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第4話 転移

 

 ふぅー、微妙に退屈だな。


 いつもとおりダンジョン内で、食っちゃ寝の生活をしている。

 と言うか、モンスターの私ってそれしかやる事がないんじゃないの?


 腹が減ったらダンジョン内に徘徊はいかいしているモンスターを見つけ、狩り取って食べる。それしかしていないんだよな。


 一応、地上に出られるようになっているけど、今のところは何も起きていないし、管理者の詩織さんから預かった『直視の宝珠』でのぞいてみるけど、特に変わったこともなく、地上は平和そのものみたいなんだよな。


 それは良い事なんだけど、暇で仕方がない。


 直視の宝珠、前は固定で特定の場所しか見られなかったけど、詩織さんから新たに預かった時から、アストリア大陸の人間界と獣人の住む西半分くらいは自由に見られるようになった。


 なぜだか、東半分の大陸はどうしても見られないんだよ。

 東にはエルフの国があるらしいので、気になるんだけど見られないのが残念だ。

 そこがもどかしいところなんだよな。


 エルフの国へ行って見たいけど、この前、逃亡したのがばれて行きづらくなってしまった。


 別に地上に出て自由に過ごして良いって言っていたけれど、この前の事で、こりたので行きづらいんだよな。

 地上の面倒事に関わるのは嫌なので、どうしても敬遠してしまう。


 地上はあの一件から特になにもなく、平和で良いんだけど、私がこの姿で出ていったらまた問題になるだろう。


 問題なのは、見た目なんだよ。


 この見た目さえ何とかすれば良いと思っていたので、こっそり守護者のドラゴンのところに行って人間の姿になれるか聞きに言ったのだが、私には無理な事がわかりがっかりしている。


 前守護者のドラゴンは地上で人間の姿に変身出来ていたので、私にもできる可能性があると思って聞いてみたら、なんと魔法で変えられる事が出来ると聞いたんだ。


 ラッキーと思ったのはつかの間、変身ができない事がわかった。

 私には管理者の制限がつけてあるらしい。


 ダンジョンの最深部にいるタコ型のモンスターのシュマちゃんもできるらしく、地上の様子を見るために、タコ型モンスターの誰かしらが姿を変え派遣しているらしい。


 問題なのは地上の事をちゃんと調べているかあやしいが、変なやつらばかりいたから情報を集めるのは無理なのかも知れない。


 もっともあのタコ型のモンスターの本当の姿を地上で見せたらやばいだろう。

 私よりも気色が悪く見えるはずだ。


 どうして人間くさいモンスターが、あんな地下に居るのかと思っていた理由がなんとなくわかったような気がした。


 地上へ行って人間と接触があったのね。

 接触が合ったならば、ちゃんと仕事しろって言ってみたいよ。


 本当に調べているのか疑問に思うが、と言うかこの前の件、私が行かなくともあいつらが行けば良かったのではないか、あいつらが、やる仕事だった気がする。


 でもシュマちゃん以外は弱そうなので問題なんだけど。


 それで、私が人間に変身できる魔法を守護者のドラゴンに習ったでもできなかった。


 守護者のドラゴンは、できるはずだと言って、原因を探ってもらったら、管理者の制限でできないようにされていると言われてしまった。


 「なんじゃそりゃ、それはひどいではないか」

 その時は、絶叫してしまったよ。


 それを聞いた時に、今までない絶望感を感じたのはハンパがなかったな。


 管理者制限、そんなもんが私についているの?

 えぇぇー、なんでそんな事になっているんだ。

 管理者って詩織さんの事ではないか。


 この前の逃亡の件もあるから、絶対外してくれなさそうだぞ、と言うか、外してって聞くことも怖くて言えないよ。


 なんでそんな権限付いているのだろう。

 人間の姿に変わっても悪さしに行くわけではないのに。


 なんてこったい、研究が終わって帰ってきてから、よほど機嫌が良い時ではないと無理そうだぞ。


 それにまったく今は音沙汰もない。

 俺以上に、引きこもって居るぞ。


 うぅぅ、これは諦めるしかないみたいだな。

 管理者権限では私では解除は無理なはなしだ。


 この前に捕まって改造手術されたらしく、新たに特殊な能力が使えるって言っていたけど、どんな能力があるかは知らない。


 変身できればいいなと、思ってたやさき権限がついているとはね。


 新しい能力も権限で制限されていたら使えないし、それよりもどんな能力がつかえるか聞いていない。

 あれから詩織さんにまったく会っていないからわからないんだよな。


 ただ前より力が1.87倍増したとか言っていたので、その事がよくわからない。

 強くなったみたいだが、普段と変わらないんだよ。


 このダンジョン内でモンスターと狩りをしている時も特に強くなったって感じはしていないんだよ。

 もしかしてモンスター全員、強くなっていたりして、まさかな。


 まぁ、いつもどおり、変わらなければ良いかな。

 地上でへんなもめ事がおこらないよう祈るばかりだ。


 仕方無いな、おとなしくダンジョン内をうろついていよう。



 ふぅ、今日も微妙に退屈だな、一休みして起きたところだ。


 普だんどうりの日課で起きだしたら、ダンジョン内にある石片を食べる。

 これを食べると魔力が回復するみたいなんだよな。


 それに新たな日課で直視の宝珠で地上風景を眺めることになってしまった。

 起きた時と休む前は日課でおこなっている。


 しかし、私の場合腹の減り具合で休むので、不定期な時間を過ごしている。

 地上の様子の見る時、時間帯が変わっているから微妙なんだよな。

 とりあえず、いつもどおり直視の宝珠を除くとするか。


 のぞいていたら、ローパーの彼女が直視の宝珠を除いてきた。

 体から触手を出し触っている。

 彼女もどうやらわかるらしいのだが、別の事で反応しているんだよ。


 ちょうど見ていたところが昼で草原地帯が映し出された風景が見えている。

 そうそうこの草原地帯が気になるらしいんだ。


 以前、草団子を作って持って帰ったらえらく気にいったらしく、もっと寄こせとせがんでくる様子を見せる時がある。

 何度か地上に出て、草木を刈って持って帰っているのだ。


 もっともダンジョンのまわりの木などを伐採して持って言っているんだけど、さすがに人間界近くまでは取りにいけない。


 木などを伐採して持って帰っても十分するほど喜ぶので問題なくダンジョン付近で持って帰られる。


 おかしなことに木を伐採しても、次にいったら元どおりに木が生え直っているので不思議に思っている。


 管理者の詩織さんが自然全般を管理しているみたいなので、もしかしてたら直しているのかな?

 と言うか自動設定で直るようになっているみたいだ。


 なぜ、この星でそのような事がおこなわれているのか不明だが、それって良い事なのかわからない。

 自然物が多く食べるものがこと足りることはないと聞いているのだが、そこまですることなのか。


 この星は本来、天候が不安定で、自然の管理をっやらないと住みずらい世界なのかもしれないと考えてしまった事がある。


 現に他に大陸があるらしいが、守護者のドラゴンに聞いても砂の大陸は復旧中だとかしか返事が返ってこなかった。


 未来の地球人は自然を元に戻す事とか普通におこなっている可能性もある。自然保護に関して義務とかあるのかも知れないな。


 私が居た時代とは考え方が大幅に変わっている事は確かな見たいだ。まぁ、良心的な考え方が残っているようなので良いと思うがな。


 人間進化して、良心がなくなったら怖い存在だよね。

 未来で機械のように感情がない人間が存在してもおかしくはないと思ったからね。


 しかし本当にこの星は、生物が住むのに難しい環境かも知れない。

 そんな星をめちゃくちゃにした、翼人は許せないよ。

 砂の大陸にしたのも翼人がやったみたいだし。


 それと守護者のドラゴンから聞いたけど、管理者からの変更で翼人と臭獣人は排除命令が出ているらしい。

 次にやったらすぐ排除するみたいね。


 確かに彼らはやりすぎたらしいよね。

 でも私もやりすぎてしまったのではないかな。


 光分散攻撃イレーサーを使用した時は広範囲で光ったよな。

 あれって光った範囲で、翼人が死んだって事だよね。

 仕掛けたのは奴らだからそのことは考えないようにしよう。

 何千人死んだかとか考えると気が引けるな。

 まさか何万人ではないだろうな。


 しかし、この星の自然環境調整はなにか理由があって管理者の詩織さんはしているのだろうか?

 あとで聞いてみようかな、でも不思議な話、人間や獣人達にはまったく感知していないんだよね。


 なぜ気にしていないか、そこのところも後で詳しく聞いてみよう。


 さてと、今日は久々に地上に出て草木の採取でもしてこようか。

 ローパーの彼女がせがんでいるので行ってこよう。


 それに体を鍛えるのにも良いしね。全力でここから駆け抜けていけば、良い運動にもなる。


 少しでも強くなるように走り込みをして鍛えているんだよな。

 それじゃ、早速行ってくるかな。


 ちなみに行ってくるのわかると彼女はおとなしく待っているんだ。

 前からこういうところは、ちゃっかりしている。でもかわいいやつなんだよ。


 地上へ行って草木を刈り持ってきた。とりあえず彼女にはこれを与えておこう。


 大量に持ってきたので、空間収納魔法アイテムボックスでしまっていた分を倉庫の中に入れるだけいれてしまう。

 そんな作業を続けていたら、ちょうど入れ終わった時に異変があった。


 ? なんだこの魔力の反応は、今まで感じたことがない魔力の感覚がある。

 これは守護者のドラゴンのところだな、守護者のドラゴンのやつ、なにかやりやがったのかな? 気になるのですぐさま向かってみる。


 急いで向かってっ見たら、守護者のドラゴンのいる部屋の隅に見たことのない魔法陣が現われていた。


 それも立体形の魔法陣? なんなんだこれは、今まで見たことがないぞ?

 守護者のドラゴンに聞いてみようとしたら、気にした様子もなく寝ていた。


 こいつも大半が寝ているんだよ、起きているのが珍しいんだよな。

 しかたない起こすしかないか。


 私は大きな触手で頭を強く引っぱたいた。

 これくらいやらないと全く反応しないんだよな。

 と言うか前より成長してかなりからだが大きくなっている。


 全長25メートル以上大きさがあるんだよ、地上へ出ていた前守護者のドラゴンよりも大きくなっている。

 いったいいつのまに大きくなったかは不明なんだ。


 私が頭を引っぱたいたらしぶしぶ起きてきた。


 「なんだみつぐか、私に何ようだ」

 「何ようだじゃないよ、あれを見ろ、おまえの部屋になんか怪しい魔法陣が形成されているぞ、なんなんだよあれは」

 「ああ、あれか、そういえば魔法陣がたまに出てくるな、ちょうどおまえが翼人が張った外の結界を壊してからだ」

 「たまに出てくるなじゃないぞ、あきらかにおかしいだろう。管理者の詩織さんに連絡は入れたのかよ」

 「入れてはおらん。別に気にするような事ではない。

 あれは召喚用の魔法陣だ。たまに現れる時がある。

 大丈夫だ、すぐに消えてしまうから問題はなかろう」

 「そうなのか、でも気になるし、知っているようなそぶりだけど召喚用の魔法陣て言っていたけど、それってなんだよ」

 「召喚用の魔法陣は召喚用の魔法陣でしかない。別にそれ以外なかろう」

 「だからその召喚用の魔法陣が何だかわからないから聞いているんだよ。教えてくれないか」

 「仕方ない教えてやるか、この魔法陣は言ったとおり召喚用の魔法陣だ。

 誰かが異世界から転移する魔法を使って、作っているのだ。

 それ以外はなにものでもない」

 「えっ、異世界転移、そんな事ができるの?」

 「ああ、できるとも、われも一度召喚され行ったことがある。

 5千年前くらいだったかな、あの時は異世界でえらい苦労をして、召喚されたことを後悔しているんだ。

 管理者に強制的に連れ帰られて、報酬も受け取っていないし、踏んだり蹴ったりだった。

 連れ戻されてからえらい目に合った気がするが、その事はデータで残っているみたいだが、なぜか引き出せない事になっている。

 ただ、管理者にどえらい目にあわされたのは確かだったような気がするがな」

 「へぇー、そうなんだ、それじゃかかわらない方が良いよね」

 「そう言う事だ。ほっぽっておけばすぐに消える。気にすることはないぞ」

 「そうなんだね」

 しばらく魔法陣を見ている。


 「そういえばダンジョンに突然魔法陣が現われていいのか?

 ダンジョンの守りはどうなんっているんだよ」

 「別に良いのではないか、管理者が管理しているのだから、それに本来ダンジョンは侵入は可能な領域だからな。

 別に入って来ても問題はないのだよ」

 「えぇ、外から入って来て別にいいの?」

 「そう言う事だ。われわれが守っているのだからな。

 翼人が結界を張ってわれわれを閉じ込めていただけで、張る前は普通に出入りできた。

 それに結界など関係なく移動できるがな。

 ジュブのやつもたまに出入りしているだろう。

 もっとも地下に別の入り口があって移動できるのだがな」

 「そうなんだ、別の入り口がもとからあったんだ」

 「そういうことだ」

 「でも私、入り口があるのしらないんだけど」

 「しらなくても問題はなかろう、正面入り口が開いているのだからな」

 「それはそうか」


 「あれれ、いっこうに消えるそぶりがないんですけど、それに女の人の声が聞こえるような気がするけど気のせいかな?」

 「それはおかしいな、いつもだったら10分もたたずに消えるはずなのだが。

 異世界転移魔法には膨大なエネルギーが必要となる。

 そんなもの確保できるとは思わないのだがどうゆう事だろう。

 それについては、われもわからん」

 「そうなのね、なんか女の人の声で微かに『助けて』とか意志が伝わるような感じがするんだけどね。

 声と違うんだけど、なんか聞こえる気がする。

 どうなんだろう。気になるんだよな」

 「気になるんだったら、入ってみれば良かろう。

 助けてと言っているくらいだ。ろくな事にはならん話だと思うがな。

 私が入った時もそんな感じだったからな、異世界の事だ気にする事もなかろう」

 「そうなんだね、それじゃ、やめておいた方が良いな」

 「その方が賢明な判断だ」

 うーん、なんか気になるんだよな。


 助けてっていう意思らしいのが感じられるし、でもなんかやばい感じもするんだよね。しかし、まだ消えるそぶりがないな。


 かなり、そわそわしたそぶりを見せてしまった。


 「そんなに気になるんだったら試しに入って見れば良かろう。

 どのみち管理者に連れ戻されるのだからな」

 「そうは言ってもな、連れ戻されてから、ひどい目に合わないかが心配だよ。

 と言うか、私も一度逃亡して捕まっているから何かされたような気がするのだが、それさえなければ入っても良いんだけど」

 「確かに、それはそうだな」



 「……おっと尻尾が滑った」

 守護者のドラゴンは私に尻尾を打ちつけた。


 私は近くで魔法陣を見ていたので、押されて入ってしまう。


 「! ちょっと、何するんですか」

 私の体が魔法陣の中に入り光が増す。


 「! あれれ、私って本当に転移してしまうの?」

 守護者のドラゴンはにやけた顔をしている。


 「こちらの事は心配するな、地上とダンジョンの事はわれに任せておけ。

 異世界がどういうところか見てくるのも良かろう。

 まあ、連れ戻されてから、どんな目にあっても私はしらないのだがな」

 守護者のドラゴンの言葉が聞こえたあとに、転移されてしまったようだ。


 「なんて無責任な……」


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