雲って素敵、モックン無敵
ふぁーあ、良く寝れた!
「キアラさん、朝食が出来ています」
あっ、ベルクさんがドアの向こうで呼んでる
食堂は隣の部屋だったっけ
「美味しいーい!」
久しぶりに柔らかいパンを食べたわね。スープも温かいし、野菜も新鮮だわ
ベルクさんも、私が美味しく食べているから満足しているみたい。王子の言ってた通り信頼出来る人なのかしら?
ちょこっと聞いてみようかな
「ベルクさん、シオン王子とはどういう関係なんですか?」
「ああ、彼とはクリステル王国のアリアード校で小さい頃から一緒だったんだよ」
へえー、幼馴染みなのね
「シオンからは君の事をくれぐれも頼むって言われてるから、何も心配しなくていいよ。君の風変わりな友達の事も教えて貰っているからね」
なんだ、知ってるのか
「じゃあ遠慮なくモックンを呼びますね、うふふ」
「へえ、モックンていうのか。オスなのかな⋯⋯後でその雲君とお出かけしてくるかい?」
雲に性別ってあるの? まあいいわ
「来たれモックン!」
ちょっとカッコ良く言っちゃった
「モクモクモク、ボワワーーン!!」
モックンもノッてるわね⋯⋯天井一杯に広がってるわ
「おわーーっ!?」
椅子から落ちちゃった。驚かせ過ぎたかしら
「こ、これが君の友達のモックンか。本当に雲なんだな」
「プルプルン!」
あっ、モックンがいつもの大きさになった
「そうだ、森の様な所はある?」
「それならここの裏手から森が広がっているよ」
近すぎるけど、いいかな
「モックン、今日はその森へ行こう、連れて行ってくれる?」
「プルプル!」
「僕も一緒に行こか?」
「ううんモックン強いから大丈夫よ」
「モックン頼んだよ、いってらっしゃい」
「プルプルン!」
私をお尻の下からそっと持ち上げて、
ゆっくりと浮かび上がってくれる
外に出たら今度はどんどん空に上って行くの
夜とは違う森の顔
光に満ちて生き生きしてる
「あの大きな木の側に下ろして」
私を怖がらせないように、ゆっくり降りていくモックン
着くなり辺りをキョロキョロしてる
パラボラアンテナみたいに丸くなって、グルグル回りだしたわ。辺りを警戒しているのかな?
「モックン何かいるの? 」
ガサゴソ、ガサゴソ
音がする。何かいるの?
草木を掻き分けて、仮面をかぶった3人の男が出てきた
これってもしかして⋯⋯
「キアラ一緒に来てもらおうか 」
やっぱりね
また王妃が差し向けて来たのね
宿屋から近いし、きっと跡をつけて来たんだわ
あっ、剣を抜きながら近づいてきた!
「ピカッ、ゴロゴロガッシャーン!!」
凄い! ミツマタに雷割れちゃってる
あっという間にやっつけちゃったよ
「ど、どうした!? 何だ、これは一体誰が!?」
また新しい敵が3人来たよ
どれだけ私を殺したいんだろ⋯⋯
「クソっ、このままではイライザ姫に会わす顔がないぞ」
イライザって、あの子がこんな事を指図しているの!?
「ギュルルルーーン!!」
わっ! モックントルネード!
竜巻になって3人まとめて吸い上げて、空高くに吹き飛ばしちゃった!
「お疲れ様!」
モックンに感謝
「ナデナデ」
あらっ、モックン桜色になっているわ、ウフフ可愛い
「モックン、場所をかえてピクニックのやり直しをしようか」
「プルンプルン!」
モックンも賛成みたい、うふふ
せっかくなんだから、もっと綺麗な所を見たいわね
王子も気にいってくれるトコあるかしら⋯⋯⋯⋯