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第59話 動き出した者たち 無法者(アウトロー) Ⅰ


 「紅蓮ぐれん、あれでよかったの」

 「うーん、保護しても良かったんだがそれはかえでの管轄だろう。

 俺は唯の無法者アウトローだからな」

 「またそんな事を言って」

 「で、どうしておまえは保護しなかったんだい」

 「私は休暇をとってあなたとこの星に来ているからよ。

 それに悔やんでいる事があるのよ」

 「みやびのお嬢ちゃんの事か」

 「彼女たちの話を聞いて最初から信じてあげればよかったわ。

 すぐに保護すればあんな事にはならなかった」

 「あぁ、地球から来たって事だよな。

 にわかには信じがたいからな。

 すでに人類は地球から離れている。

 それも途方もなく長い時間をだ。

 復興している輩がいるらしいと聞いているが情報が不透明だ。

 なにかしっているのかい?」

 「それについては、ノーコメントと言わせてもらうわ」

 「なるほど、しられてはまずい事でもあるのだな。

 この話はやめよう」

 「良い判断だわ、紅蓮。

 それにしてもまさか時間を超えて転移して来るとは思いもよらなかった。

 彼女らの生態データをとってわかったことなのだけど間違いなく私たちのご先祖さまたちよ」

 「らしいな。

 まぁ、ここの場所が場所だけにイレギュラーで過去から転移して来ちまう事があるのだろうかな?

 科学の疎い俺にはわからんけど。

 「確かにこの領域ではイレギュラーが起こってもなんら不思議がないわ。

 ブラックホールに銀河ごと飲まれているのですからね。

 それも近くにあと2つの巨大なブラックホールが存在する。

 いわば私たちの化学でも測れない未知の領域だわ」

 「違いねえな。 

 よほど酔狂な者しかこんな場所にはこないだろう」

 「雅さんを死なせる前に保護したかったけど、問題があったのよ。

 今思えば残念にならないわ」

 「なにか不都合な事があるのか?

 地球と似せた同じような世界がたくさんあるじゃないか。

 彼女らと時代背景が同じ世界もあるはずだ。

 そこへ連れて行って保護してやれば良いのではないのか」

 「彼女らを保護しても問題がでてくるのよ」

 「それはどうしてだよ?

 おまえクラスだと入国手続きなど簡単に誤魔化せるだろう」

 「失礼な事を言うのね。

 私は正規の手続きでしか入国させたことがないのですから」

 「本当かよ。

 怪しいもんだぜ」

 「あなたとは違うのよ」

 「それで何が不都合なんだい」

 「彼女らの生態データよ。

 私らから見れば生きた化石と言っていいかしら。

 300万年前の私たちの元になった劣化していない人類のきれいな生態データが残っているのよ。

 私たちは新しく取り入れ失ったものが多くあるわ。

 失った貴重な生態データを狙うバカがでてくるじゃないの。

 メビウス機関であっても研究材料にほしいでしょうね。

 それにあなたの元上司だった博士も興味を持つと思うわ。

 彼女が出てくるとなにかと厄介になるのよね」

 「あぁ、それは確かにやばい事になるな。

 彼女らの細胞を使えば今までできなかった旧時代の遺物も復元ができるかもしれない。

 ほしい研究者が大勢でてくるだろうな。

 犯罪を犯してまでほしい者が大勢いると言う事だな」

 「そう言うことよ。

 それに私は休暇でこちらに来ているのですから。

 めんどうな事に巻き込まれたくはないし、そんな権限はないわ」

 「冷たい事を言うな。

 権限もなにも、この星は管轄外じゃないか。

 保護する事くらいはしてやってもいいのにな」

 「そんなこと言うならば、あなたがすればいいじゃないの」

 「俺は札付きもんだし、立場的にできないのはわかっているだろう」

 「そんな事はないと思うのだけどね」

 「なんせ5万年もすればブラックホールの影響を受け人が住めなくなる危険な星へ来ているバカだぜ。

 いつ死んでもおかしくはない、無法者アウトローと言っていいだろう」

 「それは確かに言えるけど……。

 こんな危険な領域に刺激を求めるためだけに来ているなんて、あなたは本当に物好きだわ」

 「それはおまえも同じだろう」

 「確かにね。

 5万年と言わず突然変化が起きて、今すぐにでも飲まれて消えてしまう可能性があるのだから。

 あくまでメビウス機関の統計の計算では5万年くらいなのですからね。

 次元の穴が突然に開いて飲まれてしまう事だってあるのだから、危険な区域なのよ」

 「ははは、そりゃそうだな。

 まぁ、俺たちの事はいいじゃないか。

 彼女らは会った時よりも別人のように強くなったな。

 その旅立ちを祝福してやろう」

 「そうだわね」

 「もし、彼女たちがどうしても困ったときは助けてやろうと思う」

 「また、そうやって事件を起こさないでよね。

 2万年前に別の星で原住民たちを肩入れして、大暴れしたのじゃないの。

 それで会社に迷惑をかけてあの星を去ることになったのでしょう。

 それにこの星にきてあなたが真っ先にやった事は海の掃除よね。

 気のせいかしら、2万年前にあなたがあの星で滅ぼしたカタストロフィ・シー・リヴァリアサンの種族がこの世界にも居たのよね。

 今は居なくなっている。

 なぜなのかしら。

 よほど気に入らなかったのでしょうね」

 「まぁ、それは言うなよ。

 海を荒らしていた輩が居たから俺はきれいに掃除してやっただけだぜ。

 無法者アウトローの俺だからいいんだよ。

 それにやつらが管轄に入ってきたら即排除命令が出されているだろう。

 俺はそれに従い排除したまでだ。

 同じだと思っただけだがあの時は駄目だったらしい」

 「あの星もそうですけどこの星はメビウス機関の管轄ではないのよ。

 それにまた自分の事を無法者アウトローだなんて言って、気に言っているのかしら?

 戦争で英雄やら撃墜王なんて言われて伝説となっているあなたが無法者アウトローとはね。

 撃墜王、英雄列伝と言う映画までとったじゃないの」

 「映画、あれは違うだろうが。

 会社のやつらがひそかに映像をまわして、それを編集して勝手に映画にしてしまったのではないか。

 会社に損害を与えたぶんは動画の収益で賄うと言われたんだぜ。

 俺がメビウス機関の本部に連れていかれた時に、厳しい処分を受けると思ったが待っていたのは、会社の社長と幹部それにメビウス機関の上位の幹部連中と君がいたよな。

 その時にはじめてしらされた。

 保護観察になっただけで処罰はうけなかった。

 だが映画になって顔を晒される方が厳しいと思ったのだからな。

 すでに配信されて絶賛好評放映中だったとはね」

 「いいじゃないの全世界で戦争映画部門で1位を記録したじゃない。

 あの撃墜王、紅蓮が出演した映画だったと言う話でね」

 「会社の逞しさを思いしったよ。

 ただでは転ばないみたいだからな。

 200年分の収益がすでに出ていると言っていたからな」

 「もともと現地調査のついでの興行だったのですからね。

 別に興行を成功させようと思ってはいなかったのでしょう。

 あなたは会社からは博士の護衛で雇われたと聞きましたから」

 「そう言う事だったな。

 しかし、地上におり現地人と触れあっていると面白くなった。

 情にふける生活ができて来てな。

 生きているんだとはじめて実感できていたんだよ。

 それが、天使だのリヴァリアサンなど突然現れてきやがった。

 それまでは順調にうまくいっていたんだよな」

 「だいぶ悔しい思いをされていたようね。

 でもキレて大暴れするのはどうかと思う訳よね。

 それも最新の駆動騎士マシンメサイヤを勝手に持ち出したと聞いたわ。

 メビウス機関の機械部門からは、貴重な戦闘データーが取れたと喜んでいたバカがいたらしいけど」

 「まぁ、早めに終わらせたかったので俺が持ってきた鋼鉄のメタルギアでは1人でやつらを相手にするには能力不足を感じたからな。

 試乗で前から動かしていたんだよ。

 それで上流階級が使う駆動騎士マシンメサイヤがどんな戦いができるのか興味はあった。

 ついできごころで乗ってしまったんだよ。

 どのみち俺の人生ここで終わると思っていたからな。

 持ち出したせいで俺の相棒の鋼鉄のメタルギアバルディッシュは取り上げられてしまったからな。

 惜しい事をしてしまったよ。

 浮気をして離縁された気分にもなったぜ」

 「あなたがただのバカなんでしょう。

 実際に浮気をしたんですからね」

 「ははは、ちがいねえな。 

 しかしなんだ、バルディッシュはメビウス機関の博物館に展示されてるとはどうなのかと思う訳よ」

 「それがあなたが招いた事ですから自業自得だわ。

 でもあの事件を起こしたせいで別の意味でメビウス機関の幹部たちは大喜びしていたのよね。

 全員撤収のはずが、博士が研究のためにあの宙域に残ると言って置いて来たのですから」

 「らしいな、俺は挨拶できないで戻されてしまったから詳しくは知らなかった。

 メビウス機関の上位幹部連中が喜んでいたのは確かだ。

 会った時に握手までされてしまったよ。

 俺はどんな処分を受けるか心配していたのにな」

 「そりゃそうよ。

 幹部連中は大喜びよ。

 危険人物の隔離を難なく成功したのですからね」

 「博士は危険人物とは俺は思わないけどな」

 「あなたはそうかもしれないけど。

 幹部連中は恐れている人は多くいますからね」

 「そう言うもんかな」

 「そうなのよ。

 それにあなたは別の事でもやらかしたのでしょう。

 あの件は表ざたにはならなかったけどあなたがやった事はわかっているのよ。

 5千年前にこの星が天使どもに侵略され原住民が苦しめられていた時に、手引きしてあの博士のところからドラゴン型兵器を呼び寄せたのはあなたじゃないの?」

 「人聞きが悪いな。

 あれは俺じゃないぞ。

 確かに関係をしているがな。

 たぶん。

 保護観察期間が長く悪いと思って、コールドスリープで眠った状態だと期限が100倍になるだろう。

 俺の刑は150年間の保護観察、まぁ、ほとんど誓約はないのだがな。

 100日に一回君に現状の報告を入れればいいだけだ。

 1万5千年ほどコールドスリープの設定すれば刑は満期を向かえる。

 それですむと思っていたら起きた時にまさかおまえさんがまだ監察官をやっているとは思わなかったよな」

 「それって嫌みかしら。

 1万5千年ほどたっても変わらず出世していない私がね」

 「違う、違うよ。

 さすがに担当人事が変わっていたと思ってさ。

 かえでが地位が上がらない理由はしっているのでこの話はやめにしよう」

 「そうね、それがいいわ。 

 あなたも命が惜しいでしょう」

 「……。

 コールドスリープから起きて、刑期が終了の通知があった。

 それと同じ時に誰かはしらないけど俺のところにメールが来ていて、内容をみて見ると天使どもが暴れている星があるので知恵を俺にかりたいと言う話だった。

 掲示板がすでに作成されていてそこへ参加して、しりあった者たち同士で書き込んで対応策を見つけてやっただけだ。

 もちろんあのバカな連中に頼るのはなしの話でな」

 「そのせいであちらの星からドラゴン型兵器が召喚されて、大暴れをしてあなたの元上司の博士が回収に来てしまったじゃないの。

 せっかくあの領域に隔離したと言うのに。

 あの時はメビウス機関で大騒ぎになったのよ。

 幹部連中が隔離した意味がないとね。

 なんせ3つのブラックホールの中心にある星に置いて隔離できたと思ったら平然とこの星に来てドラゴン型兵器を回収して行ったのですからね」

 「まぁ、それは簡単にできるだろう。

 そういう人だからな。

 それにサイバー空間内では移動はできるのだろう。

 ここに来ている者がいるんだ。

 つながっているサイバー空間で分身体を作りこちらで具現化しただけではないのかな?

 あとは転移させて戻っただけだろう。

 それか隣合わせのブラックホールだし近かっのでこれたのではないのかな。

 彼女だったら移動できても不思議はない」

 「近かったじゃないのよ。

 ブラックホールをまたいで来るなんて異常なのよ。

 あなたがあの宙域に行った時は最新の船でかなりの高速移動していたのよ。

 片道2週間はかかったのですから。

 正確な航路を通らないといけないのですから。

 それが一瞬でこの星に来たんですからね。

 ドラゴンを召喚できたこともおかしいのですから」

 「博士はこの未知な領域の研究をしているんだ。

 すでにこの領域を把握済みなんではないかな。

 それにこの場所はそういう領域だろう。

 不確定要素が高く引き寄せてしまう。

 転移が容易くできること自体がおかしいんだよ。

 異常なエネルギーが渦巻いているのだからな」

 「それはそうだけど異常すぎるのよ」

 「でも、あの件は俺のせいじゃないし、掲示板を作ってみんなで案をだしてやっただけだしね」 

 「どこがみんなで案をだしてやっただけなのよ。

 あなたのせいじゃないのよ。

 正確なあの星の座標を教えたのはあなたでしょう。

 それもピンポイントでね」

 「それは俺かもしれないが、送信したのは俺じゃないし。

 おまえさんの上司に聞かれたので教えてあげただけさ」

 「何ですって」

 「掲示板を立ち上げたユーザーネーム、親切なおっさんファイズって書き込みをしたやつだろう。

 あれはおまえさんの上司だったんだよね。

 俺はただ親切なおっさんファイズに座標を教えてあげただけだからね。

 転移できる装置とかも密かに送って支援していたのではないかな?

 そうでないとできはしないだろう。

 まさかエンジェル解放宣戦に頼ることはいくらなんでもできない。

 あいつらはやばすぎて星まで壊しかねないからな。

 俺のところにおまえさんの上司はメールを寄こしたみたいなんだ。

 俺が起きた日に突然メールがきたんだから、しっているやつしかあんなメール出さんだろうよ」

 「あなただと思っていたわ。

 どおりでおかしいと思った。

 いかに管轄外でもまったくあのあとにメビウス機関からの調査が入った形跡はなかったのですから」

 「まぁ、天使どもには恨みを持っているやつらはいまだに多いしな。

 おまえの祖先であるお婆さんも、いまだに元気でエンジェル解放宣戦の副リーダーをやっているじゃないか」

 「紅蓮、その話はよしてくださらないかしら。

 私、気に触ってあなたを殺してしまうかもしれないわ」

 「わ わるい、おまえの禁句だったな」

 「えぇ、そうよ。

 あの糞ばばぁが存在するために、私たちの一族はどれだけ煮え湯を飲まされてきたか。

 今もそれが続いているのよ。

 私がどれほど頑張っても、あの糞ばばぁがいるせいで上にはあがれない。

 それでたまには休暇をとって、気分転換にこの星にあなたと来たのではないの。

 嫌な事を思いださせないでくださらないかしら、紅蓮」

 「わ わるかったよ」

 「いつかあの糞ばばぁを私の手で捕まえてやるわ。

 そうしたら私たち赤の一族は解放できる。

 そうね、この星で天使どもが暗躍している。

 悪さをしていると聴けばあのバカどもが来るかもしれないわ。

 それだったら捕まえられる可能性も出てくるわね」

 「おい、楓、顔がやばい事になっているぞ。

 少しは落ち着けよ。

 おまえはご先祖の話になると人が変わるんだからな」

 「紅蓮、許せるもんですか。

 私のキャリアに今も泥を塗っているのですからね。

 捕まえて、一生、メビウス機関にある強固なサイーバーセキュリティーの牢獄へ閉じ込め出られなくしてやるわ。

 消滅などさせない。

 ずっと閉じ込めて苦しませてやるのよ」

 「わかった、わかったから。

 話がかわってしまったじゃないか。

 まぁ、お嬢ちゃんたちが協力を求めてくるのだったら手伝ってやろうぜ。

 俺は近い将来そんな気がしてならない」

 「奇遇ね。

 私も近い将来あの糞ばばぁを捕まえられそうな気がするわ」

 「……。

 と とりあえず、冒険者ギルドから依頼を受けちまったんだ。

 そいつを片してしまおうぜ」

 「魔獣の討伐ね。

 紅蓮、私にやらせてくれないかしら」

 「別にいいけど、ほどほどにしとけよな。

 力をセーブしてあるといってもこの星では異常な強さを持っている。

 本当にな」

 「わかっているわよ。

 無法者アウトローの紅蓮さん」

 「おいおい、今の顔を見たらどちらが無法者アウトローかわからないぞ」

 「そうかしらね」

 「……。」

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