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第35話 動き出した者たち 剣の勇者 Ⅰ


 「ソウル・ダクト・フュージョン。

 ブレイド・オブ・コスモスよ。

 星の導きに従い、われの力となれ、奥義スターダスト・ノヴァ」

 剣から銀色の眩い衝撃破がはなたれた。


 「ズキューーーーン」

 「ドシューン」

 「…… いいわ、いいわ、翔、それでこそ私が二番目に愛した人だわ」

 「おちょくってんのか、おまえ」

 「おちょくるだなんて、失礼だわ。

 星野翔ほしのかける、先日まであんなに愛しあった中ではないですか?

 今も私はあなたの事を愛しているのですよ。

 私の愛のために、その輝く命を捧げてください。

 そうすればあなたは永遠に私のものになります」

 「……… ……… ………」


 どうして、こうなっちまったんだ。

 事の発端は、あの大地震が起きて異世界転移をしてからだ。

 俺の運命はあの時をさかいに、狂いはじめたに違いない。


 異世界で知りあった最愛の人が、よりによって魔王の一柱、嗚咽の魔王ベルフェゴールを操る黒幕の堕天使ミハエラだったなんて、夢だ、これは夢に違いない。


 目の前にいる、ミハエラはベルフェゴールが姿をかえた幻術だ。

 ベルフェゴールを倒し、俺はこの悪夢からぬけだす。

 そして俺は、今でも帰りをまっているミハエラのもとに戻るのだ…… 


 …… …… ……

 …… …… ……

 …… …… ……



 俺の名は星野翔ほしのかける、県立○○学園に通う、17歳の普通のどこにでもいる高校生だ。

 見た目185センチの長身で顔もそれなりに端正な、学年上位をしめる優秀な成績を持つ普通の高校生だがな。

 

 今、フィアーズリードと言われる、異世界のサンデーニャーラ諸島に来ている。

 

 事の発端は世界各国で頻発に地震がに起こっていた。

 特に日本では大きな揺れが、半年くらい前から続いている。


 特に関東地方に多く、東日本大震災に匹敵するいやそれ以上の首都直下地震がおこるとうわさがなされている。

 全国で警戒しながら学校に毎日通う生活を送っている。


 学食で昼飯も食べ終わり、クラスメートの女の子とたわいもないおしゃべりをしている最中だった。

 そんなさなか突然大きな地震が起こった。


 地震の揺れで倒れてしまい、起きあがった時には、目の前の景色がかわっていた。

 何もない荒野の中に、放りだされていたのだ。

 

 何もない荒野には、クラスメート15人ほどいて、いや正確には17人だったのかもしれない。

 手足や胴体がきれいに切断された2人のクラスメートの遺体があったのだ。


 クラスメートの話では、友達の〇〇君と○○さんだと言う話が聞かれた。

 まるで漫画であるような次元のはざまにまきこまれ、きれいに切断された様子だった。


 困惑の中だったが、俺たちは地震によって引き起こされた次元のはざまにおちて異世界転移をしたと判断した。


 二人の遺品を回収し、辺りを散策しさ迷った。

 途中、小さな町までたどり着き、トラブルにみまわれたが、町長さんが気さくな方で、俺たちの身元の引受人になってくれて、運よく町に入れてもらえた。


 この世界では、なにをやってよいのかわからず、誰でもなれる冒険者となってこの8年間を生き抜いてきた。


 この異世界は漫画やライトノベルである魔法が使える中世ファンタジーの世界だった。

 人間以外にもファンタジー世界で定番な獣人、亜人などが存在する。


 最初に冒険者をはじめたころは、見知らぬ文化を体験し異世界に来たことが面白く思えた。

 

 面白かった原因は、いわゆる俺たちには特別な異能、チート能力が授かっていたからだ。


 異世界なのに現地人と言葉がかわせる。

 筋力があり、数倍の力を持っている。

 なによりも魔法がつかえる事もあった。

 それも俺たちは、常人の10倍の魔力を秘めていると言う。


 特にこちらの世界で言われる魔石、魔獣から取れる魔核と言う物らしいがそれを身に着けているだけで数段に強くなれるのだ。

  

 たいした事のない魔物に襲われている町を救ったりしていた。

 ちやほらされて、良い気になっていたのもある。


 一番の原因は一人づつ特色のある強力なチート能力を持っていた。

 この世界では考えられない異能力だそうだ。


 チート能力と魔石を使い、魔物討伐で俺たちは名をあげ、各国から呼ばれ、地位、名誉をもらう。

 いつしか冒険者で最高の名誉である勇者と呼ばれる地位を獲得した。


 俺は今は剣の勇者として崇められている。

 しかし、もともと希薄であったクラスメートの友達と意見の食い違いでわかれ、一人で活動するようになった。


 クラスメートと組んでいた冒険者パーティー、セブンクラウンを解散してしまう。

 一度解散し現地の冒険者仲間をいれ、新たなセブンクラウンのを結成し、パーティーリーダーとなって冒険者家業を継続しているのだった。


 新たに強者の6人のメンバーをくわえ、世界に7柱である魔王の一柱の嗚咽のベルフェゴールの討伐のために、3年前からソルト王国に拠点をはりつづけて来たのだ。


 サンデーニャーラ諸島でもひときわ大きいソルト王国で運命の出会いを果たしてしまう。


 名はミカエラ(25歳)、ソルト王国の第4王女である。

 金髪の長い髪のを頭上にひとまとめにして、紫の瞳をし銀縁のガネをかけている。

 背は175センチとこの国の女性では長身で、体つきもグラマラスなモデル並みも容姿をしていた。

 理知的で性格は物事をはっきり言うきついところがあるが、この国を思う気持ちは誰よりも伝わって来た。


 彼女は王が遊び半分で手を出した、下級貴族との間に生まれた妾の子供だ。

 王女ではあるが王位継承権もない低い立場だった。


 王宮でも浮いた存在に扱われていたが、彼女は類まれない才能と努力で一地位を築いた。

 魔王ベルフェゴールの襲撃に悩まされていたこの国を自らの師団を率いて守って来たのである。


 俺は彼女に買われ勇者として活躍をしてきた。


 ミハエルには一目ぼれだった。

 彼女にあったその日に、告白したがことわられてしまった。

 しかし、長く寄り添っていたせいか、今は体の関係にもなって恋人も同然な関係をきずいている。

 それにこの国を守るという思いは同じだった。


 俺は南にそびえ立つ、天まで届く搭を居城にしている魔王ベルフェゴールの討伐に志願したのだ。


 「お父さま、どういう事ですか?

 翔さまに、魔王討伐の勅令をいたしますとわ、それもセブンクラウンのパーティーだけで行かせると言う。

 いかに彼らが強くとも、たった7人です。

 私も行きます魔王討伐の許可をお願いします」

 「却下する。

 ミハエル、おまえはこの国の王女であり、今は一軍を率いているのだ。

 剣の勇者、翔殿はこの国で目覚ましい活躍をしてくれた。

 勇者の中でも、剣聖と言われるほどたたえられている。

 わしには魔王ベルフェゴールの討伐ができる力があると信じている。

 それにこれは翔殿自ら志願してくれたのだ」

 「翔様が自ら志願したのですか、どうしてですか?」

 「おまえに婚約を申しいれたいと言うことだ。

 魔王討伐後に、おまえを嫁との話だ。

 わしは男の興じと受け入れ、勅命として出したのだ」

 「そんなことが」

 「おまえたちの中は誰もが知っている。

 わしも剣の勇者がこの国にいてくれるならば、おまえを差し出すつもりだった。

 翔殿から言いだしてくれたのならば受けいれるのも当然だろう。

 魔王討伐をしてからの話だが、わしはできると考えている。

 あの魔王討伐にかける闘志は今まで見た事がない」

 「お父さま」

 「それにこれはチャンスなのだ、30年毎に潮が引き道ができる。

 1カ月くらいは歩いて搭にいけるのだ。

 魔王の張っている結界も消え、ロック鳥も姿を消す。

 あの嗚咽の魔王ベルフェゴールはわざとわれわれを搭に招き入れ勝負をおこなうと言うのではないか。

 天まで続く搭の最上階で自ら魔王が戦う催しをすると言う。

 わしも国王についた時一度派兵をおこなっている。

 討伐はかなわなかったが、生き残った者がいて、搭の内情を調べ上げてくれた。

 わしのために散っていった当時の仲間の仇を討ちたいのだ。

 300年前に突然に、海の中から現れた天まで届く搭、造られた目的はわからない。

 魔王ベルフェゴールの悪行を止めるために、サンデーニャーラ諸島の人々を救いたいのだ。

 今回の派兵は王国軍ではおこなわない。

 剣の勇者が選別した強い冒険者の組織で討伐をおこなうそうだ」

 「わかりましたお父さま、私は翔さまのサポートに全力をしたいと思いいます。

 せめてそれくらいはさせてください」

 「わかった、ミハエル許可をだそう。

 サポートはおまえに任せる」

 「ありがとうございます。お父さま」

 「幸せ者だなミハエルよ。

 これをもっていきなさい」

 「これは」

 「私の友人が搭の内情を調べ持って帰ったものだ。

 私の大切な形見でもあった、これが役にたつだろう」

 「ありがとうございます、お父さま」

 「男が一度決めた事だ、覆しはしない。

 これから旅立つ翔殿のサポートをしてやってくれ。

 無事に戻ってこれるようにな」

 「わかりました、お父さま」

 


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