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第31話 ローパー狩り


 うぬぬ、昨日1日中、冒険者連中の動向を探っていたが、仕掛けてこなかった。

 だが、今日は朝早くから動き出すなんて……


 それも手始めにローパーを狩る対象は、私の巣穴のお隣さんみたいなのだ。

 これは注意をはからって見ておかなければいけないな。


 私は望遠透視能力ルビーアイを駆使し、お隣さんの動向を見守ってみる。


 「エバンス、仕掛けるのはあの巣穴だよな、昨日確認済みだが2匹がつがいで入っているぞ」

 「ああ、わかっているまかせておけ」

 「皆、配置は良いな、これからエバンスが仕掛けるぞ、気をひき締めろ」

 「了解、リーダー」

 エバンスと呼ばれる狩人は、弓を持ちローパーを狩る対象の巣穴に近づいて行った。


 ここで良いだろう。今回の狩る対象はあの巣穴に居るローパーだ。

 昨日つがいで出入りしているのを俺も見ている。


 この場所からターゲットの穴まで80メートル、やつらの巣穴は直線で10メートル弱掘られていると言う話だがあてにはならない。

 120メートル先のりんごを貫ける俺にとっては容易い事だが、中の居る位置によっては当たるかはわからないからな、中の状況は見えはしない。

 こういう時には透視ができるスキルがあればいいな。


 雨がポツリと降っているが風はない。外すことはまずないだろう。

 問題は対象の巣穴に矢を放ってもローパーが当たる位置にいるかどうかだ。


 中の巣穴が大きく掘られて移動していれば当たらないのも当然だ。いつもどおりにこればかりは運試しなんだ。

 しかし、俺は5回中に3回は当てているから大丈夫だろう。


 エルンストは3本の矢を手に取る。小瓶を出し矢じりの先に毒を塗った。

 刺激性がある毒薬だ。ヘイトを取るために必要な毒薬だ。


 矢先に火をつけて、煙でいぶりだすと言う手もあるのだがな、今回もリーダーにとめられてしまった。

 確実に巣穴から追いだせるのだが、この方法だとリーダーが乗り気じゃないんだよ。


 仕方ないか、まわりにいるローパーも異変に気付いて集まってしまう可能性もあるからな、リーダーは1匹ずつ巣穴から出して、確実に狩る安全策をとりたいと言うところか、ここは従うしかないしな。

 

 …… …… ……


 おぉ、狩人らしい兄ちゃんが1人で近づいてきたな、ここから約100メートル前後くらいか、草むらに隠れて様子を伺っている。


 対象は私の巣穴の隣人のローパーらしいから、ここは見定めなければならない。


 ん、3本矢を手に持ち小瓶を出して何かの液体を塗ったぞ。

 あれって毒かな、いやらしい事をするんだな。


 それに矢じりか、あれって突き刺さると抜けないんだよ、本気で殺すつもりではないか。


 弓を構えた。素早い、構えてすぐに矢を放ってきたぞ。

 これは相当の腕前だな。


 「連続三射撃、 シュッ、シュッ、シュッ」

 おぉ、連続で3本撃って来たぞこれはすごい。あんなに見事に矢を撃てるなんて始めて見たぞ。


 さて発射した矢の先を見ているのだが、中にいるローパーにあたるかな、望遠透視能力ルビーアイを最大能力にしてじっくり見ている、スローモーションのように矢が飛んで行くのが見える。


 「プスッ、プスッ、プスッ」

 「痛っ」

 3発全部命中したよ、でもなぜか私にあたった訳でもないのに痛い感じがしてしまった。


 中にいるローパーにあたる瞬間をじっくり見えてしまったからそう思えたのかな、見事に3本の矢が刺さるところを見てしまったんだよ。

 

 刺さる瞬間がスローモーションでローパーの白い肌の部分に突き刺さるのをばっちし見えたからね。

 こりゃ痛い、痛くて堪らんわ。


 「ギョg-」

 巣穴に居たローパーは奇妙な悲鳴をあげ外へ出て行ってしまった。

 

 雄のローパーだな、かなり憤慨して怒っている。まそりゃそうだろう。

 気持ちよく休んでいる時に矢で撃たれれば怒るのも無理もない。それも毒矢らしく痛いに決まってる。


 あとからもう1匹の雌のローパーが追いかけるよに出て行ってしまったね。

 まぁ、こちらも当然怒るわな、つがいの片割れがいきなり攻撃を受ければ憤慨もするだろう。


 私も気配を消し透明化能力インビジブルを使って姿を消しながら近くで様子を見よう。

 私の事はあの冒険者では気づかないレベルに思えるから大丈夫だろう。

 気付いても襲ってきたら返り討ちにすればよいしね。


 さすがに危なくなったら隣人のローパーを助けてあげよう。

 お隣さんだしね。

 でもここに居るローパーがどんな戦い方をするかみて見たい、危険になるまで見守っていよう。


 「エバンスこっちだ。早くしろ追いつかれるぞ」

 「リーダー、あのローパー足が意外と早いね。それに雄のようね」

 「ああ、でも大丈夫そうだな、よし、おまえらエバンスを援護するぞ、石のつぶての準備だ」

 冒険者たちは当初から決められた場所に位置して臨戦態勢をおこなっていた。


 「今だ、援護だ。ローパーに石を投げつけろ」

 エバンスが通りすぎた直前に隠れて居た冒険者たちは、持っていた小石の粒を一斉にローパーへ投げつける。


 「パシ、バシ、バシ、パシ、パシ、バシ、バシ、パシ」


 石の粒が当たってローパーは足を止めてしまった。

 しかし、すぐに最初に攻撃した対象のエバンスを追いかけていく。



 「良い具合に足止めできたね」

 「ああ、上出来だ。後は魔法陣のわなへ誘えれば一撃でお陀仏よ。リーベル用意は良いかな」

 「ええ、こちらの準備はOKよ、まかせてね♡」

 「あとはタイミング次第だな」

 「ハア、ハア、ハア」

 「エバンスこっちだ、俺の方に飛び込め」

 「スタッ」

 「今だ、ローパーが魔法陣の上にのるぞ」

 「フレイム・ブレイズ」

 ローパーが罠の魔法陣に入った瞬間に魔法陣が赤く光、雷の様な赤い火柱が上空に立ち昇った。


 ローパーは赤い雷の炎に巻き込まれ動きを止める。

 まともに雷の炎を食らい焼け焦げプスプスと体から煙をたっているのが見える。


 なんだって、あんな高威力の魔法陣の罠だったのか!

 罠にかかったローパーは一発でおわりじゃん。

 何とかまだ生きているみたいだけど瀕死の状態だな。


 うむ、恐ろしい魔法の罠だな、あの街中にあった魔法陣て今のよりもでかかったよな、あれだと威力は先ほどの何倍にもなっていたはずだ。


 良かった試しにわななどにかからなくて、あんなの食らったら私でもだだではすまないよ。

 それよりも向かっている、雌のローパーのお姉んがやばくない。


 魔法の罠がまだあるようだけど、今度は使わないみたいだ。

 剣士の冒険者が臨戦態勢を取って構えているよ、絶対危ないよ引き返した方が良いよ。


 「ようし、一匹は狩り取れたな、ゲン、おまえこいつを見張っておけ」

 「えっ、でも死んでいるんじゃないですか?」

 「ローパーは魔法生物と言われていてしぶといんだよ。

 急所が魔核だから死んではいない。俺たちと違い確定の急所は魔核なんだ。

 他の魔物ともだいぶ違うから注意しておけ、まあ、あのダメージじゃ動けはしないけどな」

 「わかりました」

 「ヤンとアイリーンは周辺の索敵を頼む。他の魔物が来ないか注意して見ておいてくれよ」

 「へいへい」

 「わかっていますよ」

 「良し、それ以外の者たちはあのローパーを狩るぞ」

 「了解、リーダー」

 うぬぬ、悔しいが連携が取れているな。

 

 

 雌のローパー1匹に対し剣士2人と魔法使い2人と先ほど矢を撃った狩人1人、5人パーティで攻撃を始める。


 これってひきょうではないか、絶対ローパーが狩られてしまうよ。

 今すぐにでも助けてあげたいけど、こちらとしてはローパーがどんな戦いをするかみて見たいのでもうちょっと様子を見よう。


 魔核が無事だったらローパーは死なないとか言っていた冒険者がいるので大丈夫だろう。

 ここは危なくなるまで手助けはできないな。


 それに私は実は近くに居るんだよ、こんなに近くに居るのに私の事が気づかないでいる。

 それだけでも冒険者たちは、たいしたことがないと思えるな。


 「てやあー」

 リーダーの大柄の男が大剣を振り回し雌のローパーに切りかかる。


 「ズバーン」

 雌のローパーの頭上にある大きな触手の1本んが切り裂かれた。


 ええ、なんであんな遅い剣の振りまわしで切り裂かれてしまうの?

 ここのローパーって防御力が低いのではないかな?


 そういえば魔法でシールド系まったく使ってないし、私だったら多重シールドで重複してバリアまで張って防御力を極限までアップさせているよ。

 そもそもあのローパー魔法を使っていない。


 それにどうしたローパーのお姉さん、体から細い触手をいっぱいだしてうにゅうにゅさせて威嚇しているの?


 冒険者は確かにひるんだ様子を見せてるけど、それは攻撃ではないよね。

 体から出せる触手は柔らかく弱いんだからすぐ切られてしまうよ。


 私だって相当修行して使えるようになったんだから、体から出す触手はコントロールと強化が難しいんだよ。


 それに攻撃と言うか、相手に突進して体当たりするようなそぶりを繰り返しているけど、もしかして体当たりで体を押し付け、触手を絡めさせて戦うって攻撃をしているのかな? 

 そんな感じがするんだけど気のせいだよね。


 「おっと危ねえ、間合いを誤ったか、危なく絡まれるところだったな。

 こいつらにひっつかれたら俺でも剥せないからな」

  

 剣士の冒険者、ひっかれたら剥せないとか言っているよ、やはり攻撃の方法は私の予想どおりだったのね。当たってがっかりだわ。


 私と戦い方全然違うんだけど、上にある大きい触手それを振り回さないのかな、かざり、飾りじゃないんだよ。


 そうだ毒だ。

 毒とか出さないのかな、毒の攻撃があるならば口から撒いて攻撃したほうが良いよ、それか消化液を口から吐きだして飛び散らせても良いのではないか。

 そうすれば人間なんて毒でいちころなんだからさ。


 「でやー」

 「ズバン」

 「エネミー・ランス」

 「ズバン」

 「ツイン・ショット」

 「ダッ、ダッ」

 あぁ、これは駄目だな。狩られてしまうよ。


 すでに瀕死ひんしの状態になっている。

 しょうがないここは手助けに入るとするか。


 「シュン、シュン、シュン、シュン、シュン」

 「スパッ、パパッ、パーン、スパッ、パーン」

 私は頭上の大きい触手の先端を剣状態に変え、透明化能力インビジブルを解きまわりに居た冒険者たちの首を撥ねた。


 「ドス、ドッ、ドッ、ドス、ドッ」

 冒険者の首は落ちてしまう。


 「ゴロン」

 「? なんだ首、エバンス!」

 「グチャリ」

 残っていた剣士の1人をたたき、頭から奇麗につぶしてあげた。


 「なに、何が起きたんだ」

 冒険者のリーダーは困惑している。


 「これであと2人かな」

 「なに、誰だ、誰か、いるのか?」

 「グ、グレイブさん、うっ 後ろ」

 荷物持ちの少年が腰を抜かした状態で指を私にさした。


 透明化能力インビジブルをすでに解いていたので姿が見えていたのだ。

 私の姿を見て冒険者のリーダー、グレイブは硬直して動けないでいる。


 「いやー、近くでずっと見ていたけどひどいことをするんだね。

 ただこいつら巣穴で休んでいただけなのに、矢をいるとはね。

 悪い事なんにもしていないはずだよ。

 まぁ、私の言葉などわかりはしないのだから、別にいいか。

 それじゃ、サヨナラね。バイバイ」

 「スッパン」

 冒険者のリーダー、グレイブの首を撥ねた。

 

 目の前に落ちたリーダーの首を見て、荷物持ちの少年はあぜんと口を開けている。

 私は荷物持ちの少年の目の前に立つ。


 「ごめんね少年、でもね悪いのは君たちなんだよ。そちらから仕掛けてきたんだからね。

 恨むんなら自分のおこないを恨んでくださいね。

 それじゃ、サヨウナラ」

 「ズン」

 私は体から触手を出し少年の脳天をつら剥きとおした。


 「少年よ、苦しまず逝けて良かったね。

 君は運が良いと思うよ。

 世界では楽に逝けそうにもないものが多くいるからね」

 さて、傷ついた2匹のローパーを回復してあげましょうかな。

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