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第51話 動き出した者たち 異世界から来た劣等生 Ⅷ


 「いやー、食った食った食った」

 「私も、おなかいっぱいで食べられませんわ」 

 「私たちはそろそろおいとまするけど、剛くんたちはどうする」

 「俺はもう少し食べてから帰るよ。

 宙はどうする」

 「僕ももうちょっと食べたいな」

 「そう、それじゃ村長さんに私らはお礼を言って帰るわね。

 あとわよろしくね」

 「わかった、瞳さん、おつかれさま」

 「おつかれ、雅、帰るわよ」

 「わかりましたわ」

 村長に宴席をひらいてくれたお礼を言って2人はテントに帰った。


 テントに帰ったと同時に毛布にくるまって2人とも休んでしまう。


 「瞳たち上機嫌で帰ってきたわよね」

 「そうね、私たちの気をしらないで……」

 「まぁ、いいじゃないの、明日は早めに帰る事にしましょう」

 「そうね、悟られてはいけない事ですものね」

 「私たちも休んでしまいましょう」


 …… …… ……

 

 朝になり、純くんが私たちに声をかけてきた。


 「純くんどうしたのよ。

 こんな朝から、夜明けまえじゃないの?

 痛つっ、頭が痛い、昨日は飲みすぎたかな」

 「瞳は良いとして、どうしたのかしら純くん」

 「そ それが、昨日の夜から剛くんと宙くんが戻ってこないんだ。

 どうしようか聞こうと昨日の夜から思っていたけど声をかけずらくて。

 結局、今も帰って来て居ないんだよ」

 「あぁ、これはハニートラップにかかってしまったと言う事ね」

 「そうらしいわね」

 「昨日、村長にお酒を勧められかなりの量を飲んでいたみたいだから」

 「ハニートラップですって、帰ってこない。

 何をしているんですか?」

 「何って、気持ちのいいことをしているんじゃないの、雅」

 「剛くんと宙くんがですか、信じられません。

 不潔です、不潔ですわ」 

 「不潔っていわれても、まだどうなのかわからないし」

 「帰って来てから聞いてみれば良いじゃなくて」

 「そうですよね、帰って来てから聞いてみますわ」


 『香、これはいい事ね』

 『えぇ、杏、今日はこの話で昨日の話が悟られずに済むわね』

 『しばらくはこの話でもちきりでしょう』

 『剛くんたちにはわるいけど、いじらせてもらうわ』

 『そう言う事にしましょう』


 「これ、杏、香となにひそひそ話しているのよ。

 まさか2人をいじる算段でもつけている訳じゃないよね」

 「そ そんなことはしないわよ。

 それにまだ変なことしたとは限らないしね」

 「そうよ、私はね、剛くんがあっち系じゃないと思っていたから、ショックを受けているのよ。

 別にいじるつもりはないわよ」

 「あなたたち2人は面白がりすぎるから」

 「そ そんなことはないよ」

 「だだ、なぜ帰ってこないか気になるだけだもの、ただそれだけよ、それだけ」

 「どうだかなぁ」

 「帰って来ればわかるでしょう」

 「そう、帰ってから昨日なにがあったのか聞きましょう」

 「雅、言える訳がないでしょう」

 「そうでしょうか。

 やましい事をしていなければ、話せるはずです」

 「確かにそうだけど、やましい事をしてない訳がないじゃないの。

 亮も同じ手でコロッといったみたいだわね」

 「そうだね、村としては安く済む最善の手だからね。

 これで何かあった時は2人に頼んで解決してもらえる。

 まぁ、村にとっては当然のことかもしれないわね」

 「自衛の手段が少ないのだから、ハニートラップをしかけるしかないでしょうね」

 「まっ、そう言う事だね」

 「そう言う事ではないですわ。

 不潔、不潔ですわ。

 帰ってきたら問い詰めましょう」

 「雅、そう怒らないでよ。

 穏便に許してあげましょうよ。

 それにまだしてしまったとは限らないでしょう」

 「た 確かにそうですが……

 帰って来てから聞いて見ましょう」

 剛くんと宙くんにわ悪いが、この話でしばらく話題にさせてもらいましょう。


 昨日の件の話は、この村にいる間はしられてはいけない。

 でもいずれ話をしなくてはいけないと、4人で話あったのですから。


 エリンの街の冒険者ギルドに集まり、セブンクラウンのみんなと一緒に話し合った方がいいわ。

 彼らの方がこの世界の知識が多く持っているから、良い知恵を出してくれると思う。


 …… …… ……


 「みんな、朝ご飯はどうする」

 「私は昨日食ベすぎたのでパス」

 「私もですわ、しかしまだ帰って来ませんね。

 他になのかあったのかしら?」

 「まぁ、いいじゃないのその内に帰ってくるから」

 「私はいただくよ」

 「私も」

 「私もお願い」

 「それじゃ僕が作るね」

 「純くんにはいつもわるいわね」

 「別にいいよ。

 僕はこれくらいしか役にたたないからね」

 「しかし、純くんは料理が上手だよね。

 こちらの世界の調味料の配合で、私たちの世界の料理と同じ味が出せるのだから。

 もしかしたら純くんの異能だったりしてね」

 「そうなのかな。

 でもそれだとなんかしょぼい気がして残念な異能だよね」

 「そんな事はないよ。

 料理を極めれば宮廷料理に人とかに抜擢ばってきされて、いい暮らしができるアニメとかあるじゃないの。

 それか店を異世界で出してさ有名店になったりさ」

 「そう、うまくいくとは思えないけど。

 でも、みんながおいしいと言ってくれるならば僕もうれしいし、もっと学んでみても良いかなと思う」

 「それが良いわ」

 朝ご飯を食べながら、今日の午後に村を出る予定の話に決まった。


 しかし、剛くんと宙くんが、10時ごろ帰って来て、今すぐに荷物をまとめて帰ることになってしまったのだ。


 …… …… ……


 雅さんはかなりのお怒りで急遽早く帰ることに決まってしまったのだ。


 「剛くん、宙くんお帰りなさい」

 「あっ、ただいま」

 「ずいぶんと帰りが遅かったじゃないの。

 それに2人とも花の匂いがしますがどうしたのかしら。

 剛くんはラベンダーの花のような匂い。

 宙くんはキンモクセイの花の匂いかしら、なんで今までつけていない花の香水などつけているのかしらね」

 2人は罰の悪いかをして下をむいてしまっている。

 

 「雅、許してあげなよ。

 今回の事は村長が一枚上手だったのよ。

 だれでもハニートラップに引っかかってしまうわ。

 2人とも昨日の事はお酒を飲みすぎてまったく覚えていないと言っているじゃない。

 村長に、うまくやられてしまったのよ」

 「ふーん、そうなんだ。

 せめて、その香水の匂いは落とした方が良くなくて。

 ちょっとだけ感に触るよね、みんな」

 「はい、水浴びして着替えてきます」

 「僕も」

 「その方がいいわね」


 『ずいぶん雅は怒っているわね』

 『これじゃ私たちは、かわいそうでいじれないじゃないの』


 「ん、2人とも何か言った」

 「別になにも」

 「そう、それなら良かったわ、それじゃ、エリンの街に帰りましょう。

 こんな村、今すぐにでも出ていきたいわ」

 「えぇ、そうしましょう。

 『雅が怒るとこわいわね』

 「なにか言いました、瞳さん」

 「別になんでもないわ」

 「もう帰る準備はしてあるから、帰るとしましょう。

 純くん、剛くんたちが来るまで荷物を見ていてもらえないかな。

 私たちは村長にあいさつして来るわ」

 「わかりました」

 「それじゃみんなあいさつして帰りましょう」

 村長宅に出向く。


 「皆さま方、昨日は楽しんでいただけましたか」

 「えぇ、宴席をひらいてくださって、ありがとうございました。

 とても楽しかったですよ」

 「それは良かったです」

 「で、今日は何ようで」

 「私たち、急用を思い出したので、今からすぐにでもエリンの街に帰らなければいけないのです。

 それで今すぐにでも立ちたいと思いまして、ごあいさつを、急な話ですみません」

 「そうでしたか、それは残念になりますな。

 ゆっくりしていただいてもよかったのですが」

 「急な仕事があるのですみません」

 「そうですか、仕事があるならば仕方がありませんな。

 さすがにセブンクラウンの方々はお忙しいのでしょう」

 「はあぁ、そうですね」

 「帰る前にお渡ししたいものがあります。

 どうぞお受け取りください」

 2人の若い女性が大きな布包みを持ってきた。


 「これをお受け取りください」

 「? これはなんですか」

 「狼を解体したできた革ですよ。

 傷のなかったのは少なかったのですが、お渡しします」

 「いただけるのですか」

 「はい、あなた方が討伐したものです。

 お受け取りください」

 「やった、これって臨時の収入になるじゃないの、これで討伐の埋めあわせがなるわ。 

 亮にいただいた報酬じゃわりに合わなかったですもの」

 「そうでしたか、それは誠にすみませんでした。

 亮さまがこられたら、私どもでもお礼は言っておきます」

 「それと、これをお受け取りください。

 解体した時に出てきたのもです、魔核が1つあります。

 どうぞお収めください」

 村長は奇麗な布包みを渡す、結構な量がある。


 魔核以外も何か入っている様子が伺える。

 「ジャリ」っと金属片が擦れる音が聞こえた。


 その時に杏と香を紫の3人は嫌な予感が頭によぎった。


 「えぇ、魔核ですってやった嬉しいわ。

 お金になる。

 へー、どんなのだろうみて見たいな」

 「瞳、ここで開けるのは失礼だわよ。

 お金関係になる物を人に見せる事ではありません。

 村の人たちも見ているのですから」

 「あっ、そうだったわ。

 確かに失礼だったわね、これは後で確認しますね」 

 「そうしてください。

 そう言えば剛さまと、宙さまはどうなされましたか。

 2人があいさつをしたいと言っていたのですが」

 荷物を渡した2人の若い女性から剛と宙と同じ花の香水がしていた。


 この2人が昨日夜の相手をしたのだと誰もがわかった。

 雅は2人を睨んでいる。


 「えーと、水浴びをしています。

 花の匂いがしましたので、帰る途中に魔獣を引き寄せると困りますので……」

 「そうでしたか2人がお世話になりましたので、挨拶をと思いましたが……」

 「残念です。

 剛様と宙様によろしく言ってください。

 次に来た時も私どもで精一杯おもてなしさせていただきます」

 「わかりました。 

 これで帰りたいと思います」

 「グレイトウルフの討伐ありがとうございました。

 今度またサイの村にお立ち寄りください」

 香と杏は女性から大きな包みを渡され持って帰る。


 雅に関してはずっと花の香水をしていた女性たちを睨んでいた。


 …… …… ……


 「雅、そう怒らなくてもよくない。

 花の香水をしていた女性あなたの睨みで引いていたわよ」

 「剛くんと宙くんはあの2人と関係を持ったのですね。

 奇麗な人だったので、余計にむかついてしまいました」

 「そう、怒らないでよ。

 私はこの包みの中が気になるわ。

 今、開けて見ようかな」

 「瞳、それはエリンの街に帰ってからにしましょう。

 何が入っているのかわからないし、まずは鑑定所に持っていって調べてからにしましょう。

 アイテムの分配で揉める事って多いじゃない。

 そういう時はまず鑑定所に持っていって、査定をしてから分配と決まっているじゃないの」

 「そうだったわね」

 「でも魔核よ。

 魔核って高く売れるんでしょう。

 私たちははじめてみるわ」

 「いつもペシャンコにするから魔核は粉々だし、その前に解体できないのでとりだせもできないから、仕方がないでしょう」

 「そうだわね」

 「あとのお楽しみとしますか」

 「それよりも、早く帰りましょう」

 「雅をみて見なよ。

 そのうちに頭から鬼の角でも生やすのではないのかな」

 「確かに、そう言う雰囲気をだしているわね」

 「一刻も早く帰りましょう」


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