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第5話 イレーサー


 ここはどこ? 私はだれ?

 そんな大昔にあったぎゃぐなどを、考えてる場合ではなかった。


 私は守護者のドラゴンに尻尾で押され、召喚用の魔法陣の中に入ってしまったのだ。

 守護者のドラゴンの話だと異世界転移の召喚魔法陣と言っていたのでここは異世界のはずなのだが。


 転移されたのかな?


 辺りを見渡すとやけに暗く、松明たいまつの明かりのようなモノで辺りを照らしている。

 暗いな、夜なのか、まわりには、私を取り囲むように大勢の人が集まっているのだ。


 1人だけ私の近くに居て、何やら手をあわせ祈ってる女性が見える。


 おぉ、すげえ美人だ。この人かな助けてと呼びかけをしていた人って。

 それになんて言うか、ふくよかと言うか、出るものが育っているのだ。

 メロン、嫌それは失礼だ。スイカの大きさのある胸が見える。


 こんな人って本当に居るんだ。ある意味これはすごい事だぞ。

 これを見られたことだけでも良しとしようか。


 そう思って観察していたら、その女性と目があってしまった。


 ドキリ、モンスターなのにドキッとしてしまったよ。

 心がかん高くときめいていたのだが、すぐさま崩れることになる。


 「化け物」

 目の前の女性から、大きな声で言われた。


 「ガーン」

 私の心の中でなぜかそんな音が聞こえた。なんか古い表現だな、でもなぜかその時は思ってしまったのだ。


 えぇぇー、やはりそうなのね。

 いや、わかっていたさ、わかっていたけど、正面と向かって直接言われるとショックがでかいよ。


 それに、こんな美人さんに言われたのだ。異世界転移して、まず最初に言われることはそれですか?


 いや、相手からしてみれば当然な事だけど、それってあんまりではないのかな。

 仕方ないか、それよりも冷静になってまわりの状況を確認しよう。


 私はすぐさま索敵と望遠透視能力ルビーアイを発動し、全方向への警戒を強める。


 ? なんだか、街が見えるけど、街中には人が一人も居ない?

 それに城壁? 街中塀に囲まれている。


 巨人の街じゃないよね。門、正門辺りかな、大きい門が有って、かなりの数の人間が居る?


 争いごとをおこなっている? 


 それ以外にも魔物や亜人? 獣人ではないよな? 見たことのない種族の者たちがいるんだよな。


 あっ、ゴブリンだ。

 気味が悪い姿をしている。

 あのファンタジー世界で嫌われているゴブリンがいる。


 一部の漫画では良い方向で書かれているのもいるけど大概は悪の小鬼でとおる設定だよね。

 こちらの世界にも居るのか、元の世界には居なかった奴らだ。

 嫌なやつらが存在するな。


 ! なんか良くわからんが、上空に浮かんでいる変なやつらが居る。


 ここら辺にいるやつらと違い、異様な気配と力を持っている感じがする。


 闇の力か、こいつらもしかして黒翼人? 厄介そうな者たちだな。


 こいつらもしかして戦争しているのか?


 それで助けを求めるために、召喚の議をおこなっていたのか。

 そう思っていたら、私の目の前に女性の騎士らしい人たちが目の前の女の人をかばうように立ちふさがった。


 3人の女性騎士だ。


 「姫さま、早くお下がりを、ここはいつもとうり私たちにお任せください。残念な事に、竜召喚は失敗です。

 ルーティーン、姫を早く連れ、ここを立ち去れ、早く、早くしろ」


 強そうな女性騎士だ。 女性騎士!

 いかんいかん、女性騎士と思って邪な事を思ってしまった。

 これは触手モンスターとしてのサガなのだ。


 触手モンスターが女性騎士に定番な18禁で出来る事とかをつい思ってしまう。

 ここで戦闘になって、勝ったらエッチなことができないかな。


 先ほど化け物と言われたショックがあったので、すぐにはショックがぬぐえず、つい邪な事を思ってしまったのだ。


 それにあんな胸を見たあとだよ、ちょっとだけ欲望が出てしまったのだよ。

 でも今は人間ではないんだよな。


 さすがに今はそんなことを考えるのもまずいだろう。

 そんな状況ではないしね、いくらひどい事を言われたとしてもね。


 女性の騎士らしき人は、姫さまおさがりをとか言っている。


 えっ、さっきの人、姫さまなんだね、そうか姫なんだ。

 別に美人で姫さまだとしても、初対面の人に化け物って言うのは失礼ではないか。


 あっ、そうか私、人ではなかったか。


 うーん、私には罵倒されて喜びが芽生えるスキルがないのでショックを受けるな、こういう時には変態なスキルがほしいよね。

 しかし、竜召喚が失敗したとか言っているな。


 竜召喚か、ちくしょう、化け物と言われたのはすべて守護者のドラゴンのせいだ。

 管理者の詩織さんに連れ戻される時に、すべて守護者のドラゴンがやったのだと言いはろう。


 尻尾で召喚魔法陣に入れたのは事実だし、全部ここに来たことの罪をなすり付けよう。


 そうしなければ私の傷ついた心は直せないぞ、全部守護者のドラゴンが悪いのだ、そうだそうしよう。

 守護者のドラゴンにここへ来たことの言い訳を、全部なすりつける、そう決めたみつぐだった。


 そんなさなか、上空から先ほど感じたやつらから鋭い視線を感じる。


 痛いな、視線が刺すのだ。なんだこいつらは、なんか黒翼人みたいだなと、先ほど思ったけど、魔人が1人混ざっているぞ。

 それになぜかこいつ、私に敵意を持っているな、この世界は異世界だろう?


 元の世界だったら翼人とかに恨まれているかも知れないけど、初対面のやつに敵意を向けられる事はないと思うんだけどな。


 こちらにやって来るのか、一応、防御態勢だけ整えておくか、近くにいる女性の騎士達にも伝えておくか。


 すでに姫さんとやらは避難したみたいだし、と言うか逃げるの早くない。かなりの距離を移動しているよ。


 そういえばいつもとおりとか言っていなかったか、こんなこと普段からしているのだろうか?


 それよりも防御魔法を唱えるとしよう。

 先に目の前の女性騎士に話しかけてみる。


 「なんか化け物っていきなり言われてショックなんですけど私。

 それよりも騎士のお嬢さん方、ここからすぐに離れたほうが良いと思うんですけどね。

 なにやらここへ、嫌な気配を持った者たちが近づいてくるのでね」

 とりあえず目の前に居る女性騎士に話しておいた。


 それじゃ防御魔法をかけるとするかな、一応、女性騎士達にもかけておこう。


 物理防御盾魔法エナジーシールド魔法防御盾魔法マジックシールド上位物理防御盾魔法エナジーバリア上位魔法防御盾魔法マジックバリア、最上位物理魔法防御盾魔法デバインバリア硬質化ハードチェンジ

 とりあえず定番な防御魔法を使ってみる。


 ! あれ、あいつらこちらに近づいてきたぞ、それに攻撃態勢を取っている? なんだ、本気で私を攻撃するつもりか。

 これって本当にやばいのではないかな。


 すぐさま、私は聖魔絶対魔法領域魔法ホーリーフィールドを展開し防御を万全にする。


 一応、まわりにいる女性騎士たちにも、範囲内に入れておいた。

 魔法が展開したとたんに、上空から悪意のある波動が私にむかって放たれているのがわかる。


 「ドゴゴゴゴーン」

 なんだ本気か、本当に攻撃してきやがった。


 私、何もやってないんだけど、どういう事だよ。

 私に向かい魔法の衝撃破のようなものが降り注いだ。


 ふぅ、危なかったな、聖魔絶対魔法領域魔法ホーリーフィールドをはって正解だったよ。

 中にいる女性騎士たちも全員が無事だしね。


 私は聖魔絶対魔法領域魔法ホーリーフィールドをすり抜けて外へ出てみる。


 うわー、ひどいありさまだ。

 聖魔絶対魔法領域魔法ホーリーフィールドの周辺100メートルほど吹っ飛んで地面が剥き出しになり陥没している。


 あんな攻撃がまともに当たっていたら、痛いじゃ済まされないんだからな。


 まったく頭にきたぞ、あいつら、私とやるつもりだったら相手にしてあげようじゃないか。


 「上位無属性状態異常打撃魔法バニッシュメント


 上位無属性状態異常打撃魔法バニッシュメントを魔人と黒翼人がいる範囲に放つ。

 上位無属性状態異常打撃魔法バニッシュメント私が使う魔法の中でもかなりの威力を発する魔法だ。


 いくら魔人でもこれは効くはずだ。状態異常打撃を食らって少しは痛い目を見ろ。


 私の体から虹色の光が放たれる。魔人たちにむかい魔法の衝撃破が襲う。


 「バシューン」

 魔人たちは無属性状態異常打撃魔法の直撃を食らった。


 先ほどの魔法で半数近くの魔人たちは、地に落ち状態異常を食らってダメージを受けている。

 中には即死したものもいるようだ。


 あいからわず恐ろしい魔法だな。

 即死、麻痺、暗闇、睡眠、混乱、氷結、強毒、猛毒、誘惑、いずれかの魔法を必ず食らうのだ。


 さらに魔法効果を打ち消し、相手がかかっているバフを無効化する優れものなのだ。

 その状態で、無属性魔法打撃を与えると言うからダメージが入る。


 思った以上に弱いなこいつら、どうやら上位無属性状態異常打撃魔法バニッシュメントが効いたようだ。


 しかし、本当に黒翼人ってやつか? そういえば魔人は見た事があるけど黒翼人って見た事がないんだよな。


 だがやつらから望遠透視能力ルビーアイで見てみると、あの翼人と同じ光のようなものを感じるんだ。


 先ほど突き刺さる視線も同じ感覚だったからな。

 止めを刺しておくか、先に仕掛けたのはあいつらだ。問題はなかろう。

 そうなるとあれを使うか。


 光分散攻撃イレーサー 詩織さんが言っていたな。

 威力が上限を取り外したので前の162倍近く攻撃力をあげてあるとかね。

 しかし、以前の攻撃の威力がわからないんだよな。

 あの時はダンジョンから魔力供給を受けていたし、管理者の方で調整するとか言っていたしね。


 あぁ、そうかここは異世界だ。

 ダンジョンから魔力の供給がないんだな。

 それじゃマジックポイントを考えて使わないといけないな。

 ここはダンジョンよりマジックポイントの回復が遅そうだ。


 あれ、と言うかよく考えたらこの世界でも魔法が使えるのね。

 異世界だから使えるのかも不明だったよ。

 とりあえず使えるから良いかな。


 確か光分散攻撃イレーサーは魔力を使うのも少なく連鎖爆発で翼人を消滅させることができる仕様にしたって言っていたんだよな。

 管理者の詩織さんが激怒していて、連鎖爆発仕様に変更したのだ。

 どのくらいの威力になったのだろうかはわからない。


 とりあえず光分散攻撃イレーサーを唱えてみるか。


 ちなみに光分散攻撃イレーサーはほぼ魔力を使わない。

 翼人の構成している光のエネルギーを利用し内部から崩壊させるみたいだ。


 私にはようわからないが翼人専用につくられた攻撃魔法らしいからな。

 まわりに被害もなくクリーンに消滅させられるらしいね。

 どういう魔法か前は知らなかったが仕様変更したと言うので聞いたのだ。


 詩織さんいわく、翼人は敵と完全認識したので、リミッターを外し面倒だから一度に消滅させると言う。

 それを聞いて詩織さんは危ない人だと再認識をした。


 前は光分散攻撃イレーサーの事がよくわからなかったので、とりあえずイメージで強い技の名を言っていたけど、ギャラクシアン・エクスプロージョンでの名前では駄目だよな。


 まったくイメージと能力があっていないんだよ。


 強い技のイメージは確かなんだけど、そうするとどうするかな。

 スターダスト・レボリューションにしようかな。

 あ、でも駄目か星屑じゃイメージが違うか。


 光かライト、来飛、らいとは前世の俺の名前か!

 ライトニング、これも違うか。

 そうだあれにしよう。


 それじゃ魔法を唱えるとしようかな。

 魔法のイメージはできた、これで良いだろう。

 私を攻撃した魔人たちにむけ魔法を放つ。


 「光分散攻撃スターライト・エクスティンクション


 「シューン」

 最初に魔法を放った小さな音だけ聞こえる。ほんの小さな光が体から放たれた。


 うーん、いまいち、小さな光を発しただけで効果が見えない。

 発動したのか?


 これは効果も見た目名前にあわないだろう。

 名前負けをしてイメージにあわないのか、光分散攻撃イレーサーで良いや、元の名に戻そう。


 魔人たちにはほんのわずかかな光に当たっただけだが、効果を受け、黒翼人たちは、一瞬の間に黒い光の球に変わった。

 やがて白く変わり、光りだし分散して消えていった。


 それどころか、空一面が明るくなって、輝き出してしまった。

 夜なのに昼間のような眩しい光が上空からさしてくる。


 あれ? おかしいぞ。

 私を攻撃した魔人たちに光分散攻撃イレーサーを放ったのだ。

 なんで空一面に輝きだしているの? これって全世界規模で起きていない。

 いや、そこまではさすがに起きてはいないだろう。


 やっちまったのか? 確か連鎖爆発のように、巻き込んで消滅させるように改良してあると言っていたと聞いた気がする。

 もしかしてこの異世界にも翼人が来ていたのか?

 これって私が、翼人たちにたいして攻撃を仕掛けたって言う事になるのかな?


 いや気のせいだよ。

 気のせいさ、翼人が居たなんて気のせいだよ。

 私の眼の能力、望遠透視能力ルビーアイで20キロメートル先が見えるはずだけど、翼人らしい人たちは見かけなかったし、きっと気のせいだろうな。


 たとえ前より162倍の威力が上がって、連鎖攻撃をおこなう仕様に変わったとしてもそんなことはないよね。

 まさか連鎖って言うのが光が届く範囲ではないはずだ。

 それに前に使った時は、管理者が調整するって聞いたし、ダンジョンから魔力が供給されていた。

 そのために、それなりの威力は出ていたのは確かだと思う。


 私単体が、魔法を使ってもそれほど威力はないだろう。

 それに魔力はさほど減ってはいないしな。


 上位無属性状態異常打撃魔法バニッシュメントを使った時の方があきらかに魔力が減っている。

 …… …… …… 

 これは見なかったことにしよう。

 気のせいだよ。

 きっと気のせいさ。

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