 あたっても大丈夫だと思って、かわさずに剣を受けたけどあたりが弱くない。


 元の世界で私に挑んできた人たちは、もう少し威力があった気がするけどな。

 まぁ、傷を付ける事は一部の人たち以外にはできはしなかったけど、この人の剣がやけに軽いのだ。


 この程度の攻撃か、姫さま護衛の女騎士たちはお飾りかも知れない。


 外見はそこそこ奇麗な人たちばかりだ。

 姫さまの見栄えをよくするために、そこそこの美人さんの取り巻きで固めるって手法だよな確か。


 姫より奇麗な人は側近に、置いたりはしないのだろう。

 優秀で美人な人をそばに置いたりは出来ないんだよね。


 たぶん、見た目が良くそこそこ腕が立つ貴族出身の人たちが側近として集められたって感じだね。

 偏見に考えて、御免なさいね。どうしてもそんな感じがしてならないんだよ。


 適当にあしらってすきを見つけ逃げようか、なるべくけがをさせないように、やらなくてはいけないのか、そこら辺の加減が難しそうだ。


 後ろに控えていた魔法使いから炎の魔法が飛んできた。

 私に届く前に、上位魔法防御盾魔法マジックバリアに阻まれかき消えてしまう。


 魔法使いもたいした事はないのね。

 そう思っていたら女性の騎士の1人が突っ込んできた。


 「セイクリッド・ブレード」

 一直線に飛ぶように飛び込んで切りつけてくる。


 「カン」

 私に当たるが問題がなく受け止めてしまう。


 その後ろから、すいかの姫さんが現われた。

 アイテムを持ち魔法を唱えている。


 連携攻撃! こりゃやばい、とっさに反射盾魔法リフレクトシールドを自身にかける。

 すいかの姫さんが、右手に持っていたアイテムが砕け、赤い炎のような塊が手に現れる。


 赤い炎を私に向かい放ってきた。


 「シュン」

 「パーン」

 「シュウン」

 しかし、反射盾魔法リフレクトシールド効果で私には届かず赤い炎は反射して、すいかの姫に返っていった。


 「キャー」

 すいかの姫さんは、赤い炎を受け倒れ込んでしまう。


 全身が赤い炎に包まれた。

 赤い炎は燃えることがなく、アルテイシア姫の体に取り込まれるように入っていく。


 危ない、油断した。

 とっさにかけた反射盾魔法リフレクトシールド正解だった。

 反射しない可能性もあったのだが、効果があってよかったよ。


 先ほどの魔法はどんな効果があったのか不明だが、支配の刻印とか言っていたからやばい魔法だったのかも知れない。


 姫さまが倒れた、取りまきが助けによって来る。


 今だ包囲陣が崩れた、ここで逃走だ。

 私は開いた隙間をぬって、一目さんに駆け抜けて行く。

 少し移動したら街中に出たので、透明化能力インビジブルを使い姿を消す。


 ふぅ、これで追ってはこないだろう。状況は良くなったのか?

 問題はこれからどこへ行くかだな。

 望遠透視能力ルビーアイでどこか避難できそうなところを探してみる。


 望遠透視能力ルビーアイを使っても魔力が減るのを感じる。

 透明化能力インビジブルとセットで使っているから余計なのか。


 今のところは使った魔力は5分の1くらい、抑えめで使っているから、そんなもんだろう。

 魔力が回復するかも、わからないので迂闊うかつには魔法は使えない。

 とりあえず、この世界にどこまで適用できるかが心配だ。


 幸い空間収納魔法アイテムボックスに神剣・神威と直視の宝珠それにダンジョンからの石片と食糧は持っている。


 うまく考えて使うとしよう、まったく面倒なことになってしまったよ。

 守護者のドラゴンが言ったとうりにろくでもない事になった。


 「姫さま、しっかりしてください」

 皆の者が必死に介抱するが気を失ったままでいる。


 その時、弟のジークフリードが数人の護衛を連れかけつけた。


 「姉さまどうしましたか? アルテイシア姉さま」

 ジークフリードはアルテイシア姫に回復魔法を使うが、一向に目を覚まさない。


 「これはどういうことだ、クリスティーナ」

 ジークフリードはまわりに居た者たちに怒鳴り散らす。


 「ジークフリード様。

 ここは一端、アルテイシア姫を安全な場所へ移しましょう」

 ジークフリードについてきた側近の1人アバントスと言う男が声をかけてきた。


 「そうだな、移動しよう」

 ジークフリードはアルテイシア姫を抱えあげ、安全な場所に移動する。


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